梅雨に入り毎日蒸し暑い日が続いています。また今年は4年ぶりにエルニーニョ現象が発生し、今後の天候が懸念されます。大雨災害が起こらないように願っています。

さて周知のように、インボイス制度が10月から開始される予定です。ところが、500万ほどの免税事業者のインボイス登録が23年5月時点で66万しかされてないということである。御存じのように、消費税の納税義務者が、インボイス発行事業者以外に消費税を支払ったとしても、仕入れ税額控除の対象外となり、税務署に納める消費税が増加することになる。政府はインボイス制度導入により、免税事業者が取引から排除される懸念を受け、免税事業者がインボイスの登録をした場合は、3年間は売上時に受けとった消費税のうち2割の納税で済む経過措置を設けた。それでも免税事業者の登録が進んでいないようである。日経新聞はその要因として次の5つを挙げていた。

  • 免税事業者の取引先の6割ほどが一般消費者ということである。そんなに多いのかと驚いたが、仕入税額控除が問題となるのはBtoB取引であるので、販売先が個人であればインボイスの発行は求められない。大きな要因と思われる。
  • 取引業者が売上5000万以下の簡易課税適用者である。私は要因としてはほとんど関係ないと思う。
  • 免税事業者との取引をした場合経過措置として3年間は仕入税額相当額の8割控除が可能とした。これは大きな要因となっていると思う。取引先が8割控除できるのだからすぐにはインボイスを求めていない。しばらく様子を見ようということは十分考えられる。
  • 農協等の組合員が、農協等に対して無条件委託方式かつ共同計算方式により販売を委託した農林水産物の販売は、組合員等から購入者に対するインボイス交付が免除される特例制度の存在。免税事業者である農業者等が100万ほどに上るということなので、これも要因の一つである。
  • 登録事業者になると当然消費税の納税義務者になり、納税と事務作業の負担が生じる。これも大きな要因と思われる。

 

財務省はインボイス制度によって新たに160万の免税事業者が登録事業者になり、その消費税収入を年間2500億円程と見込んでいたので、大きな誤算と言えるだろう。ただお客様の現状は業界によって対応が分かれている。インボイス登録を求めるような業界、そうでない業界で対応はまちまちである。事務所としてもお客様にとってどうするのが良いのか、消費税の受け手側、支払い側、双方の立場から個々に細やかな対応が求められる。