今年も確定申告の時期を迎え、日々確定申告書の作成に追われ、法人の皆様にはご迷惑をおかけしております。 この超繁忙期ではあるが、盛和塾(京セラ名誉会長稲盛氏主催の経営塾)の世界大会中四国ブロック選考会が先日松山で開催されたので、無理を押して参加した。

中四国ブロック選考会とは、経営者の体験発表をする世界大会の中国四国地域の代表を選ぶ選考会である。 当日は6名の発表者があったのだが、皆さん素晴らしい発表で感動の連続だった。

社長就任直後に赤字に陥り、不安で夜も眠れない中、稲盛氏の「誰にも負けない努力」の言葉に出会い、「誰にも負けない努力をしてだめだったら仕方ない」と腹をくくることができ、それからは必死に仕事に打ち込み眠れるようになった。 とか、仕事に対する誇りが持てないなか、「今の仕事をこれは神が与えた天職だと思い今の仕事を好きにならなければならない」との言葉に出会い救われた。 とか、皆さん稲盛氏の言葉に勇気と気づきをもらい、業績を伸ばしていったとの発表が多かった。皆さんがど真剣に経営に打ち込んでいる様が心に伝わってきた。

気づきと言えば、松下幸之助の側近だった江口克彦の『ひとことの力』という著書の中に、「風の音を聞いて悟る」という項目があった。 それは幸之助氏の側で仕事をするようになって一年ほどたったある日、「きみな、風の音を聞いても悟る人がおるわなー」とぽつりと言われた。 その時は何のことかわからなかったが、数日間、何のことだろうと考えていたら、この言葉が自分を叱責している言葉だと気付いた。 というのは江口氏は緊張のあまり幸之助氏の話に相槌を打って聞くだけで精いっぱいだった。 それに幸之助氏が不足を感じ、「問題意識、目的意識を持っていればたとえ何でもない杉木立を鳴らす風の音を聞くだけでも、あっ、そうかと悟ることができる。 君は私の話から何を学んでいるのだ」という自分への叱責であり、教えの言葉だったと気付き、その一瞬、体が凍る思いがした。 と書かれていた。幸之助氏らしい凄味のある言葉だと感心した。

「世の中には原理原則、真理がありそれにいかに気づくか」によって人生が大きく変わっていくように思う。 怠惰に目的意識もなく生きていたのでは、魂を揺さぶるような出来事や言葉に出合っても、何事もなく過ぎ去ってしまうのだと思う。 この幸之助氏の言葉は「普段から目的意識を持ち、自分のエネルギーを高め、真摯に生きなければならない」ことを改めて教えてくれた。