世の中は景気後退につぐ景気後退で非常に厳しさを増している。その中で平成21年度の税制改正が行われた。色々な改正が行われたが、その中の土地税制について考えてみた。財務省は土地取得の推進の為に、Ⅰ平成21年及び22年に取得した土地等の長期譲渡取得の1,000万円特別控除制度、Ⅱ平成21年及び22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例を創設した。しかし、土地取得の推進を図り、土地価格の下落防止という点から見るとその効果は限定的といわざるを得ない。何故なら、特別控除制度は土地が将来値上がりすれば大きな効果がある。しかし、土地の価格が現状のままか、ましてや値下がりすればこの制度は何の効果も持たなくなる。その結果『将来土地の価格が上昇する』と判断する人に対してしか、土地購入の推進役にならないだろう。
また、先行取得をした場合の課税の特例も、現在含み益のある土地を所有している者のみが恩恵を受けられる制度である。二つの制度とも思い切った制度に見えるが実際は恩恵にあずかれる人は限られる。という事は、この税制が土地取得の推進役にはならないと思われるが、はて、いかがなものか?
なお、制度の概要は以下のとおりである。

 

Ⅰ平成21年及び22年に取得した土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除制度

当該制度は個人が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をした国内にある土地等で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その年中の当該譲渡に係る長期譲渡所得の金額から1,000万円が控除できます。
なお、法人についても同様の措置が講じられます。

 

Ⅱ平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例

法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に、国内にある土地等を取得し、その取得の日を含む事業年度の確定申告書提出期限までにこの特例の適用を受ける旨の届出書を提出した場合、その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、その事業者の所有する他の土地等の譲渡をした時は、その先行取得した土地等について、他の土地等の譲渡益の80%相当額(平成22年取得分については60%相当額)を限度として、圧縮記帳ができます。
なお、個人事業者についても同様の措置が講じられます。

 

※Ⅱについては、取得した日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに、この特例を受ける旨の届出書を必ず提出しておかなければならない。これを失念すると土俵に上がれない。