先月は法人税減税について書かせていただいたのだが、今月も法人課税改革について述べたいと思う。 立地競争力を高めるとともに我が国企業の競争力を強化するために法人実効税率を引き下げるという方針のもと、 政府税制調査会では法人税改革について次のような課税ベース拡大措置の取りまとめがされた。
(5)地方税の損金算入の制限 (6)中小企業特例の見直し (7)公益法人課税の見直し (8)外形標準課税の見直し
以上の8項目が検討されているとのことである。 各項目の詳細について述べると紙面が不足するので、詳しくお聞きになりたい方は当事務所にお尋ねください。 ただベースになっている考え方は利益を出している企業の税負担を減らして、 その代り今まで制度の恩恵を受けている企業や、赤字等で税負担をしていない企業に税負担をしてもらうというものである。
その結果今回の改革案は、そのまま成立すれば多くの中小企業は法人税減税どころか増税となってしまう可能性が高くなる。 何より問題なのは中小企業はオーナー企業が多数であり、そういう企業がうまく節税をして納税をしていない。 けしからんという風潮があることである。 そんなことはないのであるが中小企業退場論まで出てきている。
実際は中小企業も国内経済の付加価値を作り出し、雇用の受け皿になる等、経済社会の重要な役割を担っている。 第一に従業員の給与から発生する所得税は、中小企業が3兆円納付している。 全体の38%を負担しており大企業の28%よりも多く納税している。 社会保険料も全体の42%の12兆円を負担しこれも大企業負担率(41%)よりも多い。 固定資産税は大企業の負担額より少ないが1.7兆円負担している。 また、国内銀行の中小企業融資残高は257兆円あり貸出残高の62.7%も占めていて、ステークホルダーも多数存在しているのである。
しかし、中小企業は残念ながら財務体質も脆弱な企業が多い。 そこに多額な増税をされればもたなくなる可能性がある。 今こそ適正な改革が行われるよう中小企業も関係省庁に働きかけることが必要だと思う。