先日、財務省が「2018年度の税収が60.5兆円弱に達し、バブル期の1990年度に記録した過去最高の60.1兆円を上回ることが確実になった」と発表した。これは世界経済の好調さに支えられた面が大きい。所得税が予想より大きく上振れしたようである。法人税も好調だが年明けからは大きく落ち込んでいる。2019年度の税収は62.5兆円を見込んでいるが、米中貿易摩擦などで不安要素は多いようである。

税収の公表に先立ち、国税庁が実施している平成29年度の「会社標本調査」が6月19日に公表されている。当該調査は法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて税収の見積もり、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的として実施しているサンプル調査である。その結果は下記のとおりである。

(1)法人数

270万6,627社で対前年度比+34,594社の増である。

(2)利益計上法人及び欠損法人

利益計上法人数は100万6,857社で対前年度比+36,159社(全法人比37.2%)で7年連続増加している。

欠損法人数は168万7,099社で対前年度比▲2,328社(全法人比62.6%)で8年連続減少している。

(3)営業収入金額及び所得金額

営業収入金額は1,519兆4,651億円で対前年度比+68兆6,551億円の増である。

利益計上法人の所得法人は67兆9,437億円で対前年度比+5,721億円で8年連続増加し、過去最大である。

この調査結果からも長年にわたり順調に景気拡大が続いたと言えるが、ここにきて、世界経済の不 透明感が増しているので、来年度以降は要注意である

 

なお、当該調査結果の数値は上記以外にも色々ある。そのなかでも業種別所得率、業種別交際費の支出額等が気になるところである。所得率(利益率)の高い業種は不動産業で11.3%である。建設業は5.3%出版印刷業は2.7%、卸売業は2.7%と低い数字である。一社当たりの交際費支出額の高い業種は、化学工業が3,124千円、金融保険業2,629千円、機械工業1,775千円あたりである。逆に低い業種は農林水産業600千円、小売業801千円、不動産業801千円となっている。当該データは当然国税庁のKSKシステムに反映され税務調査等の選定時の参考にされていると思う。全部は紹介しきれないので、興味のある方は国税庁HPを参照してください。