盛和塾の世界大会に参加してきた。盛和塾とは京セラの創業者で最近では日本航空の再建をなしとげられた稲盛和夫氏を師と仰ぐ経営塾である。その塾生が世界中から4,300名も集い、事前の選考会で選ばれた8名の塾生による経営体験の発表が行われた。

極貧生活の幼少期をすごし、世をすね、落ちこぼれていた人が稲盛経営哲学に出会い大きく自分を変えた人、事業拡大を進めていた矢先に、食中毒事件を相次いで起こしてしまい、倒産寸前の危機的状況から母親の愛情と盛和塾の学びで救われた人、才覚と強烈な個性で起業された人が、盛和塾の学びで私利私欲の経営から社員のためにという軸に自分を変えることができた人、とにかく皆さんそれぞれにドラマがあり、必死に逆境を乗り越えて成長される様は、胸に迫ってくるものがあった。

発表者に共通しているのはプロセスや、きっかけはさまざまだが、皆さん真の経営者に目覚める瞬間を語られている。その話を聞いているとその瞬間がどの時点でおきるかはその人が持っている運命というしかないのだろうと思った。

その中で最優秀賞を受賞されたのは、小豆島で農業生産法人を経営されているI氏である。彼はオリーブ及び柑橘類等の栽培加工販売をされて、何とあの小さな小豆島で40億円の売上、2億円の利益を出されています。驚きの一言です。

事業拡大のきっかけになったのは小豆島にお遍路に訪れる人たちに風呂を貸してあげ、風呂上りに自分の農園で取れたみかんをふるまったところ、その美味しさにその方たちから注文が来るようになった。

そこで思い切ってリストアップしたお客さん280名にDMを発送したところ300を超える注文があり、そこから通信販売を始めるようになり、オリーブ製品も加わって年商1,000万にすぎなかった家業が今や40億もの売上の立派な企業に成長されています。

稲盛氏も『小豆島という小さな島でいくら頑張ったところで、普通ならたかがしれていると思われる農業という家業を、通信販売や、加工品にして販売し付加価値を高め素晴らしい企業に発展されたのは驚きである。どんなハンディがあろうとも創意工夫を続けて素晴らしい経営をすることができる見本である』と絶賛された。世の中がどんなに厳しい経営環境になろうとも、どんな辺鄙なところであろうとも、創意工夫とたゆまぬ努力で素晴らしい発展ができるのだと改めて思うことができ、大きな力をいただいた。