政府は新型コロナウィルスの感染症法上の分類を5月8日に「5類」に引き下げると決定した。季節性インフルエンザと同じ分類にし、平時の社会経済活動に戻れるような大幅な対策緩和に踏み切るとのことである。感染者の待期期間もなしとし、マスク着用も個人判断になる。様々な検討の結果だと思うが、本当に季節性インフルエンザと同等にして良いのか?一抹の不安はぬぐえない。国会等でしっかりと議論していただきたい。

1月7日にセコムの創業者飯田亮氏が89歳で亡くなった。飯田氏は1962年に日本初の警備保障会社(現セコム)を設立、1964年の東京オリンピックの警備を任され、テレビドラマ『ザ・ガードマン』のモデルにもなり、「ガードマン」という言葉を定着させた。これで急成長のきっかけをつかみ、日本になかった警備産業を開拓し、一代で業界ダントツ1位の1兆円企業に成長させた。第二電電の設立時には多額の出資をし稲盛氏を手助けした。稲盛氏とは盟友関係であった。飯田氏と稲盛氏は、本田宗一郎氏(ホンダ創業者)や井深大氏と盛田昭夫氏(ソニー創業者)立石一真氏(オムロン創業者)などに続く、「戦後ベンチャー第2世代」の雄として日本の経済界で大きな存在感を示したが、稲盛氏の後を追うかのように亡くなってしまった。

飯田氏も多くの名言を残されているが、その中に「エネルギーを出し切れ」というのがある。「人間的エネルギーというものは使えば使うほど増殖されるものである。人間的エネルギーは使えば減るし、減った分を補充するには、それなりの時間がかかると思っていた時期もあったが、そうではない。充電するには時間などかからないし、使えば使うほど充電されるものである。創業時にはまだ会社も小さく、いい人材が集まらなかった。優秀な人間を集めて、いい企業体をつくるのはわけのない話だけど、自分をはじめとする半人前の人間が集まって企業を成長させていくには、人一倍のエネルギーを出していかなければならないからそういうことを言い続けた」と話されていた。

また「狂であれ」とも、「事業は継続していかなければならない。それには勝ち続けなければならない。誰でも一度はまぐれで勝つことができる。だが、勝ち続けるということは非常に難しいことである。勝つというのは、相手より優れているということであり、凡でなく非凡であるからこそ勝てるのである。非凡は、いわゆる常識の枠内からは決して生まれない。はっきり言えば、勝ち続けるには狂であることが必要なのである」とのこと、飯田氏らしい言葉である。表現の仕方は違えど稲盛氏の言葉に相通ずるものがある。ご冥福をお祈りします。