今年も盛和塾の世界大会が7月17日~18日に横浜パシフィコで開催され、6名による経営体験発表が行われた。皆さん素晴らしい発表で参加した4,791名の塾生の大きな学びとともに、心に残る大会だった。
皆さんご存知だとは思いますが、盛和塾とは京セラの創業者である稲盛和夫氏の経営哲学を学ぶ会である。現在は日本56塾、海外44塾で、13,882名の塾生が稲盛氏の経営哲学を真剣に学んでいる。しかし、稲盛氏も御高齢(87歳)となり、体調もすぐれず、十分な活動が継続できないということで、2019年末をもって本部並びに各地の盛和塾は解散され、その活動を終了することになった。つまり世界大会も最後の大会となったのである。稲盛氏は体調不調で出席されなかったが、最後の大会を飾るにふさわしい大会だったと思う。
稲盛氏は、実は若い時は苦難の連続で、結核にかかり死の淵をさまよったり、大学受験に2回も失敗されている。やっと決まった就職先も入社してみれば倒産寸前の会社で同期の人間が全て退職し、一人取り残された。そこから、自分の居場所はここしかないと腹を決めて仕事に打ち込み始めてから人生が好転し始めたとのことである。そのような体験から、『人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力』という方程式があることに気付いたとのことである。その中でも、考え方(フィロソフィ)が一番大切であると説かれている。どのような考え方を持つかで人生自体が大きく変わってくるということだ。
今回の発表者の皆さんも、経営にあたる中で、フィロソフィの大切さに気づき、いかにして従業員にフィロソフィを浸透させていったかという発表だった。その結果、自分の心や従業員の気持ちが変わっていき、業績を大きく伸ばされている。まさに稲盛フィロソフィの実践者の方々である。
大会の最後に稲盛氏の講話が代読された。「フィロソフィの浸透に苦労されている方が多いが、フィロソフィを経営の手段と考えてはだめだ」ということである。稲盛氏が従業員にフィロソフィを説いていったのは、「従業員にも幸せな人生を送ってもらいたい。その一心だった」ということである。同時に経営者としての心構え、しなければならない事、等々を話されて、最後に、「盛和塾は今年で終わるけれど、終わりではなく始まりである。後は皆さんがいかに実践していくかにかかっている」と結ばれ、我々塾生に「一人一人が稲盛フィロソフィを実践し、社会の役に立ちなさい」という大いなるメッセージをいただいた。肝に銘じて生きていかなければと思う。