経営再建中のシャープが、 再建策の一環として資本金を1億円に減額し中小企業税制の恩恵を受けようとして、 マスコミ等で非難を受けたのは記憶に新しいところだ。
実は、会計検査院からの指摘を受け、中小企業に対する風当たりが強くなっているようである。 というのも、例えばアイリスオーヤマ、ジャパネットたかた、日本マクドナルド、 ヨドバシカメラ等々の名だたる企業が、中小企業税制の恩恵を受けている。
確かにそのような企業が税務上中小企業に属し、税制上の恩恵を受けているのは正直違和感がある。 これもそれも、税法上原則として資本金1億円以下の法人は中小企業と規定されているからである。
政府税制調査会は・企業規模をみるうえでの資本金の意義は低下してきており、 資本金基準が妥当であるか見直すべきである・仮に資本金基準を継続する場合でも、 中小法人に対する優遇措置の趣旨に鑑みれば、真に支援の必要な企業に対象を絞り込むべきであり、 1億円という水準の引き下げや、 段階的基準の設置などを検討する必要がある等と指摘しその定義の見直しが検討されている。
中小企業税制には・法人税率の特例800万以下の部分15%(23.9%) ・欠損金の繰越控除(65%のみ)・交際費等の800万円までの損金算入特例(飲食費等の50%) ・中小企業投資促進税制30%の特別償却又は7%の税額控除 ・30万未満の少額資産の取得価額の損金算入の特例・給料を3%(4%)増加させた場合、 増加額の10%を税額控除する所得拡大税制 ・付加価値額と資本金に課税する事業税の外形標準課税の不適用等々、他にも数多く設けられている。 (カッコ内は中小企業以外)
これらの税制は中小企業が弱者だから助けるのではなく、 日本における中小企業は地域の経済社会を構成している極めて多様な存在であり、 雇用の面などにおいても地域経済を支えている国民生活の基盤的存在なのだからである。
ただ中小企業はその財務体質も脆弱な企業も多いので、 これらを有効に活用し、税負担の軽減を受けることができているのである。 しかし中小企業庁によれば、これらの税制も含め中小企業政策が歴史的節目を迎えており、 今後3年間ぐらいで大きく見直されるようである。 今まで以上に中小企業政策の動向から目が離せなくなった。