毎日うだるような猛暑が続いている。明らかに地球は急速な温暖化に陥っている。温暖化には自然のサイクルの自然変動と、人為起源による二酸化炭素などの温室効果ガスが原因によるものとがあるが、昨今の温暖化は後者によるものであると断定されている。世界中の森林は毎年1000万haの面積が消失しているとのこと。人類活動によるCO2を吸収する森林までも急速に減少している。「森林を守り失われた木々を再生し、地球を守ることができるのか」人類は、宇宙の創造主に試されているのかもしれない。
ところで、紅麹問題で揺れた小林製薬が企業風土の改革に向けて動き出した。その内容が先日の日経新聞の「経営の視点」というコラムに掲載された。京セラ出身でJAL再生にも携わった太田嘉仁氏を会長に迎え、太田会長を中心とした「リーダー勉強会」が7月に発足した。勉強会では、稲盛経営哲学を学び、社内の意識改革を促す。社内の取締役、監査役と執行役員、一部の部長ら太田氏を含め35人が参加した。月2回のペースで7~10月の計8回の開催を予定している。8月からは稲盛氏が経営の要諦をまとめた「経営の原点12カ条」の勉強が始まっているようである。
JALのリーダー教育では、稲盛氏自らが自身の体験談を交えて人としての在り方、考え方を中心とした講義をした。リーダー教育が始まったころは、しらけた雰囲気だったのが、回を重ねるごとに一体感が出てきた。勉強会の後には必ずコンパが開催された。第一回リーダー教育の終盤に行われたコンパでは、全員が車座になりエネルギーに満ち溢れたコンパになった。参加者全員が一人3分の「決意表明」をしたのだが、1人3分という約束だったのだが、みんな熱心でなかなか終わらない、2回も3回もやる人がいた。自主参加していた政投銀出身の管財人代理の石井氏や、管財人の片山弁護士などは、頼まれもしないのに「私もしたい」と自身の熱い思いを語った。こうして、JALの中にあった巨大で頑丈な壁が崩れて、全員のベクトルが一致していった。紅麹問題で大きく棄損した小林製薬も、このように従業員の一体感を醸成できるかに再建の成否がかかっているのではないかと思う。
小林製薬にはもう一つの問題もある。それは創業家との関係である。創業者のひ孫にあたる小林一雅氏は「ブルーレッドおくだけ」や「熱さまシート」などヒット商品を多数創出し、医薬品卸だった同社を一代メーカーに育てたという圧倒的実績がある。定時株主総会で取締役会の議長を社外取締役が務めるという会社提出の定款変更議案は一雅氏ら創業家の反対で否決され、企業統治の問題が残った。
しかし、企業を動かすのは人である。意識改革と企業統治改革が合わさって初めて企業再生ができる。稲盛イズムを浸透させ、是非、企業再生を成し遂げて頂きたい。