メジャーリーグのドジャース対カブスの開幕戦が3月18日、19日に、日本で大盛況のうちに行われた。大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希選手がドジャースに所属し、カブスには今永昇太、鈴木誠也選手が所属している。メジャーリーグでも、今や日本人選手は欠かせない存在になっている。その中でもひときわ存在感を示しているのが、大谷翔平選手である。

 

昨日(30日)の日経新聞に、その大谷選手や菊池雄星選手を育てた佐々木洋・花巻東高校野球部監督の記事が掲載されていた。その記事には人材育成について、示唆に富む内容が掲載されていたので、紹介いたします。

 

佐々木監督は、監督に着任した当初は甲子園出場すら遠かった。転機となったのは、県内の試合で負けた時に、ある恩師から「経営を学べ」と言われ、野球の本を捨てて、経営者の講習会に通う日々を過ごした。その中で、なぜ自分の学校に良い選手が来ないのかがわかった。それは、生徒からみれば、当時はプロ選手や、ましてや、大リーガーはもちろん、大学進学も就職も実績がなかった。これでは生徒は獲得できない。そこでまずは出口戦略から始めた。良い選手を集めるよりも、まずはきちんと教育して、大学や企業の欲しがる生徒を育てることを自身の目標に据えた。そもそも高校は人生の滑走路である。だとすれば、どこに飛び立つかが大事である。自分の仕事は野球部員を勝たせて甲子園に連れていくことではなく、その後の60年以上を勝たせる人生を歩ませることである。野球で大成した場合でもセカンドキャリアの可能性を考えることが大事である。そのためには正しい目標設定が必要になる。親も監督も子供が目標や進路を定めるように導いてあげるのが仕事である。81マスの真ん中に将来の夢や目標を書き、その周辺に中間目標や行動計画を書き込むマンダラシートを採用したりして、子供たちが自主性と主体性を持つように指導していった。その結果、優秀な選手も入学するようになり、甲子園にもたびたび出場できるような強いチームも作れるようになったとのことである。

 

人材は企業経営において、もっとも重要なファクターである。どの経営者も「経営者マインドを持ち、自主的に主体的に仕事に取り組むいわゆるパートナー的人材」を求めている。パートナーシップを持った人達の組織が理想である。お互いが仲間や同志という立場で運営していく組織、みんなが、自分事として経営を考えていく組織である。そのためにはやはり正しい考え方に基づく経営理念やフィロソフィの共有が不可欠である。フィロソフィが浸透すれば当然成果が表れるはずである。ただ佐々木氏が言われているように、成果を上げることが目的ではなく、企業の最終目標は「全従業員の物心両面の幸福」であることは言うまでもない。