先日マイナンバーについてセミナーを開催したところ、お忙しいところ多数の出席をいただきました。紙面を借りてお礼申し上げます。

マイナンバー制度は、事業者は個人番号関係事務実施者と呼ばれ、事務負担と管理責任が生じます。事業者の皆様には事務負担と管理責任が増えてしまいました。 10月になると各人に通知カードが届きます。ちなみに松山市は10月下旬から12月にかけて発送され、個人によってかなり時間差があるようです。 事業者にとってはなかなか大変な制度ですので、しっかり対応をしていかなければならないと思います。不明点等ありましたら、お気軽に当事務所にお尋ねください。

さて、セミナーの中でも触れさせていただいたのですが、9月10日に消費税の軽減税率について財務省案が発表されました。買い物時に10%の消費税を支払い、あとで2%分を払い戻す還付制度である。 還付対象は酒類以外の飲食料品です。買い物時にマイナンバー制度による個人番号カードを利用して購入額に応じたポイントを取得し、税務署に申請すると2%分の還付(4,000円限度)がされるという制度です。

この財務省案を見たとき正直よく考えたと思いました。財務省の苦肉の策です。というのも複数税率を採用する場合は、インボイスが欠かせません。 日本の消費税は帳簿方式という独自の制度を採用しており、これをインボイスに移行するには大変な費用と労力を要します。その導入に伴う様々な問題を勘案すれば軽減税率の導入は経済合理性に著しく反していると言わざるを得ません。

税に詳しい人たちはそのことが良くわかっているので軽減税率に関してはほとんどの人が反対しています。 それでも公明党が軽減税率の導入を強硬に主張をし、もともと消極的だった自民党も同調してしまった。その中で財務省が考え出したのがマイナンバーを利用した還付制度です。

ところが財務省案も、手続きの煩雑さ、軽減対象商品の線引き、還付の上限額は適正か?そもそもマイナンバーカード普及は間に合うのか? 等々多数の問題点が指摘されだし最後に公明党が「財務省案は痛税感の緩和につながらず受け入れがたい」として猛反対し今秋をめどにしていた取りまとめを見送ることになりました。先行きはまったく不透明です。 経済界では軽減税率は零細事業者には対応できないとの声もあります。とにかく事業者にとってこれ以上の負担は極力避けた案(白紙撤回も含め)を、と切に願います。