先日ソフトバンクによる米携帯会社スプリント・ネクステルの買収が決まった。買収金額は何と1兆8千億円とのことです。相変わらず孫正義氏は思い切ったことをされます。

 

しかし、その結果ソフトバンクは携帯電話の契約総数が9,700万件になり世界第3位の携帯電話会社に躍進するとの事です。

 

私たちは仕事柄たくさんのお客様の決算書を拝見したり、作成させていただいていますが、決算書は社長の性格や考え方がそのまま反映されていると感じます。堅実でまじめな性格の社長であれば、堅実な 安心感のある決算書になり、強気で前向きな社長であれば、躍動感がある決算書になります。

 

そこで、孫正義社長がどういう人なのか、ソフトバンクの決算書よりその考え方や性格を考えてみました。
孫氏は創業社長なので、上場企業といえど、その性格が反映された決算書となっているだろうと思います。
以前にも書かせていただきましたが、貸借対照表は経営者の意思決定の塊です。社長の考え方や性格がより反映されていると思いますので、まずソフトバンクの貸借対照表を見てみます。

 

 

上記の貸借対照表を見ますと積極的に資金を調達して投資をした結果が表れています。特筆すべきは上記には表示されていませんが、前期と比較してたった1年で資産総額が1兆6千億円増加しています。
これは多額の借入金等や、下記の経営成績で解るように、高業績による高い経常利益(653,214百万円)を元に積極的投資をされた結果です。

 

 

上記の決算書からは孫氏の強気で積極的な性格が読み取れます。もともと孫氏は、10年先には世の中はどうなっているかを熟考して投資をする手法で成長されています。ヤフーへの投資、アイフォンへの投資 を他に先駆けることにより、先行利益を得てきています。驚くべき能力だと思います。

ただその結果として、自己資本比率が23.1%しかありません。前期にいたっては19.1%です。KDDIの自己資本比率が55%、NTTドコモがなんと75%あることからみれば、大きく見劣りがします。しかし、孫氏がリスクを覚悟で積極的投資を続けてきた結果、今のソフトバンクがあるわけです。

今回のような1兆8千億円もの多額の投資の成功のためには、今のような高収益(経常利益率10.3%)な業績が必須要件になると思います。収益性が低下すれば、たちまち資金的に苦しくなると思います。同時 に収益性の確保以上に大切なのは、ソフトバンクの『情報革命で人々に幸せを』という経営理念を孫氏がどれだけ純粋に思いつづけられるかにかかっているのではないかと思います。ともあれ、強気な性格の 孫氏が、今後どういう結果を出していくか興味は尽きません。