少し前になるが、5月18日に日本のコンビニを創った鈴木敏文氏が亡くなった。93歳であった。鈴木氏は「世の中の変化への対応」の重要さを説き、消費者ニーズを先取りした商品やサービスの開発にこだわり続け、セブン&アイ・ホールディングを世界的なコンビニチェーンに育てあげた。鈴木氏が取り組んだ小売りの常識を変えた仕組みとその経営哲学は示唆に富むものである。経営をするにあたり参考になると思い、その一端をまとめてみた。
「売り手都合」から「買手の立場」へ
素人目線から前例にとらわれず、お客様のためにという大義を信じ、日本初の本格的コンビニチェーンを築き、従来とは異なる新しいシステムを作った。
・単品管理(仮説・検証)
鈴木氏が生み出した独自の手法で、鈴木氏の突出した経営手腕が発揮されたものである。商品ごとに売れ筋の仮説を立てて発注し、POSデータで検証。お客様が求める時に、求めるものを、求めるだけ提供することで、機会ロス廃棄ロスを最小化した。
・サプライチェーン全体の設計
専用工場を店舗近くに配置するなど、川上から川下まで独自のシステムを構築した。
・「社会インフラ」としてのコンビニ
公共料金の収納代行、店内ATM(セブン銀行)などで生活の拠点に。セブン銀行は日本最大級のATMを誇る企業となっており、我々の生活に溶け込んでいる。
・商品の力
おにぎり、弁当、PB、セブンカフェ。品質は生命線と位置づけ、基準に届かない商品は即撤去・廃止も辞さない姿勢を示した。
・現場主義
加盟店を支援する現場社員を本部に集め、対面で基本を繰り返し伝達。大企業にならないことを常に意識した。
・変化への対応と基本の徹底
経営の原理原則として唱え続けた。変化への対応、基本の徹底はまさに原理原則である。
・常にお客様の立場で考える
お客様第一主義を全社員・全店舗に求め続けた。
・満足はあり得ない
現状に安住せず、常に革新を追求した。
ユニクロの創業者の柳井正氏は「ユニクロが今日あるのは鈴木さんのお陰」と述べ、「セブンの弁当とユニクロのTシャツは暮らしに根付いた社会インフラである」と言っている。
鈴木氏はまさに「小売業の革命家」であった。