トランプ氏がアメリカ大統領に正式に就任して、選挙中に主張していた政策を実行するため、次々と大統領令を発令している。 排外主義と敵意の拡散で大衆をひきつけ、外交も安全保障も取引の材料にする人がリーダーになってしまった。 アメリカ人はリーダーとして一番ふさわしくない人物を選んでしまった。 多くの人が「世界は一体どうなってしまうのだろう?」と思っているはずである。 これで一気に不安定要素が増大したことは間違いない。 日本もトヨタが名指しで批判されたり、貿易が不公平だとやり玉に挙げられている。 現状をどこまで理解しているのかわからないので、なお厄介である。
そんな中日本では、初場所で稀勢の里が初優勝を飾るとともに、日本人として19年ぶりに横綱昇進も成し遂げ、久々に明るい話題に包まれた。 優勝インタビューで、一言「うれしいです」と答え、苦しい時に支えてくれた人への言葉をもとめられた時に、「感謝しかありません・・・」と、一筋の涙がほおをつたった。 万感の思いが伝わってきて、その姿に稀勢の里のファンに限らず、多くの人が胸を打たれたと思う。
稀勢の里ほど多くの人に期待され、何度もその期待を裏切った力士は珍しい。 それでも腐らずにただ一途に努力する姿に、多くの相撲ファンが魅了され破格の声援を受け続けてきたのだろう。 稀勢の里は、先代の鳴戸親方に見いだされ、その教えをひたすら愚直に守ってきた。 その純粋さ、愚直さが多くの相撲ファンをひきつけるとともに、その純粋さが強さの原動力になっていると思う。
純粋さは軟弱な人間を強くし、ひ弱で、意思の弱い人間を強くする。 純粋であることが、迷いを消し、純粋であることが、人間を真剣にし、ひいては人間を美しくさせるのだと思う。 それを稀勢の里に感じるので、人々は魅了されるのだ。 稀勢の里は、純粋で一途であることの大切さ、愚直であることの素晴らしさを体現した力士なのだと思う。 横綱として今後の一層の活躍を期待してやまない。是非頑張ってほしい。
坂村真民の素晴らしい詩があるのでここに紹介します。
一途に生きているから星が飛び、花が燃え、天地が躍動するのだ。
雲が呼び、草が歌い、石がうなるのだ。
一心に生きているから、この手が合わされ、
憎しみを愛に変えることができるのだ。
一途であれ、一心であれ。