個人番号の通知カードが届き始め、いよいよ来年からマイナンバー制度の運用が始まります。 また、消費税についても平成29年4月の消費税増税時に導入する軽減税率の適用対象品として生鮮食料を基本とした案が、自民党でまとまりつつあるとの報道が連日紙面をにぎわせています。 税制改正がされる時期になり、税の季節到来です。
税と言えば、ここ最近贈与税がキーワードになっています。 安倍首相はGDP600兆円構想を打ち出し、景気浮上に躍起になっています。 高齢者が多く持っているといわれる預貯金等を、子供や孫に贈与してもらい、消費を促進し景気浮揚を図るため、矢継ぎ早に贈与税の非課税措置を打ち出しています。
平成25年に導入された教育資金の一括贈与の非課税制度は、教育資金に充てるために直系尊属(父母、祖父母等)から金銭等の贈与を受けた場合は1,500万円まで非課税で、30歳時点での未使用額が課税されるという非課税制度です。 この制度は世の祖父母たちの心を刺激して5,000億円を超える利用がされているようです。
これに味を占めて、平成27年から結婚子育て資金の一括贈与の非課税措置も導入されました。 これも直系尊属から結婚、子育て資金に充てるために1,000万円までの贈与を受け場合は50歳までに使えば贈与税がかからないという制度です。 ただこれらの制度は、生活費や教育費の資金で通常必要と認められる贈与はもともと非課税だったのが、一括贈与が認められただけのことです。
これらの制度と比べて、直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税は、今までは贈与税が課税されていたものを非課税とする画期的な税制です。 これは住宅を取得等するときに直系尊属からの贈与は一定額(H27年は良質な住宅1,500万円、一般住宅1,000万円)が非課税となるという制度です。 これらはいずれも相続税対策にも有効です。積極的に利用されたらよいと思います。
相続税対策と言えば、現金贈与も有効な手段の一つです。ただ注意しなければならないのは、贈与は双務契約だということです。 民法では「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手側に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」とあります。 相続税の調査時に一番問題になるのが家族名義の金融資産です。贈与の事実を証明するにはよく言われる3要件(贈与契約、通帳等の管理支配、贈与税の申告納付)が大切です。 したつもりの贈与は相続税対策にならないばかりか相続トラブルの原因にもなりかねません。贈与も含めた相続税対策については当事務所にお尋ねください。