今年はコロナで始まりコロナで終わった一年であったが、愛媛県では新型コロナウィルスの新規感染者は一か月以上出ていない。しかし、日本ではオミクロン株の市中感染が相次ぎ確認されている。年末年始で多くの人の移動があるだろう。再び大規模な感染拡大が起こらないことを願うばかりである。

さて、今年も、12月10日に与党による令和4年度税制改正大綱が発表され、12月24日には閣議決定がされた。今年度の税制改正は成長と分配の好循環の実現に向けてという謳い文句のもと行なわれているが、主なものを取り上げてみた。

(1)住宅ローン控除の見直し

控除率を年末ローン残高の1%から0.7%に引き下げ、適用期限を2025年まで4年延長、所得要件を3000万円以下から2000万円以下に引き下げ、残高上限を環境性能で4段階に分け新築は段階的に引き下げ、控除期間は新築で原則10年から13年にする

(2)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直し

非課税措置の期間を2023年12月末まで2年延長、非課税枠は最大1500万円から1000万円に引き下げ

(3)土地に係る固定資産税等の負担調整措置

コロナ禍で導入していた固定資産税の負担調整措置を住宅地については廃止、商業地については、課税標準額の上昇幅を、現行評価額の5%を2.5%に引き下げる

(4)積極的な賃上げ等を促すための措置

継続雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が3%(1.5%)以上である場合に、雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除を行う。さらに継続雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が4%(2.5%)以上である場合には、10%(15%)を加算し、教育訓練費の対前年度増加割合が20%(10%)以上である場合には、5%(10%)を加算する措置を講ずる。 ※()は中小企業

(5)上場株式等に係る配当所得等の課税の特例の見直し

上場株式に係る配当課税は現在「申告不要制度」「申告分離課税」「総合課税」の中から所得税と住民税で違う方式を選択できるが、2024年度からは所得税で選んだ方式が住民税にも適用される

 

以上のように住宅購入や株式投資など個人の資産形成に身近な分野で、税軽減や非課税の恩恵を受けにくくなる改正が目立った。2月に取り上げた「相続税・贈与税のあり方」の見直しは行われなかったが、今後の課題として「本格的な検討を進める」と明記されたので流れは止められないと思う。現在の制度利用を考えられている方は、早めの対策が必要です。詳しくは当事務所にお尋ねください。

皆様には一年間本当にお世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください。