W杯の真っ最中であるが、残念ながら日本は一次リーグで一勝もできずに敗退してしまった。 まだまだ世界との差は大きかったようである。
さて国内においては、アベノミクスの第三の矢である成長戦略の一環として、数年かけて法人税率を20%台に引き下げるという法人減税が話題となっている。 ただ減税の財源をどこに求めるかで色々な案が検討されているようだ。
税率引き下げに伴う減収を補うために以前からよく議論されるのが、課税ベースの拡大である。 つまり政策減税の縮小廃止である。 特に試験研究費の税額控除がターゲットになっているようである。 これだけで3,700億円が減税されているとのことである。 また政府税制調査会は大企業だけでなく中小企業にも負担を求める考えを示した。 軽減税率の縮小や赤字法人課税の強化が柱になるようである。 現在中小企業(資本金1億円以下)においては所得の800万以下を15%の税率とし大企業より10.5%優遇されている。 これを縮小すると同時に、赤字でも一定の税金を支払う外形標準課税を中小企業にも拡大する検討がなされているが、 どの案も経済界や商工会議所などが反対の声を上げていて、実現への道筋は見通しにくくなっている。
しかし、この厳しい財政状況の中なぜ法人減税が検討されているのであろうか?当然成長戦略のために必要な施策ではあるが、これは一時的な政策減税ではなく、 恒久減税として検討されている。 何故なのだろうか?
それは世界との比較である。 日本の実効税率は35.64%であるが主要国の実効税率は、アメリカ40.75%、フランス33%、ドイツ29.55%、中国25%、韓国24.2%、シンガポールに至ってはなんと17%である。 特にアジア諸国の実効税率が安くなっている。 税もコストであるので法人税が高ければコスト競争力に影響を及ぼし、外国企業が日本に進出しづらくなるだけではなく、 輸出等においてもコスト面でハンディを負ってしまうことになるからである。
現在25年度の法人税の税収は約8.7兆円で税収の20%を占めている。 ちなみに所得税は13.9兆円で約30%、消費税は10.6兆円で25%である。 少なくなったとはいえ国家の基幹税としての役目を担っている。 以前から財務省は法人税は基幹税としての役目は終わったと言っていたのだが、財政のことを考えると法人税収を減らすわけにはいかないようである。 しかしそうすると何のための減税だろうか? 税率を引き下げても企業の負担額が変わらないのであれば意味がないと思うのだが?