毎年この時期は確定申告に追われており、法人のお客様にはご迷惑をおかけし申し訳なく思っております。

この超多忙な時期に、税務署から頻繁に電話がかかってくる。 確定申告前に税務調査をした案件についてだが、こちらの事情などはお構いなしである。 文句を言っても仕方ないが、もう少し配慮して欲しいところだ。 最近の税務調査は、累積赤字がある法人も調査対象になる事案が多くなっている。 とにかく実施調査率を上げるという大号令が出ているようだ。 当然ではあるが、どの法人でも調査対象になるということである。

そんな中、今年も平成27年度税制改正大綱が1月14日に閣議決定された。 今年の改正の目玉はなんといっても法人税率の引き下げである。 法人税の税率を25.5%⇒23.9%に引き下げ、平成27年4月1日以後開始事業年度から適用される。
それと同時に欠損金の繰越控除制度の見直しが行われ、 現行所得の80%の繰越控除が27年度は65%、29年度以降は50%に制限される。 また、法人事業税の外形標準課税が現行1/4が、27年度は3/8に、28年度以降は1/2に拡大される。 いずれも赤字法人への課税強化法案である。

しかし、これは資本金1億円超の大法人に対してであり、我々のお客様の大多数を占める 中小法人については、法人の軽減税率(800万以下の税率15%)の適用も2年間延長され、今年の改正の影響はほとんどないようである。 ただ、この赤字法人への課税強化は国会での閣僚の答弁等を聞いていても、中小法人へも近い将来適用されるのは間違いないと思われる。

さらに気になったのが、27年度の与党税調大綱の検討事項である。 『小規模企業等に係る税制の在り方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、 個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、所得税・法人税を通じて総合的に検討する』 という事項が5番目に記載されていることである。
25年度、26年度にも同じような事項は記載されていたのだが、今回初めて法人成り企業という文言が入ってきた。 課税庁は、不評を買い廃案になった特殊同族会社の役員の給与所得控除の損金不算入制度のような法案を考えているようである。 今後どんな法案が出てくるか要注意である。 なお27年度税制改正については次号の月報に掲載予定です。 ご参照ください。