2月8日に投開票が行われた第51回衆院選は事前の予想通り、自民党が単独で316議席という3分の2を超える圧倒的多数を獲得した。高市総理は国民の信任を得たとして責任ある積極財政や安全保障強化など、政策推進を加速させる考えである。また、年度内予算の成立を目指すと言っており、予算が年度内に成立すれば予算とリンクしている令和8年度税制改正も年度内成立することになる。

 

「令和8年度税制改正大綱」によれば、個人所得課税では、基礎控除額や給与所得控除額の最低保証額を引き上げ、「給与所得控除の最低保証額の特例」を創設する。法人課税では、「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設のほか、中小企業者等の少額減価償却資産の特例対象となる取得価額の基準を40万未満に引き上げる。消費課税においては、インボイス制度の経過措置(2割特例・8割控除)を見直す。資産課税では、一定の貸付用不動産を取得価額等に基づき評価する改正を行うほか、令和9年1月より「防衛特別所得税」を創設するなど、実務に大きな影響を与える改正が目立っている。その中でも国民の関心が高い「年収の壁」の引き上げについて取り上げた。

 

物価高に対応するため消費者指数に連動して基礎控除額を引き上げる仕組みが創設された。それにより基礎控除額が4万円引き上げられ58万円→62万円に、さらに令和8、9年分は中低所得者(合計所得金額が489万円以下)を対象に「基礎控除の特例」により42万円加算され基礎控除額が104万円になる。詳しくは別紙(1)の基礎控除額の改正を参照してください。

同時に「給与所得控除の最低保証額」も4万円引き上げられ65万円が69万になり、さらに5万円が加算され令和8、9年の給与所得控除額は74万円になる。それによりいわゆる「年収の壁」は給与収入金額で104万円+74万円で178万円と大幅に引き上げられることになる。この金額は令和10年分以降においても、生活保護基準額が178万円に達するまでは当該金額が維持される予定である。詳しくは別紙(2)給与所得最低保証額の改正、(3)年収別給与所得控除・基礎控除イメージを参照してください。

この改正に伴い配偶者控除や扶養控除等の所得判定基準がそれぞれ4万円引き上げられ、合計所得要件が58万円→62万円になる。給与収入のみの場合における配偶者控除、扶養控除の対象となる者の収入金額の目安は年収136万円以下となる。さらに社会保険の加入要件が130万程度なので働き控えが起こる年収の壁は実質178万円ではなく136万円未満になると思う。19歳以上23歳未満の学生は特例で年収150万円未満であれば社会保険の加入義務はないので年収の壁は150万円となる。以前にも指摘したが税と社会保険の一体改革を行わないと年収の壁の引き上げは難しいと思う。

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別紙 年収の壁の引上げ