今年も、7月中旬に(財)日本税務研究センターが主催する、2泊3日の夏期セミナーに参加してきた。場所は、昨年と同様、軽井沢の万平ホテルで実施された。
毎年、財務省から課長クラスのキャリアの方が講師の一人としてこられるのだが、今年ほど日本の財政状況が危機的水準に達していることを実感したことは無かった。
特に驚いたことは2点ある。
一点は社会保険給付費の推移である。社会保険給付は平成2年度から、平成20年度の間に、概ね倍増(47兆円→96兆円)になっている。その間に「公費負担」も、概ね倍増(16兆円→31兆円)している。ちなみに平成20年度の社会保険給付費は95.7兆円で内訳は年金50.5兆円、医療29.8兆円、福祉その他15.4兆円となっている。国の一般歳出のうち、社会保険給付費の占める割合は、10年前の33%から、20年度には46%に上昇している。更に社会保険給付費は、医療と介護を中心に、経済の伸びを上回って増加し、平成37年には141兆円に達する見込みである。大変な数字である。
もう一点は、公債残高の累増である。日本の公債残高は、年々増加の一途をたどっていて、平成20年度の公債残高は553兆円に上ると見込まれている。これは税収の10年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになる。また、平成2年度の残高は166兆円であった。
この18年間に3.3倍にも増加している。身震いするような数字である。
なんという無策ぶりであろうか?当然政治家や役人の責任は免れないと思う。ただ現実は、国民全員の問題である。
歳出削減のみでは当然まかないきれる数字ではなく、増税は必須である。財源の一番はやはり消費税である。10%でもまだ不足であるが、一つの区切りの数字であろう。後は何時実施されるかであるが、残された時間は少ないと思う。
また、これ程の公債残高(553兆円)があれば当然金利の上昇は抑えざるを得ないだろう。この問題を解決しない限り金利の抑制傾向は続くと思われる。
ただ、最近はキャリアの姿勢が大きく変わったと思われる。とにかく低姿勢である。
一昔前の官僚臭が鼻につく方とは随分変わった。それだけ難しい時代になったということであろう。