先日(1月25日)平成25年度税制改革の大綱が閣議決定され、当該改正案が3月の上旬に国会に上程される予定である。
既に新聞紙上等でご存知だとは思うが、なかなか盛りだくさんの内容である。大綱の前書きに現下の経済情勢を踏まえ、「成長と富の創出の好循環」の実現に向け、民間投資の喚起、雇用・所得の拡大、中小企業対策・農林水産業対策等のための税制上の措置を講ずる。また、社会保障・税一体改革を着実に実施するため、所得税、相続税及び贈与税についての所要の措置、住宅取得に係る税制上の措置等を講ずる。さらに、震災からの復興を支援するための税制上の措置等を講ずる。と書かれている。
民間投資の喚起や雇用の拡大は設備投資減税や雇用促進税制の拡充、相続税は基礎控除の引き下げによる課税強化、贈与税については、最高税率を相続税に合わせる一方で、子や孫等が受贈者となる場合の税率構造の緩和、消費税率引き上げにともない、住宅ローン減税等の拡充等々を網羅的に表現していてさすが日本の官僚の文章だと変なところで感心させられる。
ところで、今回の税制改正で驚いたのは、10年間、500万円の非課税投資を可能とする日本版ISA(非課税講座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)と教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置についてである。
何が驚いたかというと、日本版ISAは非課税口座を証券会社が管理し、何とその口座の動きを税務署とオンラインで結んで管理する予定であるらしい。
また教育資金の一括贈与(1,500万円まで)に係る贈与税の非課税措置については、銀行等がその非課税口座を管理し、教育資金かどうか銀行等が判断し、その口座から支出をするとの事である。銀行等にとってもなかなか大変な作業である。なお、この制度は30歳までに使用しなかった金額は贈与税が課税される。鳴り物入りの制度だが、個人的にはその効果に?である。
ともあれ、国税庁は将来導入が予定されている全国民を番号で管理するマイナンバー制への布石として金融機関を介し課税管理を行おうとしているのであろう。マイナンバー制は社会保険制度の悪用や脱税を防止するために必要な制度であるとは思うが、個人情報を国が管理するという制度である。決まり文句になってしまうが慎重な運用が求められよう。