ギリシャに対し、欧州連合が支援を延長しないと決定し、昨日29日の世界の株式市場は軒並み下落し、 日経平均株価も596円安の20,109円と今年一番の下落幅になってしまった。 投資家は他の南欧諸国への飛び火など欧州債務危機の再来を警戒し始めているようだ。

事の発端は、今日30日期限の国際通貨基金(IMF)への2,000億円の債務返済が困難にもかかわらず、 新たな支援が打ち切られる見込みとなった。 つまりギリシャは資金繰りに行き詰まったのである。

ギリシャはデフォルトに陥るのは必至といわれている。 会社なら破産状態だ。 会社が倒産するのも大変なことであるが、国家の倒産となるとそれこそ多くの人を不幸にしてしまう。 当然、ギリシャの一般国民の生活は厳しいものにならざるを得ないだろう。 ギリシャの破綻は象徴的な出来事であるが、 資本主義体制自体が、きしみを上げているように思われる昨今である。

そんな中、6月1日、立命館大学に、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏の経営哲学を研究する目的で、 「稲盛経営哲学研究センター」が開設された。 稲盛和夫氏が実践してきた 「利他」の精神に基づく経営哲学の「普遍化」「一般化」のありかた を学術的に探ると同時に、その理念の体得につながる「教育プログラムの開発」に取り組み、 その研究成果を広く世界に発信し「日本と世界の新しい教育創造」に貢献することを目指すとのことである。

また、稲盛氏には今や世界中から講演等の依頼があると伺っている。 先日もイギリスのオックスフォード大学から講演依頼があり 「利他の経営」という講演をされたところ、 大学の方々が非常に感銘を受けられ、稲盛経営哲学の研究講座の開設の話もあるとのことである。

資本主義社会は人間の欲望を原動力に発展してきた一面がある。 しかし利己による経営や社会が、行きづまりになっているのは明らかである。 だからこそ、稲盛氏が唱える利他に基づいた経営が注目され、その考え方が、 今後、社会の大きな指針の一つになるのではないかと思われる。

ただ気を付けなければならないのは、利他とは優しいだけではなく、時には厳しさを伴うものである。 小善に陥らず、大善に基づいた利他社会ができれば、素晴らしい世の中になるのだろうと思う。