私の生まれ育った大洲市柳沢に、地域で一番高い山である壺神山(標高971m)があり、 その山頂近くには、大国主命と少彦名命の二神を祭った壺神神社があります。 その神社で毎年4月28日に『春の大祭』が行われるのですが、成り行きで、そのお世話役をさせていただいています。 当日は県の無形文化財に指定されている藤縄神楽の奉納や、甘酒のサービス、最後には餅まきも行うので、神社の清掃、餅まき用の餅つき等々その準備はなかなか大変です。
大洲市柳沢地区は、年々加速度的に過疎化が進み現在は253世帯、人口544人、高齢化率50.7%の地区で存続さえ危ぶまれている地域です。 そんな中でも同級生や同世代の方々が中心となって、懸命にそれも明るく、地域を支えている様子を見るにつけ本当に立派だと感心させられます。 そういう方々の献身的な協力のもと、何とかこの『春の大祭』が30年以上続けられています。
当日は生憎の雨模様の中、同級生も数人わざわざ松山から、それも仕事を休んで参拝に駆けつけてくれ本当にありがたかった。 また、同級生でもある地元の県会議員も神事から参加してもらい、挨拶をしてもらった。 その内容は「こういう行事が地域の結束を生み地域の活力の源になるということ、さらには熊本地震で亡くなられた方々の冥福と、 一日も早い復興、さらにはこのような震災が二度と起きませんようにとお祈りをしました」という趣旨の挨拶でした。
人間は、ついつい自分のことや家族のことを中心に祈りがちですが、彼は政治家らしく地域や日本のことを考えて祈ったと言いました。 彼の話を聞いて、今更恥ずかしいことですが「祈りとは個人の願いではなく、 地域全体ひいては世界中の平安を願うことが本質なのだと気付かされました」もともと神社や仏閣は地域の平安の祈りの対象として建立されたものです。 改めてその意義がわかった気がいたしました。
もともと壺神神社は、少彦名命があまりの素晴らしい眺望に気を取られて置き忘れたと言われている薬壺が御神体です。 壺神神社からは、大洲盆地はもちろんのこと、天候に恵まれれば、伊予灘、佐田岬半島、松山に至るまで一望できます。また、標高が高いので、 5月にはシャクナゲを中心に水仙、八重桜等々の花々が咲いており色々な花を観賞できます。 特にシャクナゲは神社正面に多数植えられておりなかなか見ごたえがあります。神社まで舗装道路が通じており車で参拝できます。 かなり山道をあがりますが、足を伸ばしていただけたら幸いです。