2月22日に日経平均は終値で3万9,098円をつけ、34年2か月ぶりに史上最高値を更新した。26日、27日とさらに上昇し、4万円を超えるのは近いのではないかと思わせる勢いである。株高のように景気も回復し、日本経済も発展すればと思うが、経済評論家の森永拓郎氏は「地球全体がバブルである。老後資金は新NISAに回さないように」と言われている。株式投資にはリスクがあることを忘れてはならないと思う。
毎年のことではあるが、今年も確定申告で事務所全員が奮闘中である。忙しくなるとついつい仕事の本質を見失いがちになる。そんな時、ポーラの社長である及川美紀氏の「私の課長時代」という日経新聞の記事が目に留まった。
及川氏は「効率性」を超えた仕事の本質を失敗から学んだと述べられている。子供が生まれ、仕事と育児を両立しながら働いていた時期に、あと一歩で営業目標が達成できる店舗を訪問した。オーナーが不在だったため、目標達成に必要な数字を伝えて、翌日に再訪問した。ところが何故かオーナーはカンカンで「仕事の本質が解ってない!」と言われ、及川氏も応戦してしまい言い合いになった。収まりがつかなくなり、最後にはぬるくなったお茶を浴びせられた。及川氏はオーナーをキッとにらみ「明日朝一番でまた来ます」と言い残してその場を立ち去ったとのこと。このくだりはさすがに社長になるだけの闘争心をも持たれていると感心した。翌朝訪れるとオーナーは朝食を作って待っていた。カッとなって軽率な行動をしたことを詫びられたが、「販売店の状況やスタッフの思いも聞かず会社が求める数字だけ伝えて帰るのは失礼だ」と言われた。その時、及川氏は仕事と育児の効率的な両建てで頭がいっぱいだったと深く反省した。「ビジネスは数字が先にあるのではなく、人が先にあるべきである」ことに気づかされ、仕事の本質を教えられた忘れられない出来事であると述べられている。さすがである。
ドラッカーも「人間の発展は、まず最初に仕事のなかで、仕事を通じて行われる」と述べている。仕事の本質は、自分の意志とは切り離されたところに存在する顧客のために「なすべきこと」である。一方人間の発展は内面の問題であり、それは、仕事に取り組む己の姿勢が問われる。自己の外側にあった物事が、仕事を通して内面に取り込まれ、一つになるということは、自分の外側にあるものに日々真剣に向き合うことにより人の内面が変化し、成長発展するということである。仕事はその最前線であり、人の成長発展の機会であるということだ。職場は人生の舞台でもある。そこでの艱難辛苦、喜怒哀楽、利害得失の経験が人生の根を深め、人格を錬磨する。改めてそんな日々を送らなければと思った。