8月も終わろうとしているのに、毎日猛暑が続いている。そんな猛暑の中8月24日に福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出が始まった。中国は日本からの水産物の輸入を全面的に禁止し、現地では日本の化粧品の不買運動や、日本人学校への投石など、再び反日感情が高まっている。憂慮すべき事態であるが、解決には時間がかかるだろう。

さて、日本ではいよいよインボイス制度が10月1日から始まる。ほとんどのお客様は対応済みであるが、事業者間取引の消費税の転嫁等は実際に始まってどうなるかである。まだ不透明な部分は残っている。

インボイス制度の導入と、もう一つの大きな改正である電子帳簿保存法の実施も令和6年1月1日から実施される。電帳法の悩ましい点は検索要件であるが、令和5年度改正で電子取引については、検索要件等の保存要件を満たすことができなかった時の猶予措置が設けられている。それにはまず保存要件を満たすことができなかったことについて税務署長が「相当の理由」があると認め、かつ税務調査の際に電子データのダウンロードの求め及び出力書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしていなければならない。「相当の理由」もシステム等の整備が間に合わないとか、資金繰りや人手不足等も理由に当たるが、何らかの理由がない場合は認められないとしている。決してフリーパスではないということである。

そして電子取引の猶予措置の適用がある場合でも、出力書面のみの保存は認められない。令和5年12月31日をもって廃止される“宥恕”措置では、出力書面の保存をもって事実上電子データの保存をしているものと扱われるが、令和6年1月1日からの新たな“猶予”措置では、出力書面の提示等に加えて、電子データそのものについても保存し、提示等できるようにしておくことが要件となっている。また、猶予措置を適用する場合は税務職員の提示等の求めに対して、一部でも応じなければ猶予措置の適用は受けることができなくなり、保存要件は満たしていないことになる。

多くの事業者においてはメール等での取引のやり取りが日常化している。それが電帳法における電子取引になるので、基本的には全ての電子取引の保存が必要になる。税務調査時には、当該取引履歴は調査官に求められた項目はすべて提示しなければならない。当然PCはすべて閲覧される。令和5年度改正の猶予措置で、電帳法は納税者の利便性の向上ではなく、課税庁の調査対応のために設けられた制度であることがはっきりしたと言える。