4月25日から5月11日まで東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に緊急事態宣言、愛媛県には「まん延防止等重点措置」が適用されるなど毎日暗いニュースばかりの中、先日(4月11日)郷土出身の松山英樹選手が通算-10で悲願のマスターズ優勝を果たした。久しぶりの朗報であり、アジア人として初めての優勝ということで、まさに偉業である。テレビで解説者を務めた中島常幸、宮里優作のゴルフ関係者ばかりか、多くの人たちが歓喜に酔いしれた。松山選手と言えば誰にも負けない練習をするので有名で、「努力できる天才」とも言われている。それでも2017年の全米プロで最終日、首位争いの末、最後に崩れて5位となった時、人目もはばからず号泣した。それ以来優勝に見放されていた。努力しても努力しても勝利に届かない日々が3年間も続いた。そんな中の優勝なので、その努力を身近に見てきていた中島常幸プロをはじめ多くの関係者が、自分のことのように喜び涙したのだと思う。これで呪縛から解放されたと思うので、松山選手の今後の活躍がますます楽しみである。
松山選手の勝利の余韻が残る中、味気ない話になるが、国税庁が保険を節税目的に利用されている制度の見直しを検討している。低解約返戻金型生命保険(例えば、契約後10年間の解約返戻金を大幅に少なくし、その後に引き上げるような契約)は節税目的に使われるケースが散見される。まず、①契約者を法人とし、被保険者を従業員や役員にした契約を締結、②解約返戻金が低額な10年目に契約者等を法人から従業員等に変更、③翌年解約返戻金額が引き上げられる際に、保険契約を解約し、解約返戻金を従業員等が受けとる流れである。現行は給与課税すべき経済的利益を一律「解約返戻金」で評価しているが、これを解約返戻金が資産計上額の7割未満の場合は「資産計上額」で評価するようにする。パブリックコメントを経て、6月下旬に通達改正の予定である。
また、「被保険者以外の親族が受け取るタイプの介護保険の給付金」についても、課税上の問題点が浮上している。民間の介護保険は被保険者が一定の介護状態になった時に被保険者が保険金を受け取るのだが、被保険者ではなく被保険者の親族を保険金受取人にできる商品が販売されている。所得税法上「身体の障害に起因して支払いを受けるもの」は非課税とされ、被保険者本人のみならず、配偶者等一定の親族が、受け取る場合も通達で非課税として取り扱われる。想定される介護費用に比し多額の保険金を設定し親族に無税で渡す“抜け道”的な動きも散見され、国税庁は当該保険についても通達改正を検討しているようである。節税を意図して契約しても、受取段階で課税されてしまう可能性があるので注意が必要である。