安倍総理の突然の衆議院解散により22日に投票が行われた。その結果、定数が10減少したのにもかかわらず、自民党が284議席を確保し、公明党とも合わせて全議席の3分の2を上回る313議席を確保し圧勝した。

今回の公示直前には小池東京都知事が「希望の党」を立ち上げ自ら代表に就任し、さらに野党第一党であった民進党の代議士が希望の党から出馬するなど目まぐるしく情勢が変化した。ここまでは、今回の選挙が「大義なき解散」とか「森友・加計隠し解散」とか非難されていたこともあり、政権選択選挙になるのではとも言われていた。

そこから、ご存知のように小池代表のあの「さらさらない」「排除」発言が飛び出し、希望の党は一気に失速してしまった。排除された党員の受け皿として枝野氏が「立憲民主党」を立ち上げ、多くの小選挙区で自民党、希望の党、立憲民主党の3極による争いの構図となり、野党勢力が分裂したことにより結果として与党が小選挙区全体の4分の3超の議席を獲得し圧勝した。

与党圧勝の一番の要因は希望の党の失速である。政治は「一寸先は闇」とよくいわれるが、まさにこの言葉が実証された選挙だった。政治評論家たちは排除発言さえなければ希望の党は失速しなかったと言っていますが、私はそうではなく多くの有権者はその言葉の裏にある小池氏の人間性を見抜いたのでないかと思う。選挙で有権者に選ばれ、実績のある政治家を、排除という言葉を使い、それを笑いながら言った小池氏の態度は、「日本をよくしたい」という大義はなく、不遜で権力欲だけの人に見えた。今回の選挙で受けた小池氏の損失は大きく根が深い。今後の政治生命にも大きなダメージを残したと言える。

それに対して枝野氏は排除された人たちを救うために、立憲民主党を立ち上げ安倍政権への対決姿勢を明確に打ち出した。「自由と民主主義に立脚した立憲主義を守る」を党綱領に掲げ、安全保障関連法案の廃止などの政策を軸に共産党や社民党とも連携して55議席を獲得し躍進した。立憲民主党に志や大義を感じて投票した有権者も多かったのではないだろうか。

安倍総理には、大義は感じられなかったが、大変な戦略家だし決断力を感じた。結果は大勝利であったが、諸々の問題は残されたままである。当選者は多くの有権者に支持され選ばれたのであるから志を高く持って未来の日本のために謙虚に政治に邁進していただきたい。