早いもので今年も1月が終わろうとしていますが、今年は私にとって節目の年です。 年男であり還暦を迎える年です。 自分自身は若いつもりでしたが、還暦というのはやはり重みがありますね。

毎年この時期は税制改正の時期です。 26年度の税制改正法案は平成25年12月24日に閣議決定され、今国会で審議されています。 しかし新聞紙上では、はや来年に向けての法人税の税率引き下げを中心とした税制改正が話題となっています。

そんな時期、遅ればせながらではありますが、昨年に改正された事業承継税制について述べてみます。 というのも、この改正は平成27年1月1日以降に相続する非上場株式に適用されるからです。 この税制はもともと中小企業の後継者が相続等によりその会社の株式を相続した場合、一定要件を満たせばその株式に係る相続税の80%が納税猶予されるという制度で平成21年に鳴り物入りで導入されました。

しかし、適用要件が厳しく納税のリスクが高いことから利用状況は低迷しており、我々税理士の間では「使えない税制」とのレッテルを貼られていました。 せっかく作った税制が廃止の危機にあり、昨年の改正で適用要件等の緩和が図られました。 改正点は色々あるのですが、まず一番大きな改正は以前は制度利用前に経済産業大臣の「事前確定」を受ける必要があったのが、事前確定を受けなくても制度利用が可能になった点です。 これは、我々の立場から見ると、相続が発生して対象となる株式がある場合は、必ず制度の利用を検討することが必須となったということです。

さらに、後継者は現経営者の親族に限定されていたのが、親族に限らず適任者を後継者にすることができるようになりました。
また、大きな障害になっていた雇用の8割以上を「5年間毎年」維持しなければならなかったのが、雇用の8割以上を「5年間平均」で評価し、さらに8割要件を欠いた場合、以前は全額納付であったのが、その下回った割合に応じた税額を納付すればよいという改正がなされました。

他にも納税猶予の打ち切りリスクの緩和、役員退任要件の緩和、債務控除方式の変更により債務の相続があっても株式の納税猶予をフル活用できる改正等がなされています。 それでもリスクはありますが、制度利用を検討する価値は十分ある改正内容となっています。 当事務所においても、事前対策も含め制度の積極的活用を図りたいと思っています。