クリスマスも終わり、今年もあっという間に暮れようとしています。年々時間が加速度的に早くなっているような気がします。 そんな中、東芝が7800人を削減するリストラ策を発表した。すでに決定されている半導体事業の人員削減と合わせると、1万人を超える数の人員削減を実行するとのことである。 室町社長は「ほとんどの方に退職をお願いすることになる」と説明していたが、従業員の方にとっては不安な越年となったことと思う。

今回の不祥事で辞任した歴代3人(田中、西田、佐々木)の社長は、田中社長「下期は黒字にすると市場に約束している」、西田社長「死に物狂いでやって最低100億の利益を出せ」、佐々木社長「決算までの3日間で120億円の利益を出せ」とか過大な要求を部下に突き付けていたようである。 特に西田社長はあからさまに「経理なんかは言われたままに数字をつけておけばいいんだ」と発言したという。本当にこの人が一流企業と言われた東芝の社長だったのかと耳を疑う言葉である。

西田氏は全く会計の重要性を理解していなかった様である。『決算書は市場からのメッセージであり、今の経営方針や戦略がお客様に受け入れられているかどうかの結果』なのである。 そのことを真摯に受け止めなければならないのに、数字をいじって粉飾決算をしてしまった。リーマンショックの時、日立やパナソニックは業績不振に苦しみ、日立は家電事業を縮小し、パナソニックはプラズマテレビの生産から撤退する一方、住宅や自動車向けの事業に投資し、各々業績を改善させた。 東芝はその不正経理の付けを今回払うことになるが、その代償はあまりにも大きいと言わざるを得ない。まさに崖っぷちに立たされている。歴代社長の罪は本当に重い。

今年は東芝だけでなく、東洋ゴムの防振ゴムのデータ偽装、旭化成建材の杭打ちデータ改ざん偽装、フォルクスワーゲンの排ガスデータ改ざん等々、多くの偽装が発覚した年である。 本当に人間として恥ずべき行為であり、一種の犯罪である。しかし、これらの不正行為は誰もがしてしまう可能性があるのだと思う。これらの事件は、はからずもそのことを証明してしまったことになる。 『人間として正しく生きるためには、確固たる信念に基づいた覚悟と勇気がいる』のだと思う。改めてそのことに気づかされた一年となった。

今年は公私にわたり本当にお世話になりました。ありがとうございました。来る年が皆様にとって幸多き年になりますようお祈り申し上げます。