2018年度の税制改正関連法案が3月28日に参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。今回、個人所得税については、将来の大改正に向けての第一歩と思われる改正になっているので内容を紹介します。

(1)給与所得控除等

①給与所得控除額を一律10万円引き下げる。

②給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を850万円(現行1,000万円)、その上限額を195万円(現行220万円)に引き下げる。

③その年の給与収入金額が850万円を超える場合であっても、本人が特別障害者に該当する場合や23歳未満の扶養親族や特別障害者控除の対象となる扶養親族等が同一生計内にいるものについては負担増がない措置が講じられている。

(2)公的年金等控除

①公的年金控除額を一律10万円引き下げる。

②公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額については、195万5千円の上限を設ける。

③公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合には、控除額を更に10万円引き下げる。

④公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計所得金額が2,000万超の場合には控除額を更に20万円引き下げる。

(3)基礎控除

①控除額を一律10万円引き上げる

・所得税38万円→48万円

・住民税33万円→43万円

②合計所得金額が2,400万円(給与収入金額2,595万円)を超える個人についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が2,500万円(給与収入金額2,695万円)を超える個人については基礎控除の適用はできないことにする。

(4)青色申告特別控除

①取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の控除額を一定の場合(e-Tax等)を除き55万円(現行65万円)に引き下げる。

以上は全てH32年分以後の所得税、H33年分以後の住民税に適用される。この改正で基 礎控除額が引き上げられる一方で給与所得控除、公的年金控除の額が引き下げられ、事業所 得者等は減税となります。多様な働き方を後押しする観点からの改正ですが、財務省の本音 は更なる給与所得控除の縮小と、公的年金控除の廃止を狙っていると思われます。今後の税制の動向に注目です。