新型コロナウィルス第7波の感染拡大が止まらない。春先にはそろそろ収束かと期待していたが、爆発的拡大によりあっという間に打ち砕かれてしまった。愛媛県も連日1000人を超える新規感染者が出ている。以前の新規感染者数からは考えられないような人数である。これから先、このコロナ禍とどう向き合っていけばよいのだろうか?

先日、日経新聞の四国版に2023年春に開校を目指す「神山まるごと高専」が取り上げられていた。徳島県の神山町にIT起業家の輩出を目標に設立される私立高等専門学校である。1学年40人の5年間の全寮制を採用し、教員には大学の教授級らを招き、著名な起業家も毎週入れ替わりで生徒と直接交流する。高額な授業料の無償化にも取り組む予定とのことである。

神山町は徳島県の山間部にある「なんの変哲もないのどかな田舎町」であった。それがこの10年間で多様なスキルを持った若者たちが続々と移住するようになり、様々なプロジェクトが立ち上がっている。さらに東京や大阪のベンチャー企業が新たな働き方を模索し、多くの有名な会社がサテライトオフィスを開いて、いまでは「地方創生の聖地」とも言われている。その中でも、代表格である東証のプライム市場に上場している㈱Sansanの創業社長寺田親弘氏が神山高専設立の発起人である。神山町という自然豊かな、しかもイノベーティブな町で、地域住民と交流しながら、ITなどのテクノロジー、デザイン、起業家精神の3つを重点的に学ぶ。ZOZOで技術責任者を務めた大蔵峰樹氏が学校長に就任予定である。大蔵氏によると、星野リゾート、サイボーズ、スノーピークといった約50の有力企業の経営者を、毎週水曜日に2人1組で現地に招き、高専生と直接触れ合ってもらう「ウエンズデーナイト」という企画を用意しているとのこと。15歳から、テクノロジーとデザイン、起業家精神を一度に学び、人間の未来を変える人材を育成する学校を目指す。

正式な入学要項の発表は文科省の認可後だが、22年2月以降に累計で20回開いたオンライン説明会には延べ800人以上が参加した。8月に神山町で開く5泊6日のサマースクールには、限定38人の募集枠に5.5倍の申し込みがあったという。生徒の卒業後の進路は「就職30%、大学への編入30%、起業40%」を見込む。「学びを目的にするのではなく、これまでにはない選択肢を提供し、自分自身が目指す北極星を探し出せる学校、起業家たちが心からほしいと思える学校にしたい」と創業メンバーの熱い思いが伝わってくる。私も以前から教育の重要性を感じており、久しぶりに夢のある話に出会った。是非、神山町に日本のシリコンバレーを創出してほしいと思う。