平成22年税制改正は民主党政権になって初めての税制改正です。皆さんご存知のように民主党は消費税の増税を当分は実施しないことを、公約に掲げています。そのしわ寄せでしょうか?平成22年税制改正は明らかに増税色が色濃く出ています。

 

まず、身近なところでは、所得税です。所得控除の見直しが行われる予定です。年少扶養親族(扶養親族のうち年齢16歳未満の者)にかかる扶養控除は廃止の予定です。これは子供手当てが支給される予定ですので、控除から手当てという流れで廃止される予定です。
子供手当てが満額(31.2万円)支給されれば子供のいる全ての家庭が潤います。というのは、現在の最高税率は住民税も合わせて50%ですので、最高税率の方でも増税額は19万円(38万円×50%)です。差し引き12.2万円の得になります。

 

16歳以上19歳未満の特定扶養控除の上乗せ部分25万円も廃止されます。これは高校の授業料の無料化に伴う措置です。公立高校で授業料が12万円ですから、最高税率適用者で約12.5万円の増税ですのでほとんど損得ありません。最高税率適用者以外の多くの方は得になり恩恵を受けます。

 

また、『世紀の悪法』と私は思っているのですが、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度が平成22年4月1日以後終了事業年度から廃止されます。喜ばしいことですが、来年度には所得税で形を変えて復活すると囁かれております。糠喜びにならない事を願っています。

 

それに関連して、税金計算の折、給与から差し引かれる給与所得控除が見直されるかもしれません。そうなれば、多くの人が対象となりかなりの増税になります。『今回の改正はその布石ではないか?』と思うのは考えすぎでしょうか?

 

さらに、相続税でも大きな改正がありました。あまり騒がれていませんが、小規模宅地等の課税の特例が見直されました。相続人等が相続税の申告期限まで事業または居住を継続していない宅地等を適用対象から除外されました。これは、私たち専門家の間では結構大きな改正だと認識しています。この見直しにより増税になる事案が結構あると思われます。

 

また、相続税法24条(定期金に関する権利の評価)が改正され、生命保険を年金形式で入られている方は大きな影響があります。現行の評価方法よると評価額と実際の受取金額の現在価値の乖離がかなりあります。これを利用して節税を図るという謳い文句により生保各社が積極的に営業を掛け、特に銀行関係の窓販により爆発的に契約が増加しました。それが大きな理由で今回の改正にいたったと思われます。この種の生命保険を利用した節税策は当局とのいたちごっこの様相を呈しています。とにかく、この生命保険に加入されている方の平成22年4月1日以後の相続については大きく増税になります。

 

相続税に関しては遺産課税体系から遺産取得税体系への移行が検討されておりそれに伴い相続税の基礎控除も見直され増税の予定です。

 

というように、22年度税制改正は特に所得税、相続税について増税されます。それと共に更なる増税への布石が着々と打たれているように思われますが、いかがなりますでしょうか?