HOME  >>  トピック

トピック

新事業承継税制について

今年も7月4日から7月6日にかけて(財)日本税務研究センターが主催する研修に参加してきた。場所は毎年軽井沢で行われる。10年程前から毎年参加しているのだが、年々『軽井沢の涼しさ』がなくなってきているような気がする。最初の参加時はその涼しさに驚かされ、感激したのだが、残念である。これも温暖化の影響だろうか?
さて、今回のテーマは『中小企業経営承継円滑化法』とそれに伴う『新事業承継税制』であった。このセミナーは平川忠雄先生が中心となって行われるのだが、毎年財務省の課長クラスの方たちを講師に招いている。今年も古谷一之財務省主税局長と昨年も講演をしていただいた佐藤悦緒中小企業庁財務課長の研修を受けた。佐藤課長は中小企業経営承継円滑化法の法案責任者である。それだけに法案に対して思い入れも強く、是非この法案を活用してもらいたいという想いが伝わってきた。かなり踏み込んだ点も話していただき非常に参考になった。
この新事業承継税制は、円滑化法の規定に基づき経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の後継者が、その会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式などを取得し、その会社を経営していく場合には、一定の条件の下、その後継者が納付すべき相続税額のうち、取得した株式等にかかる課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予するという納税猶予制度なので当然リスクはある。それに、まだ税法の中にも若干の問題点もあり、整理しなければならない点も見受けられる。
しかし、日本経済を支える中小企業の雇用や技術の喪失を防止するために創設された法案である。また、遺留分に関する民法特例まで創設して経営継続の後押しをしている。適用は慎重に判断しなければならないが、『クライアントの為に積極的に活用をしていかなければならない』と想いを新たにした研修だった。


>> 詳しくはこちら

平成21年7月TOPIC


改正土地税制は土地価格の下落を止められるか?

世の中は景気後退につぐ景気後退で非常に厳しさを増している。その中で平成21年度の税制改正が行われた。色々な改正が行われたが、その中の土地税制について考えてみた。財務省は土地取得の推進の為に、T平成21年及び22年に取得した土地等の長期譲渡取得の1,000万円特別控除制度U平成21年及び22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例を創設した。しかし、土地取得の推進を図り、土地価格の下落防止という点から見るとその効果は限定的といわざるを得ない。何故なら、特別控除制度は土地が将来値上がりすれば大きな効果がある。しかし、土地の価格が現状のままか、ましてや値下がりすればこの制度は何の効果も持たなくなる。その結果『将来土地の価格が上昇する』と判断する人に対してしか、土地購入の推進役にならないだろう。
また、先行取得をした場合の課税の特例も、現在含み益のある土地を所有している者のみが恩恵を受けられる制度である。二つの制度とも思い切った制度に見えるが実際は恩恵にあずかれる人は限られる。という事は、この税制が土地取得の推進役にはならないと思われるが、はて、いかがなものか?
なお、制度の概要は以下のとおりである。


T平成21年及び22年に取得した土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除制度

当該制度は個人が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をした国内にある土地等で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その年中の当該譲渡に係る長期譲渡所得の金額から1,000万円が控除できます。
なお、法人についても同様の措置が講じられます。


U平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例

法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に、国内にある土地等を取得し、その取得の日を含む事業年度の確定申告書提出期限までにこの特例の適用を受ける旨の届出書を提出した場合、その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、その事業者の所有する他の土地等の譲渡をした時は、その先行取得した土地等について、他の土地等の譲渡益の80%相当額(平成22年取得分については60%相当額)を限度として、圧縮記帳ができます。
なお、個人事業者についても同様の措置が講じられます。


※Uについては、取得した日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに、この特例を受ける旨の届出書を必ず提出しておかなければならない。これを失念すると土俵に上がれない。

平成21年5月TOPIC


2009年、今こそ会社の真価が問われる時代

いよいよ2009年が始まりました。昨年はアメリカのサブプライムローンに端を発した金融恐慌が、実体経済までに波及し厳しい年の瀬になりました。
新年早々から悲観的な事を述べたくありませんが、今年も厳しい一年になることは間違いありません。
しかしながら、言葉を変えて言えば今こそ会社の真価が問われる時代だと思います。不況を言い訳にせず、ひたむきに努力し続ける者のみが生き残れる時代の始まりです。不況のときこそ努力のし甲斐のあるときです。真の顧客ニーズが見えてきます。寝てもさめても顧客からいかにしたら支持されるかを考え、顧客の役に立つための実行をしなければなりません。自分の利益や幸福の為にのみ働いていたのでは、決して成功はありえないと思います。いかに他人の幸福の為に汗をかけるかだろうと思います。
時代は激しく変化しています。オバマアメリカ大統領が訴えたように私たちも変わらなければなりません。大氷河期に環境の変化に対応して遺伝子を変化させた哺乳類が生き残れた事実を見ても、変われるもののみが生き残れるのだと思います。そして、これもオバマ大統領が訴えたように『Yes,We,Can』です。そうです、我々は出来るのです。どんな困難があろうとも我々はそれを乗り越えることが出来ると思います。
景気の両輪は言うまでも無く、設備投資と個人消費です。日本の政治にも、設備投資や個人消費が活発になる施策の実行が必要だと思います。
その点、税制は景気刺激のカードの一つです。与党税制改正大綱で決定された太陽光発電の購入時の一括損金算入制度の創設や、住宅ローン控除の拡充は有効な手段の一つだと思います。ただ、相続税の抜本改正が見送られた今、時間は充分取れると思います。是非知恵を絞り更なる景気刺激のための税制を早急に成立させ、実施していかなければならないと思います。
後は、我々の自助努力です。お客様のお役に立ちお客様から支持される会社や、事務所と成るべく頑張っていかなければなりません。打つ手は常に無限にあります。皆様とともに頑張りたいと思います。よろしくお願い致します。

平成21年1月TOPIC


平成21年1月TOPIC02


社会保障給付費と公債残高の推移について

今年も、7月中旬に(財)日本税務研究センターが主催する、2泊3日の夏期セミナーに参加してきた。場所は、昨年と同様、軽井沢の万平ホテルで実施された。
毎年、財務省から課長クラスのキャリアの方が講師の一人としてこられるのだが、今年ほど日本の財政状況が危機的水準に達していることを実感したことは無かった。
特に驚いたことは2点ある。
   一点は社会保険給付費の推移である。社会保険給付は平成2年度から、平成20年度の間に、概ね倍増(47兆円→96兆円)になっている。その間に「公費負担」も、概ね倍増(16兆円→31兆円)している。ちなみに平成20年度の社会保険給付費は95.7兆円で内訳は年金50.5兆円、医療29.8兆円、福祉その他15.4兆円となっている。国の一般歳出のうち、社会保険給付費の占める割合は、10年前の33%から、20年度には46%に上昇している。更に社会保険給付費は、医療と介護を中心に、経済の伸びを上回って増加し、平成37年には141兆円に達する見込みである。大変な数字である。
 もう一点は、公債残高の累増である。日本の公債残高は、年々増加の一途をたどっていて、平成20年度の公債残高は553兆円に上ると見込まれている。これは税収の10年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになる。また、平成2年度の残高は166兆円であった。
この18年間に3.3倍にも増加している。身震いするような数字である。
なんという無策ぶりであろうか?当然政治家や役人の責任は免れないと思う。ただ現実は、国民全員の問題である。
歳出削減のみでは当然まかないきれる数字ではなく、増税は必須である。財源の一番はやはり消費税である。10%でもまだ不足であるが、一つの区切りの数字であろう。後は何時実施されるかであるが、残された時間は少ないと思う。
また、これ程の公債残高(553兆円)があれば当然金利の上昇は抑えざるを得ないだろう。この問題を解決しない限り金利の抑制傾向は続くと思われる。
ただ、最近はキャリアの姿勢が大きく変わったと思われる。とにかく低姿勢である。
一昔前の官僚臭が鼻につく方とは随分変わった。それだけ難しい時代になったということであろう。

グラフ:公債残高の累増
▲クリックで拡大表示
グラフ:近年の社会保障給付費の推移
▲クリックで拡大表示
グラフ:国の社会保障関係費と一般歳出の推移
▲クリックで拡大表示