10月26日に国勢調査の結果が公表された。 日本の総人口は、2015年10月1日現在1億2709万4745人で前回調査(2010年)から約96万人減少したとのことである。 調査開始以来、初めて減少に転じ、かつ75歳以上の人口は1,612万人と総人口の8人に1人を占め、これも初めて14歳以下の子供を上回ったとのこと。

愛媛県も松山市を含むすべての市町村で減少し、138万5,262人(46,231人減)になったようである。いよいよ本格的な人口減少時代の到来です。

そんな中、10月25日に政府税制調査会が開かれた。以前は女性の就業促進等の視点から、配偶者控除の見直しが盛んに議論されていた。 しかし、これは社会保険等の他の分野の政策と足並みを揃えて進められる中で、取り組みを行うべきとして、中長期的な観点から税制の在り方を考え、 給与所得控除等の改革を視野に入れて議論すべきだと所得税の抜本改革に舵を切ったようである。なお現在の給与所得控除は以下のようになっている。

給与等の収入金額 給与所得控除額
180万以下 収入金額×40%(65万未満は65万)
180万超360万以下 収入金額×30%+18万
360万超660万以下 収入金額×20%+54万
660万超1,000万以下 収入金額×10%+120万
1,000万超1,200万以下 収入金額×5%+170万
1,200万超 230万(上限)

以前から指摘されていたが、日本の給与所得控除は、世界的に見ても高い水準になっている。 その結果、伝統的自営業者や、最近増加してきた建築技術者、SE、保険代理人等の労働者に近い「雇用的自営者」との不公平感がある。 そこで、政府税調は働き方に影響しない「中立的な税制」の実現のためにも給与所得控除を引き下げ、 全員に認められている所得控除の基礎控除を大きく引き上げる方向で一致したようである。 同時に、年金受給者に恩恵が厚すぎるという指摘がある公的年金控除も縮小し世代間の不公平性を解消する考えである。 なお配偶者控除は廃止せず、年収要件を103万から引き上げる案を軸に検討されるようである。

この改正が行われれば所得税の大改正である。しかし日本の場合は大多数が給与所得者であり、この改正はなかなか容易ではないと思う。 税制改正は国会で成立するため、政治力学により左右される側面が強い。だが税制は国家の基礎である。 大山鳴動して鼠一匹にならぬようベストの改正を行ってもらいたい。