先月、改正消費税について書きましたが、いよいよ10月1日より10%に消費税が引き上げられるとともに、軽減税率制度が導入されます。その影響で現場が混乱する場合も想定されます。誤って軽減税率適用資産と思っていた商品が、税務調査で標準税率課税が適用されることも想定され、その結果大変な増差金額になることもあると思われます。事業者とともに我々もしっかりとした対応が求められることになります。

税務調査と言えば8月~11月にかけて多く行われる時期です。以前には、どのような事業者が税務調査の対象になりやすいかについて書きましたが、今回はその手法について述べてみます。調査手法の具体例としては、下記のような①照合、②実査、③確認、④補完というものがあります。

①照合 原始記録の作成過程の確認とともに、帳簿や証憑を照合、突合する。特に帳簿に載されている元となった原始記録を見たがります。

②実査 現金や有価証券などの実査、固定資産の除去の現物確認を行います。例えば工場があれば現場に赴き、製品の製造過程でどのような帳票のやり取りがあるか、いつから新規機械が稼働したか等を確認します。特に決算期末の新規取得は事業供用の時期を必ず確認します。

③確認 現金の保管状況や実際の残高の確認、修繕した箇所、消耗品等使用保管状況を確認し、会計処理と一致しているか確認します。現金商売の場合は、事前連絡なしに訪問し、現金残高等を確認することがあります。そのような場合は、驚かれると思いますが、落ち着いて対応しすぐに税理士事務所に連絡してください。

④補完 反面調査として取引先や銀行に行き、取引の内容の裏付けを行います。特に期末の取引は、期ずれが起こってないかを反面調査で確認することがあります。反面調査では相手方の日報、配送記録等で詳細に内容を確認します。

 

以上のように調査官は、色々な手法で申告内容の確認を行います。その結果、問題点として指摘された事項は明らかに会社のミスであれば仕方ないですが、調査官の指摘に納得できない場合もあります。その場合は、問題点を整理し、事実を再確認し、経済的合理性、会社の状況等を総合判断した結果、それを税法解釈にあてはめ、しっかりと説明することが大切です。そうすれば調査官の一方的な主張にはなりません。税務調査は調査されるのですから、決して気持ちの良いものではありません。しかし、調査によって、従業員の不正や、会社の内部牽制の不備等が判明することがあります。「税務調査は会社の課題の発見の機会である」と前向きな気持ちで受けることができるようにしたいものです。