政府・与党の2017年度の税制改正に向けた調整が大詰めを迎えている。 政府税調で検討されていた所得税の抜本改革は見送られるようだ。 配偶者控除は迷走の末、年収要件を103万円から150万円に引き上げ、高所得者には適用制限をする案で落ち着きそうである。 残念ながら私が危惧した通りになった。政治力学に左右されたようです。
そんな中11月17日に、以前ご案内したミロク会計人会統一研修会が開催され、多数のご参加をいただき盛会に終えることができました。 お忙しい中ご参加いただいきありがとうございました。 基調講演のカルフォルニア大学の中村修二教授、第二分科会の徳武産業(株)の十河孝男会長、第三分科会の子規記念博物館の竹田美喜館長、 それぞれが素晴らしい講演だったと多くの方から電話、メール、葉書等をいただきました。 参加された皆様の知見を深めていただく一助にはなれたのではないかと開催者の一員として安堵しています。
経営者の方は第二分科会の十河氏の講演を聞かれた方が多かったようです。 高齢者施設の経営者から転ばないシューズを開発してほしいという依頼を受け、 試行錯誤の結果つま先を2cmあげることにより、転ばないことを発見し製品化したとのことです。 その他にも足のはれやむくみにより両足別々のサイズの靴を通常価格で提供したり、片足のみの半額販売を業界で初めて行ったりされています。 さらには物を売るのではなく心を売るということを大事にし、心を込めて書いたはがきを商品に同封したり、 2年間お誕生日プレゼントを送ったりして、心を届ける工夫をされ、消費者の圧倒的支持を得ています。
この徳武産業の取り組みは中小企業の経営に大きなヒントになります。 日本はアベノミクスが限界にきています。金融政策や財政政策で何とかデフレ悪化は食い止めたが、成長戦略は機能していません。 それは日本にはモノがあふれており絶対的な実需が不足しているからです。 この状況下では多くの中小企業は価格競争に巻き込まれ、厳しい経営になってしまっています。
それを脱皮するために、徳武産業は次の取り組みを行ったのです。 ①中小企業が勝てる分野はニッチしかないと思い、さらにニッチの分野でもその市場が成長する分野であることを見極めて介護シューズ事業に参入した。 ②つま先を2cmあげた転ばない靴の開発は一種のイノベーションである。 ③モノを売るのではなく、心を付加して販売している。素晴らしい経営です。 まさに中小企業が生き残るためのビジネスモデルだと思います。是非参考にしていただきたいです。