今月26日に2024年の公示地価が国土交通省から発表された。全用途の全国平均は前年比2.3%の上昇で、伸び率はバブル期以来33年ぶりの高さであるとのこと。ただ四国は相変わらずで4県全てで下落しており平均0.4%の低下になっている。とはいうものの足元では日経平均株価が史上最高値を付け、物価や賃上げにも勢いが目立つ。いよいよ日本でも潮目が変わってきた。
好調な株価に支えられ、新NISA(少額投資非課税制度)も好調なようである。新NISA口座を経由して購入された投資信託と株式の額は今年に入り2か月連続で1兆円を超え、前年の3倍の規模らしい。確かに新NISAは旧NISAに比べてはるかに使い勝手が良くなっている。そこで金融庁が作成した下記の旧NISAとの比較表に添って説明をしてみます。
旧NISA(~2023年) | 新NISA(2024年~) | |||
つみたてNISA (2018年創設) |
一般NISA (2014年創設) |
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
利用 | 選択制 | 併用可 | ||
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 (総枠) |
800万円 | 600万円 | 1,800万円(生涯投資枠) ※売却すると投資枠は翌年以降に再利用可能 |
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1,200万円(内枠) | ||||
枠の再利用 | 不可 | 可 | ||
口座開設期間 | 2023年まで | 恒久化 | ||
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁の基準を満たした投資信託に限定) | 上場株式・投資信託等 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(現行のつみたてNISA対象商品と同様) | 上場株式・投資信託等(整理・監理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外) |
購入方法 | 積立のみ | スポット・積立 | 積立のみ | スポット・積立 |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 | ||
現行制度との関係 | 2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISA制度において投資した商品は、 新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用 ※現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可 |
旧NISAはつみたてと一般の選択制だったが、新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠を設けて併用可能とした。年間投資枠はつみたて40万円が120万円に、一般120万円が成長投資240万円に増額されている。非課税投資期間は20年間と5年間だったのが、何と無期限になった。旧NISAでは期間が到来すればそこで金額が確定してしまう。つまり損している場合は当該損失が確定してしまうが、新NISAは購入した株式等が下落すれば上がるまで持つことができる。また、新NISAでは「非課税保有限度額」という考え方が導入された。この制度は非課税での買付ベースで1,800万円(成長投資枠のみでは1,200万円)という上限を超えない限り、買付・売却が自由にできるという制度である。非課税の買付ベースで上限の1,800万円に達しても売却した分の非課税投資枠が養年以降に復活するという大きなメリットがある。つまり旧NISAではできなかった枠の再利用が可能になった。投資対象商品はほとんど旧NISAと変わっていない。新NISAの成長投資枠では、つみたて投資枠と同じ商品を購入することも可能で、成長投資枠を活用して、つみたて投資枠の上限を超えて投資を行うことも可能である。ただ証券会社によっては取り扱ってない商品があるので、要注意である。対象年齢は18歳以上で変わらない。旧NISAにおいて投資した商品は現行制度における非課税措置を適用し、新NISAへのロールオーバーはできなくなっている。
以上のように旧NISAは比べ物にならないくらい使い勝手がよくなっているが、唯一注意しなければならないのは、NISAは非課税制度であるということである。つまり損が出た時の持って行き場はないということである。その点をよく理解しておく必要がある。