ギリシャの財政危機から端を発しユーロ圏が金融危機にみまわれ、これに連動して歴史的な円高になり、さらにタイの洪水により多くの日本企業が打撃を受けています。未曾有の大震災に見舞われた日本にとって本当に厳しい出来事が次から次に起こっており、まさに試練の年になっています。

 

そんな中でも、相変わらず今月も税務調査の対応に振り回されておりますが、実は税務調査をきっかけに従業員の不正が発覚することがあります。まさかこの人がと思われる人が不正を行っていることがあります。

 

信頼していた社員に裏切られる経営者の心境は察して余りあるのですが、そういう社員の不正は、実は経営者の責任でもあります。というのは人の心というものは弱いものでふとした弾みで不正を行ってしまうことがあるのです。不正を防止するシステムの構築や、チェックをしっかりしていなかった結果、大切な従業員に罪を作らせてしまったともいえるのです。そう考えると厳しいようですが経営者の責任は重大です。

 

そんな罪を作らせないためにはどうすればよいかですが、大事なことは不正ができないシステムを作ることです。色々対策はあると思いますが具体的には次の二点に集約されると思います。

 

  1. 現金管理であるが、まず伝票を記帳する人と、実際に現金を扱う人を必ず別々にすることである。そして伝票の合計と、実際のお金とが必ず一致しなければならない。いわゆるダブルチェックを行うことである。
  2. お金、又は物(特に商品等)が動くときは、必ず別の人が伝票を記帳し、その伝票と物がセットで動くようにすることである。それと同時に残高管理や商品の在庫管理も徹底しなければならないのは自明の理であると思う。いわゆる一対一の対応の原則である。当然その監査も繰り返し行わなければなりません。

実はこれは稲盛氏が実学の中で書かれている手法です。はじめこの書を読んだときはここまでしなければならないのかと少し違和感を覚えたのだが、最近は、やはりこういうシステムを構築して、従業員に罪を作らせないことは、経営者の責任なのだと思うようになりました。人間とは弱いもので、かつ易きに流れてしまいがちです。 それを正しく導いていくことこそ経営者の大切な責任ではないでしょうか?