原発事故の終息もまだまだ見えず放射能汚染は、ここにきて色々な形で広がりを見せている。多額の財政赤字を抱え、その上多額の復興財源が必要になる。そんな時に政治は迷走を極めている。そんな日本なのに円は急騰し、77円台で推移している。いったいどうなっているのでしょうかね?

 

さて今回、盛和塾愛媛で稲盛氏の著書「実学」の紐解きの依頼を受けた。「実学」は主に会計について書かれた著書である。私は以前から、日本の経営者の中でこれほど会計の重要さを説かれた人は、稲盛氏が最初ではなかろうかと思っている。

 

稲盛氏は「実学」の前書きで、それほど重要な会計というものが、日本では経営者の方々から軽視されている。会計といえば後追いの仕事でしかないと考えていて、中小の経営者の中では税理士や会計士に毎日の伝票を渡せば、必要な財務諸表はつくってもらえるのだから、会計を知らなくてもいい、と思っている者もいる。経営者として必要なのは、結果として「いくら利益が出たか」「いくら税金を払わなければならないのか」ということであり、会計の処理方法は専門家がわかっていれば良いと思っているのである。さらに、会計の数字は自分の都合のいいように操作できる、と考えている経営者さえいる。と述べられている。残念ながらそういう経営者もいらっしゃいます。

 

稲盛氏は真剣に経営に取り組もうとするなら、経営に関する数字は、すべていかなる操作も加えられない経営の実態を表す唯一の真実を示すものでなければならない。損益計算書や貸借対照表のすべての科目とその細目の数字も、誰から見ても、ひとつの間違いも無い完璧なもの、会社の実態を100%正しくあらわすものでなければならない。
なぜなら、これらの数字は、飛行機の操縦席にあるコックピットのメーターの数字に匹敵するものであり、経営者として正しく到達させるためのインジケーターの役目を果たさなければならないからである。と述べて、経営をする上に必要不可欠なものであるといわれている。職業会計人としてはわが意を得たりである。

 

稲盛氏はJALの再建にあたっても、フィロソフィーと管理会計であるアメーバー会計のみで再建に取り組んでいると言われている。

 

稲盛氏の著書は哲学や、理念や、考え方について書かれている本が多いが、唯一この「実学」は、原理原則に基づきながらもより具体的に方法論を述べられている。興味のある方は、日経新聞社より文庫本(550円)が出版されているので読まれてみれば良いと思う。