連日3千を超える新型コロナウィルスの新規感染者が確認され、毎日のように過去最多を更新している。日本はまさに第3波に襲われている。今年もあとわずかになったが、コロナ、コロナで終わりそうである。ほとんどの業種がコロナの悪影響を受けている。来年の2月下旬頃にはワクチン接種が始まる予定である。一日でも早くコロナの収束が進み活気ある日常を取り戻してほしいと願っている。

そんな状況の中、12月6日小惑星探査機「はやぶさ2」が52億キロメートル、6年間に及ぶ宇宙の旅から地球に無事帰還し、カプセルの中からは、小惑星リュウグウのサンプルが確認された。ミッションはまさに「完璧」に達成されたようである。初代「はやぶさ」に続き、天体から物質を持ち帰る「サンプルリターン」に再び成功し、日本の技術力の高さを世界に示した。最近は、技術力が世界から遅れ始めていると言われているので、本当に朗報である。

「はやぶさ2」のプロジェクトチームは約600人の多国籍のスペシャリストで構成され、それを牽引してきたのが津田雄一プロジェクトマネージャである。彼は皆をぐいぐい引っ張っていくようなタイプの人間ではないので、一人ひとりと個別にコミュニケーションをとり、丹念に調整していったと話している。そして600人のチーム全体が一人の人間のように同じ意思を持ち、しかも600人の頭脳が有機的に結びつくようなチームを作り上げた。そして最後には600人のスペシャリストの集団が大きな「One Team」になれたようである。

津田氏はこのプロジェクトを通して自分の運命を切り開いたのだが、そのための大切なことは何か、との質問に「とにかく自分で目標を設定し、その目標に対してとことん深く追求していく、その一生懸命さが伝わると仲間が増えていく、仲間とともに進めば、一人よりももっと大きな運命の扉を開けることができる。だから、自分自身がどれだけ仕事にエネルギーを注いだか、どれだけ深く追求したか、その一生懸命さの先にしか運命は開けない」と答えている。まさに真理であり、原理原則である。企業経営にも通じる。  津田氏は「新しい科学がここからスタートする」と述べられた。「太陽系の成り立ち」や「生命の起源」をめぐり、新たな発見につながるか?本当に分析の結果が待たれる。来年の楽しみの一つである。

皆様には今年も本当にお世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください。