平成26年5月31日

上場企業を中心に企業収益が改善し、2014年3月期の株式配当は過去最高の6.9兆円になるとのことである。 さらに2015年3月期は経常利益が2%増加し7年ぶりに最高益が予想されている。 これがアベノミクスの効果かどうかは議論が分かれる部分もあるが、日本がデフレ経済から脱却する契機になったことは間違いないと思う。

最近はアベノミクスも手詰まり感があったのだが、安倍首相は昨年12月に保守政権にもかかわらず政労使会議を開催し異例とも言える賃上げ要請を行なった。 第四の矢ともいえるこの要請が奏功して民間企業では久しぶりに賃上げの動きが広がった。 企業業績は消費税の増税も吸収し、来期は最高益を伺うところまで回復してきた。

しかし、その内容を分析すると、企業の必死の努力が実を結んでいる要素もあるようである。 日本企業はデフレで売り上げが伸びない中、世界で戦える高付加価値の強い製品と強いコスト構造の企業体質を身に着けたと言える。

というのも、大和総研によると損益分岐点比率が2009年3月期は87%だったのが、2014年3月期は77%と大幅に改善された。 さらに、2015年3月期は75%まで下がる予想である。損益分岐点比率とは損益分岐点売上高÷売上高×100で求められる指標で低いほどコスト構造が強い会社である。 言い換えれば安全度が高い会社である。 75%の損益分岐点比率の会社は25%の売り上げが減少してトントンつまり損益分岐点になる会社である。 この指標をみると日本企業は多少の逆風が吹いても世界で稼ぎ成長できる実力を身に着けたと言える。

しかしながら、問題は国内経済の空洞化が進展しているということである。 特に地方においては生き残るためのビジネスが枯渇しているといってよい。 東京を中心とした首都圏経済とわが愛媛のような地域経済とは残念ながら雲泥の差がある。 地方においてこそ高付加価値の強い製品や、高付加価値サービスを提供できる企業が待ち望まれている。

そのためにはどうすれば良いのだろう? 急にそんな高付加価値の強い製品などできない。 それには当然、今日よりは明日、明日よりは明後日、と絶え間ない改良改善をおこなっていく愚直な努力が要求されるが、 時には発想の転換という英断が必要とされることもある。 結局は『何としてでも』というどれだけ強い思いを持つかによるのだと思う。 思いは力である。