コロナウィルスの感染者数は毎日増え続け、日本でも9百万人に達しようとしている。ロシアによるウクライナ侵攻も膠着状態となり、いよいよ出口が見えなくなっている。世界中が不透明な時代になってしまったが、今年も多くの3月決算法人の申告をさせていただくと同時に、復活支援金の受給手続きのお手伝いをさせていただいている。ただ、月次処理が遅れがちになっており、ご迷惑をおかけしているお客様にはお詫び申し上げます。

さて、令和5年10月1日より消費税のインボイス制度が実施されるのは何度か記事にさせていただいた。同日以降、消費税の納税義務者が、インボイス発行事業者以外に消費税相当額を支払ったとしても、仕入税額控除の対象外となり、税務署に支払う消費税が増加することになる。令和3年9月の記事で、支払いをする納税義務者の事業者としては、取引先の洗い出しを行い①登録事業者、②未登録事業者、③免税事業者、に分類することをお勧めした。

消費税の納税義務者が②未登録事業者、③免税事業者へ今まで通りの支払いをすれば、不利益になってしまう。当然、当該事業者との取引条件の見直しを検討しなければならない。 消費税の納税義務者の方々は②③の事業者とは令和5年10月1日までに取引条件の見直しをすることをお勧めします。

ただその際に独禁法、下請法に抵触しないように気を付けなければならない。公正取引委員会は財務省とともに「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」を公表している。Q7では「課税事業者が、インボイスに対応するために、課税事業者になるよう要請すること自体は、独占禁止法上問題となることはない。しかし、課税事業者になるよう要請することにとどまらず、課税事業者にならなければ、取引価格を引き下げるとか、それに応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告することは、独占禁止法上又は下請法上、問題となる恐れがある。例えば、電子メール等で免税事業者に回答することなく、取引価格を引き下げる場合は、これに該当する。また、免税事業者が、当該要請に応じて課税事業者になるに際し、例えば、消費税の適正な転嫁分の取引価格への反映の必要性について、価格交渉の場において明示的に協議することなく、従来通りに取引価格を据え置く場合についても同様である。したがって、取引先の免税事業者との間で、取引価格等について再交渉する場合には、免税事業者と十分に協議し、仕入側の事業者の都合のみで低い価格を設定することがないよう、注意する必要がある」と示している。

消費税の納税義務者は上記の点に注意しながら不利益を被らないように、取引条件等を支払先と交渉してください。