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トピック

2012年

2012年を振り返ると最大のニュースはやはり総選挙になると思う。結果は自民党の圧勝で294議席を獲得し、公明党の31議席を合わせるとなんと衆議院の議席の2/3以上を獲得した。 結果だけを見ると圧倒的支持を受けたことになるが、3年前に民主党に政権交代したような熱気が感じられない。消去法で選ばれたといわれるがそのとおりだと思う。


こうなったのも、3年3ヶ月の民主党政権があまりに稚拙だったことへの反動である。民主党の議員たちも何故そうなったのか真剣に反省しなければ、民主党の明日は無いと思う。


民主党には人材がいなかったといわれるが、それは民主党議員が野党時代に一人ひとりが真剣に自分たちが目指す政治を実現するためにはどうすればよいか?そのため超えなければならないハードルは何か?他の国でどういう成功事例があるか?等々その目指すべき政治を実現するために、政策等の勉強を地道にしていなかった証拠だと思う。政権に就いたからといって急にその能力が上がるはずも無いのである。民主党議員はその努力不足の大きな代償を払ったことになる。今度こそ地道に研鑽を積んで欲しいと思う。


安倍政権にはぜひ頑張っていただきたいが、政権が変わったところで日本の置かれている状況が一変するはずも無く、厳しい状況が続くことに変わりはない。景気回復、原発事故処理、尖閣問題等々、課題は山積している。政権交代に浮かれることなく、真摯にすばやく取り組んでもらいたい。その真価が問われるのはこれからである。


私たちも今後の政権運営やその成果をしっかりと観察し、どの政党や議員が、心底から日本を良くしたいと日々努力をしているかを見極めなければならない。国家の未来を託すのであるから、国民にも選ぶ責任があると思う。


今後、我々中小企業の経営環境はますます厳しくなっていくと思われるが、政治家のみでなく私たちも一人ひとりが懸命に努力しなければならない。その結果、利益を確保し、納税をし、雇用を維持することは何よりも勝る大きな社会貢献であると思う。


残念ながら、政治があまり当てにならないので、我々一人ひとりが置かれた場所でその使命を果たしていけば、日本の未来も必ず開けるものと信じている。皆様どうぞ良いお年をお迎えください。

平成24年12月TOPIC2


ランチェスター経営戦略

突然の衆議院の解散で、ただでさえ気ぜわしい年末が一層慌ただしくなりそうです。政党が乱立していますが、今度こそどの政治家が本気で日本を良くしようと思っているのかを見極めることが私たち国民に問われていると思います。


そんな中、以前ランチェスター経営戦略の本をお勧めしたお客様のご紹介で、そのお客様が属する同業者組合員の方を対象にした講演の依頼があり、ランチェスター経営戦略についての講演を行いました。講演をするに当たって再度勉強したのですが、今こそ中小企業に求められる戦略だと再認識いたしました。


ランチェスター経営戦略とはフデレリック・ランチェスターというイギリス人によって考案された戦闘時の数値モデルであるランチェスター法則をマーケティングや、経営戦略に応用した経営手法です。


ランチェスター法則とは、能力が同じならば、兵力数が多いほうが必ず勝つ、言い換えれば弱者は必敗するという法則です。その法則を経営に生かしたのがランチェスター経営戦略です。
   その経営戦略とは強者の法則を逆手にとって、弱者が強者に勝つためにマーケットを細分化、専門化し、そこに戦力を集中してそこでナンバー1になるという戦略です


我々中小企業を取り巻く経営環境は今後ますます厳しくなると思われます。あらゆる商売が難しい時代になってきています。
 そこで生き残るためには誰にも負けない努力が求められるのは当然ですが、それと同時に知恵が必要になってくると思います。知恵とは付加価値の源です。どこで付加価値を獲得するかです。ランチェスター経営戦略はその知恵を引き出すヒントになると思います。ランチェスターに関する色々な本が出ていますので、読まれてみれば経営の参考になると思います。


ただ忘れてならないのは、会社の業績が振るわない根本原因は、たいていの場合、会社がお客様の要求を無視しているからです。お客様の要求を無視している限り、何をどうやっても会社の業績は決してよくなりません。お客様を無視する会社は、お客様から無視されます決算書はお客様からのメッセージです。決算書の数字を謙虚に受け止め、自分都合になっていないか?お客様を無視していないか?をじっくりと考えてみましょう。

平成24年12月TOPIC


税務調査が変わる?

昨年11月30日に成立した『納税環境整備に関する国税通則法等の改正』により平成25年1月1日より税務調査が変わります。といってもほとんど今までと変わりません。


来年1月1日に先駆けて実験的に今年の10月1日より改正通則法に基づいて調査が行われています。


実は23年度税制改正大綱では納税者権利憲章の策定をすると掲載し原案も出来ていたのですが、消費税の増税の際に流れてしまったのです。自民党が反対したとのことですが実際はどんな政治力学が働いたのかは定かではありません。


その代替として今回通則法が改正されたのです。先進国では異例のことですが今まで日本には課税納税手続きにおける納税者の権利を制度的に保障する基本法が無かったのです。


そこで今回の改正で少しは権利保護がされたのかと精読してみたのですが、残念ながら内容は今までの税務署の調査手法を明文化したに過ぎません。表面上は納税者の権利を認めるように見えますが、「必要があるときは」とか「合理的に推認できる場合」とかという便利な言葉で課税庁の裁量を認めています。今までは質問検査権のみ規定し税務調査が行われてきたのですが内容はほとんど変わらないと思われます。


ただ、納税者が変化を感じるのは事前通知の方法でしょう。今までは税理士のみに通知し、税理士が日程等を調整し、当日までは接触は無かったのですが、これからは、@調査日時A調査場所B調査の目的C調査の対象となる税目D調査対象期間E調査の対象となる帳簿書類等を納税者に通知(電話)することになります。


納税は国民の義務です。当然適正納税はしなければなりませんが、もう少し納税者の権利が認められても良いのではないかと思います。


今回制定された法令解釈通達の前書きに『調査はその公益的必要性と納税者の私的利益との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うことを十分認識し、その適正な遂行に勤められたい』とあります。今後この精神に基づき調査が行われることを期待します。

平成24年11月TOPIC


JAL再生

9月19日に日本航空が東京取引証券所に再上場した。会社更生法の適用から再上場まで2年8ヶ月という異例の早さである。当日は各メディアがその再生できた理由を色々と述べていたが、総じて経費削減に成功して高収益企業に生まれ変われたことと、再生支援機構からの資金の確保を大きな要因に挙げていた。


私はそれに違和感を覚えていた。肝心な点が触れられていなかったからである。そんな思いを抱いていたところ、日経新聞の社説で3つの再建理由を挙げていた。その中でも稲盛和夫氏の強力なリーダーシップを第一の要因に挙げていた。そのとおりだと思う。長年染み付いた日航の官僚体質、ぬるま湯体質を劇的に変えることが出来たのはやはり稲盛氏の強力なリーダーシップにほかならないと思う。


稲盛氏が日航でまず手がけたことは、幹部の研修だった。研修は土曜日を含む週4日も開催された。それでは日常業務ができないという強い反発もあったが、『何のために働くのかを始め人生の目的とか根源的な考え方』、つまり稲盛経営哲学、フィロソフィーの要諦を徹底的に研修したのだと思われる。その中で何を今さらそんな事と思っていたエリート幹部たちの心が変わっていったのが再建できた一番の理由である。長時間のディスカッションの中で、『自分たちは傲慢だった』、『お客に向き合っていなかった』、という言葉が自然に出てきて、幹部たちの心が変わり、彼らを通じて心の変化が全社的に広がっていったようだ。


実際に今の日航の接遇は明らかに良くなっている。機長の機内アナウンスも本当に乗っていただきありがたいという感謝の想いが伝わってくる。そこが日航再建の原点だと思う。


フィロソフィー教育の後に稲盛氏の代名詞であるアメーバー管理会計を導入し、コスト意識を徹底させたのである。この順番を間違えると再建は無かったと思う。


稲盛氏も当初は悲壮な覚悟で再建を引き受けたようだ。実は盛和塾の塾生も一様にその困難さや稲盛氏の年齢(80歳)を考えて心配していたのだが杞憂に終わった。やはり稲盛氏は超一級の経営者でありレベルが違うと思った。


ただ、再建の過程で思いもよらない横槍が度々入ったようだ。そんな中でも異例の早さで再建できたのは奇跡に近いことだと思う。そんな経緯を日経新聞が9月24日から9月29日にかけて特集している。興味のある方は読んでみられたらよいと思う。

平成24年10月TOPIC


一人称で考える

世界中が興奮した平和の祭典オリンピックも終わりその熱も冷めてきたところですが、オリンピック前にNHKで有名選手の特集をしていました。その中の一人に体操の内村航平選手が取り上げられていました。


彼が高校生のとき、オリンピックの選手が次々とコバチという離れ業を決めているのをテレビで見て自分も出来るのではないかと考え、イメージトレーニングを重ね、実際にやってみたら出来るようになったと語っていました。その中で特に興味を引いた言葉が『イメージトレーニングを重ねることによって、勝手に筋肉が動いて出来た』というくだりです。


実はこの内村選手の話をある地元の有力企業の経営者がいたく感激して私に語ってくれたのです。彼は『近藤さん一人称なんだよ、3人称じゃないんだよ』という表現で私に語ったのだが、始めは彼の言っている意味が理解できなかった。


それはどうも自分がどれだけ当事者としてイメージが出来るかということを言いたかったのだとわかった。


彼はそれに続いて、『経営も同じだと思う』とも言った。つまり事業の成功をいかに一人称で考えて、イメージできるかということだと思う。


それも繰り返し繰り返し見えてくるまで考えられることが、大切な成功要因になると思われる。どんな仕事でも、特に新規事業の場合は、いかに成功イメージを描けるかがキーポイントになるのだと思う。


そこまでイメージできれば内村選手の言葉を借りれば、『勝手に筋肉が動く』のである。つまり勝手に成功出来るのである。


将来どんな会社にしたいのか?どのくらいの規模を目指すのか?社員の処遇は?どんな成功イメージを描けるかで、事業の成否が決まるといっても過言ではないと思う。


もちろんイメージが描ければそれに向かって誰にも負けない努力をしなければならないのは当然のことである。

平成24年9月TOPIC


人生の転機

盛和塾という稲盛和夫氏の経営哲学を学ぶ会(世界中70塾、塾生約7千名)があるのだが、その盛和塾で毎年世界大会が開催されます。その大会は稲盛経営哲学を学ぶ世界中の経営者の中から8名が選出され自分の経営体験を発表するというもので、いわば経営者の甲子園といってもよい大会です。


今年も世界中から約4千名の塾生が集まり、8名の経営者の心を打つ素晴らしい発表がなされました。その中で今年は回転寿司の経営をされているS氏が最優秀賞を受賞されたのだが、その内容は正に驚きでした。


S氏はもともと小さいときから極度の赤面恐怖症で、学校の校門が近づいてきただけで赤面し、男女を問わず人となかなか話せず、学校ではいつも四隅に黙って座っているような人物だったとのことです。成人して15年間スナック経営をしていたのだが赤面恐怖症は直らず、しらふでは人となかなか話が出来ないのでお酒を飲んでから出勤していたとの事です。それでもスナック経営を頑張っていたのだが、頑張っても、頑張ってもなかなか結果がでなかった。そんな中いつしか『何のための人生か』、『何のための経営か』を悩み始め、その答えを捜し求めていた時に稲盛氏の経営講話のカセットテープに出会い、それこそ取り憑かれたように聞き狂ったとの事です。


そこには『経営することの意義』、『何のために働くのか』、人生の根本、人間の本質が、理論的に整然と語られており、正に暗闇の中に一条の光明がさしたと言われました。そこからS氏は稲盛経営哲学をもとに、その哲学を従業員と共有することに努め、自身の心を高めるべく研鑽を積み、誰にも負けない努力を重ねた結果、当初のS氏の運命の筋書きにはなかったはずの物語が展開され、46歳からたった13年間で寿司店11店舗を運営し、23億もの売上、従業員476名を擁する企業の経営者に成長されています。


まさにドラマを地で行く話しでした。人生は考え方次第で大きく変わることを体現された人です。S氏は自分の弱さを稲盛フィロソフィーに求め生きてきた結果であると話されましたが、その際立った人生の変遷は驚きそのものでした。


ただただ、稲盛氏にその話をしたい一心で発表者に応募したといわれ、稲盛氏への感謝と敬慕の念がひしひしと伝わってきました。大きな感銘を受けると同時に人間には無限の可能性があるとあらためて感じることが出来る発表でした。

平成24年8月TOPIC


太陽光発電

消費税の改正法案が6月26日に衆議院で可決されましたが、民主党は小沢氏のグループを中心に72名が反対や棄権をし、分裂は必至といわれています。残念なことに政治家の中には本当に日本の将来のことを考えて行動をしているのか疑わしく思える方が多数いらっしゃいます。今こそ権力闘争や選挙の当落ではなく将来の日本の礎になるべく行動していただきたい。そして私たちも本当に日本の将来を良くしようと思い行動している志を持った政治家を選ばなくてはならないと思います。


そんな中、いよいよ再生可能エネルギーの固定価格買取制度が7月1日より開始されます。なかでも太陽光発電の買い取り価格は1KWhあたり42円で買取期間は20年です。これは家庭用の電気料の平均値(約22円/KWh)からみると非常に高い金額です。


42円の買取価格で計算すると10年ぐらいで設備の支払いができます。当然後の10年はまるまる利益です。これを政府が保証するのだから、資金のある企業がこぞって事業に参入しているのが現状です。ソフトバンクを筆頭にあらゆる分野のあらゆる企業が参入を表明しています。


また、税制もこれを後押ししています。平成25年3月31日までに建設し、事業供用すれば即時償却つまり全額損金算入が出来るのです。思い切った政策です。


毎年利益計上が出来ているような企業であれば、資金もあるし、まず損はしないことは確実です。更に節税にもなる。条件が10KWh以上の発電設備であれば対象になるので建設費用は500万ぐらいまでのようです。大企業のみではなく中小企業も検討してみる価値は十分あると思われます。詳しくは資源エネルギー庁のHPにでているので参照してください。


ただ懸念されるのは高価買取(42円)なので電気料金にその負担が加算されるのは間違いないところです。このため電気料金が8月より値上げされることが決定されています。


これからは節電がブームではなく企業や家庭においても大きな課題になると思います。しかし、見方を変えれば多くの分野で大きなビジネスチャンスにもなると思います。いろんな意味でしばらくは電力問題には目が離せないようです。

平成24年7月TOPIC


修繕費

先月から悩まされている腰痛は大分良くなりましが、まだまだ完治にはいたらず苦労しています。


そんなこととは関係なく、野田総理が政治生命をかけるという消費税増税を含む税と社会保障の一体改革法案が国会で審議の真っ最中です。私たち税理士業界は当然ですが、日本中に大きな影響がある改革案ですので、十分審理を尽くして欲しいと思います。


さて先月、国税庁のHP質疑応答事例(法人税)が13項目更新されました。その中で自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替え費用の取り扱いについての回答がありました。


節電対策として事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに110万円かけて取り替えたがその費用は修繕費として差し支えないかという照会に対し、差し支えないという回答がされています。


その回答に正直私は驚きました。修繕費は法人税基本通達7-8-2において『その有する固定資産の修理改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、または毀損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額』と規定されています。


しかし、その結果固定資産の価値を高めたり、耐久性を増すと認められる部分はいわゆる資本的支出となって経費とはなりません。法人税基本通達7-8-1においても品質又は性能が高くなる場合は資本的支出だと明記されています。


質疑応答事例では『蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、固定資産の価値を高めたり、耐久性を増すとして資本的支出に該当するとも考えられるが、蛍光灯は照明設備(建物付属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、その部品の性能が高まったことをもって、建物付属設備として価値が高まったとまではいえないとして修繕費として経理することが相当である』と回答されています。「へー」と思いました。


当局としては思い切った回答だと思います。最近は情報開示が進んでおり、税の世界においても例外ではなく国税庁HP等をこまめにチェックしておく必要がありますね。

平成24年6月TOPIC


高い専門性

木々の新緑が鮮やかな季節となりすごしやすい季節になってきましたが、私は腰痛に悩まされる日々になってしまいました。どうも自分の身体を過信して、無茶をしたことが原因のようです。残念ながら無理がきかない年齢になりつつあるようです。


さて、お客様の申告等のお手伝いをさせて頂く中で、最近特に感じるのが以前と比べて商売が難しい時代になっているように思われます。昔はまじめにさえ仕事に取り組んでいれば何とかなっていたのですが、最近はまじめに仕事に取り組んでいるのに、赤字に悩まされる企業が多くなりました。世の中がよりグローバルになり、どこでも出来るような仕事は価格競争に巻きこまれて簡単に赤字企業になってしまうのです。


そんな中で経営を成功に導くためには何が必要かというと、その条件は色々ありますが一番には高い専門性だと思われます。いずれの分野であろうとも、やはり専門的技術、専門知識というのがまずは一番大切になってきます。メーカーはもちろん、サービスや物流の分野においても取り扱う商品に対する高度な商品知識が要求され、特にベンチャービジネスの場合は大企業と競合しても勝てるぐらいの極めて高度な専門技術を持っているかどうかが問われるのだと思います。


更に大切なことは、その高い技術をどのぐらいの時間で手に入れたかだと思います。つまり今日では専門技術、専門知識というものは日進月歩で進化しているため、長い時間をかけて専門技術や知識を身につけるというようなことでは、現在の激しいビジネス展開の中ではすぐに使い物にならなくなります。時代に即した新しい技術を短時間に理解し咀嚼して、体得できる能力が必要不可欠になると思います。
スピードはこれからの経営のキーワードの一つだと思います。


つまり事業を成功に導くには高い専門性をいかに短時間に身に着けるかに心血を注ぐことが求められるのだと思います。実はこれは稲盛和夫氏が成功する条件の第一として述べられたことなのです。


この厳しい経営環境の中生き残るためには、自分の専門性は何かを明確にし、それを時代に即して磨き続けることがまず第一番なのだと思います。


もちろん高い専門性だけで経営がうまくいくとは限りません。他にもいくつかの条件が必要になりますが、それはまた別の機会に述べたいと思います。

平成24年5月TOPIC


坂村真民記念館

確定申告も無事終了し、3月15日は久しぶりに開放感に浸ることができました。つかの間ではありますが幸福な時間でした。


そんな中、久しぶりに休日が取れたので今年の3月11日に砥部町にオープンした坂村真民記念館を訪ねてみました。


坂村真民氏は『念ずれば花開く』で皆さまご存知かもしれませんが、癒しの詩人とよばれその平易で慈愛あふれる詩は小学生から財界人まで広く愛されています。闇の中で苦しむ多くの人がその詩に生きる勇気をもらったことと思います。高名な教育者である森信三氏も早くからその才覚を見抜き後世に残る逸材と評しました。


真民氏はどうして皆の心に響く詩が作れるのでしょうか?それは真民氏が人間としてどうあるべきかを追い求める詩人であり精神もその生活も決して安楽に座することを許さず、自らを律する生活を強いていたからだと思います。


致知出版社の藤尾秀昭社長がインタビューしたなかで、真民氏が毎日午前0時に起床して未明に重信川の河原で祈りを捧げる日課について語ったとき、「年寄りは早起きだとみんな言いますが、私だって実は早起きは辛いのです。正直寝ていたいのですが私は詩人です。詩人が安逸な暮らしをしていたのでは、人の心に響くような詩は書けません」と言われたことが強烈に印象に残っていると話されています。真の創造的なものは危機の中からしかできないという信念があったようです。真民氏にとって詩作はまさに求道だったのだと思います。


実は真民氏の生前、毎月第一日曜日に砥部町の朴庵で一時間半ほど講和を聞く事ができたとのこと、せっかく近くにいながらその機会を逃がしてしまったのは残念でなりません。


真民氏の詩は苦しいとき、悲しいとき、先が見えないとき、心に希望の灯をともす詩だと思います。多くの本(サンマーク出版他)が出版されているのでご興味のある方は是非読んでみてください。
 たくさんの素晴らしい詩がありますが、その中の一つの『一心』という詩です。
 
限りある命だから
蝉もこおろぎも一心に鳴いているのだ
花たちもあんなに一心に咲いているのだ
私も一心に生きねばならない

平成24年4月TOPIC


寄附金控除

昨年の夏から歴史的な円高局面に日本が苦しんできましたが、ここに来てようやく80円台に修正されてきました。それを受けて日経平均株価も反発し9600円台に上昇しました。日本の貿易収支の赤字が理由の一つに挙げられているのであまり手放しには喜べませんが、まずは朗報です。


さて、今年も確定申告の時期を迎え、ありがたいことに私共の事務所でも毎日残業の日々となっております。ただどうしても法人のお客様にはご迷惑をおかけしており申し訳なく思っております。


昨年はあの東日本大震災に関連して、多くの方が寄付をされたと思われます。それを受けて、更に息の長い支援の一助になるべく震災関連の寄付について寄付金控除の内容が拡充されています。


具体的には、国、著しい被害が発生した地方公共団体、日本赤十字社、報道機関、中央共同募金会、認定NPO法人、公益社団法人等々12項目の寄付金が震災関連寄付金として指定されています。詳しくは国税庁のHPの東日本大震災に係る義援金等を支出した場合をご覧ください。ただ寄付金控除の対象になるには採納証明書、領収書等の書類の添付が必要です。団体を通じて寄付した場合は個人には発行されないことが多いので残念ながら控除の対象にはなりません。注意してください。


寄付金額から2千円を控除した金額が寄付金控除額となります。一般の寄付金は所得の40%が限度ですが、震災関連寄付金は所得の80%まで控除可能です。多額の寄付をされた方に配慮されています。


また一定の中央共同募金会や認定NPO法人に対する寄付金は寄付金控除に変えて2千円控除後の寄付金額の40%の税額控除(所得税の25%が限度)も可能です。


このように多額の寄付をされた方は、多くの寄付金控除が受けられるようになっています。せっかくの制度ですので忘れないように申告をいたしましょう。自分の意思で困窮している人々にお金が使われるわけですから寄付という行為は尊いものです。後年、『東日本大震災という大災害があったがこれを契機に日本にも寄付文化が根付た』と言われるようになればと思います。

平成24年3月TOPIC


社会保障・税一体改革案

早いもので2012年も一ヶ月が過ぎようとしている。2011年は何といっても東日本大震災の年でした。今年はどんな一年になるのでしょうか?少しでも明るい年になってもらいたいものです。


さて、先日から通常国会が始まっているが、一番の議題は野田総理が成立に執念を燃やす社会保障・税一体改革案であろう。私も第2部の税制抜本改革案を中心に目を通してみた。内容はわが国の世界に誇る社会保障制度は「支えあう社会」の基盤である。その基盤が人口減少、少子高齢化の進行や格差の拡大で危機に瀕しているので税でまかないたい。というものである。増税項目は色々あるが主に消費税、所得税、相続税の次の項目である。


@消費税は2014年4月より8%、2015年10月より10%に段階的に引き上げを行う。
A所得税は課税所得5000万円超について45%の税率(現行1800万円超40%)を設ける。
B相続税は23年度税制改革案で見送られた基礎控除額の引き下げ(5000万円→3000万円法定相続人一人当たり1000万→600万円)である。


私も今の危機的財政状況を考えると増税はやむをえないと思うが、納得できないものがある。一番には、あまり話題にはなっていないが、国会に提出が予定されていた納税者権利憲章の制定が直前になって見送られたことだ。先進諸国で納税者の権利憲章が無く、納税の義務のみがあるという国はまれである。民主党は自民党が反対するので見送ったと説明しているが、増税をお願いするのに納税者の権利を保護しないのはいかがなものであろうか?


また、同時に公務員給与の削減法案と国会議員の定数削減法案が審議される。国が言っているように人口減少に苦しんでいるのであるから、公的機関の削減も当然である。人口は減少してもお役所だけは同じでは正にギリシャになってしまう。


更にここにきて低所得者には1万円を支給する法案が浮上してきた。国家財政が危機に瀕しているので増税案が提出されたにもかかわらず、またバラマキをするのか。国民を愚弄しているのかと言いたくなる。


あの3.11で助け合った日本国民を信じるべきである。自分たちが身を削り真摯に訴えかければ必ず理解は得られると思うがいかがでしょうか?

平成24年2月TOPIC


2011年

今年もいよいよ後わずかになりました。本当に激動の忘れられない年となりました。何と言っても3.11あの東日本大震災は記憶に生々しい出来事です。
タイの洪水もありました。ギリシャの財政危機からユーロ危機も勃発しました。先日には独裁国家である北朝鮮の金正日も亡くなりました。日本のみならず世界が大きく揺れ動いた一年でした。


先日TBSで放送された東日本大震災の特番で、改めて被災の状況を目の当たりにしました。被災された方々は、そのとき頭が真っ白になり悪夢を見ているような状況だったのではないかと思われます。そして日が経つにつれてどうしようもない現実に直面し、今正に絶望を感じておられることでしょう。特に大切な家族や友人を亡くされた方々の心情は察して余りあります。時間を経てその苦しみや悲しみが少しでも癒されることを祈るのみです。


また、福島原発事故は原子力発電の安全神話を根底から覆しました。廃炉に30年はかかるとの事、本当に怖い話です。被害にあわれた方々の怒りや絶望もいかばかりかと思います。


本当に何が起こっても不思議ではない。諸行無常とは正に真理だと思いました。また同時に自然の怖さと人間の無力も感じました。もっと言えば、これからの人生を社員と共有することだと思うのです。


そんな中でも、日本人いや世界中の人々の素晴らしさも改めて感じることができました。 被災された人々が困難な中、助け合い譲り合う姿や、ボランティアの方々の尽力、世界中から寄せられた多くの善意ある義援金等々。日本赤十字では3000億を超える義援金が送られています。やはり人間は素晴らしい助け合いの精神を有しています。改めて人と人との絆を感じることができました。


自分に何ができるかを多くの方々が考え実行されてきたと思いますが、これからは直接的ではなくても日々自分たちの仕事に懸命に打ち込みしっかり利益を確保し、その結果納税をすることも被災地の復興の一助になると信じています。


得意がずっと続かないように苦難もずっと続くことが無いといわれます。苦しい時こそただひたすら前のみを見つめて歩むことが大切なことだと思います。2011年は大変な年でしたが2012年は素晴らしい年になることを願っています。 
良いお年をお迎えください。

平成24年1月TOPIC