4月19日に当事務所主催で『消費税の軽減税率等と事業承継税制への対応』の二本柱で、セミナーを実施しましたところ、お忙しい中多数のご出席をいただきありがとうございました。皆様熱心に受講していただき少しはお役にたてたのではないかと安堵しています。
ところが、そのセミナーの前日に、安倍総理の側近と言われている萩生田氏が「崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない」と述べ、再度の増税延期の可能性に言及し、増税を延期した場合には「信を問うことになる」と明言した。萩生田氏の発言が本当に安倍総理の意向だとすれば、私は国家のリーダーとして?が付く。消費税増税を党利党略に利用しているのではないかと思ってしまう。日本商工会議所の三村会頭もあきれて言葉もないという表情だった。というのも当日に麻生財務大臣との懇談会で消費税増税の確実な実施と、中小企業が増税分を円滑に価格転嫁できる環境整備を訴えたところだったからである。いまさら何を言っているという三村会頭の気持ちが良く分かった。
さらに野党の人たちのコメントにもがっかりした。皆さん一様に増税すべきでないというものだった。1100兆円を超える国等の借金を抱え、将来人口減になる日本財政を考えているのか?「残念ながら増税は避けられないが、我々国会議員の定数も、公務員の定数も削減します」と言える政治家はいないのかと思ってしまう。世間で言われているように、やはり日本の政治は劣化しているのだろうか?
それはさておき、今回の軽減税率の導入で、複数税率になり、ヨーロッパのようなインボイス方式に移行せざるを得なくなった。インボイス方式では事業者登録が必要となり、事業者間取引いわゆるBtoB取引においては、最終的には免税事業者は排除されていくと思う。登録事業者ではない事業者に支払った消費税相当額は仕入税額控除ができないので、支払者の消費税の納税額は増加してしまうからだ。特に一人親方や、コンサル業、士業等の免税事業者は、消費税相当額を値引きするか、自ら登録事業者になり消費税を納税するかの選択を迫られると思う。財務省はそこを見越して、すでに2,000億円の消費税の増加を予定している。
インボイス方式は零細事業者に厳しい制度である。しかし、結果として、マイナンバー制度との相乗効果で、今後、所得税、消費税の無申告者等もいなくなっていくと思う。