順調な滑り出しをしたアベノミクスだが、ここに来て株価と金利がおかしくなり始めた。実体経済に波及する前に変調をきたしだした。これから日本経済がどうなるかは予断を許さない状況といえるだろう。
そんな中、政府より2017年度末までの向こう5年間を緊急構造改革期間とする3本目の矢である成長戦略の工程表が発表された。企業再編や設備投資を促す産業競争力強化法案や、派遣期間や業種の拡大を盛り込んだ労働者派遣法の改正、国家戦略特区の選定等々が盛り込まれているが肝心な法人税の減税や、雇用の見直し、農地の自由化等は全て見送られ中途半端な感は否めない。
中途半端な援助よりも、規制をはずして、より自由度の高い競争の場を提供する事のほうが大事だと思うがいかがだろうか?
現在日本でイノベーションを起こして成長を続けている企業の代表例はユニクロではないかと思う。今やユニクロの代名詞になっているフリースやヒートテックは、もともとあった素材を顧客のニーズに合わせて提供したものであると柳井氏が述べている。
フリースは登山用の衣類などとして販売されていたが、値段も高く、一般の人にはほとんど知られていなかった。しかし肌触りはいいし、軽く、何より温かい。洗濯も簡単。それで何年もかけてデザインは?色はこれでいいのか?と細かく試行錯誤を繰り返して、低価格で高品質なフリースとして売り出したとの事である。
また、ヒートテックはそれまでにあった「ババシャツ」を薄くて着心地が良くてアウターとしても着られるおしゃれな商品として売り出し、新しい価値を提供し、それまでになかった需要を作り出したのである。
柳井氏は、これらは本当に顧客の立場に立って顧客は何が欲しいのか?何を求めているのか?をそれこそ頭がショートして煙が出るくらい考えて作り出した製品であると話されている。まさにドラッカーの言う『顧客の創造』そのものである。
柳井氏はドラッカーを大変尊敬していて商売をするようになって、ドラッカーの言葉がいかに正しかったかを実感しているとのことである。このように『顧客の創造』が出来る企業を少しでも多く輩出することが成長戦略には不可欠と思われる。