HOME  >>  トピック

トピック

因果倶時

早いもので今年も残りわずかになってしまいました。毎年この時期になると『今年はどれだけ真剣に仕事に打ち込んでこれたか?』と自分に問いかけ、それと同時に『因果倶時』という言葉を思い出します。


これはドトールコーヒーの創始者である鳥羽博道氏が日経新聞の私の履歴書の中で座右の銘として書かれていました。


鳥羽氏は“いくつかの言葉が自分の支えになったが、その中でも座右の銘を挙げるなら因果倶時である。因果倶時という言葉は釈迦の言葉で原因と結果というものは必ず一致するという真理である。現在の果を知らんと欲すれば過去の因を見よ、未来の果を知らんと欲すれば現在の因を見よ。この言葉を知ったとき、身の引き締まる思いがした。”と述べられ、


さらに“現在の自分は過去の積み重ねの中にあり、将来の自分がどのようになるかと考えるなら、一日一日の積み重ねの中に将来の自分があると理解した。人生の真理をこれほど厳しく、短く突いている言葉はない。この言葉を知ったとき、恐ろしい思いがし、一日一日を真剣に生きよう、いや一日どころか一分一秒もおろそかにはできない、と息の詰まる思いがし、この言葉を忘れないように紙に『因果倶時』と書き、会社の机の横に貼り、出社するたびに「今日一日が将来につながるのだ」と自分に言い聞かせ、仕事に打ち込んできた。”と書かれていました。


稲盛氏も“現在は過去の努力の結果、将来はこれからの努力により決まる。”と述べられています。同じ意味だと思います。


毎日を真剣に生きてきた人と、毎日を目的意識もなく怠惰に生きてきた人とでは人生というドラマの結果は大きく変わってくるのだと思います。

厳しい経済状況が続いていますが、明日を信じて毎日真剣に努力を重ねて素晴らしい未来にしていきたいものです。


今年も色々お世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください。

平成22年12月TOPIC


どうすれば利益を確保できるか?

いよいよ税制改正が検討される時期になりました。所得税については1,000万円超の所得がある人には配偶者控除は認めないとか、給与所得者で2000万円超の収入部分は給与所得控除を適用しないなど高額(?)所得者に対する増税が検討され、相続税についても、基礎控除額の見直し(5,000万円→3,000万円)による増税などが検討されています。いずれにしても私たち税理士事務所にとっては目が離せない季節になりました。


さて、前回、『キャッシュの源泉は利益です』と述べました。会社存続のために絶対必要なものは売上でもなく粗利益でもなく利益なのです。では、どうすれば利益が確保できるのでしょうか?


京セラの稲盛氏は経営の原点12か条の第5条で『売上最大、経費最小』と説いています。売上は一円でも多く経費は一円で少なくという事です。実に簡単明瞭です。

売上をいかにして最大にするか、また経費をいかにして最小にするかについての具体的な話は別の機会にして今回は基本的な考え方について述べます。


長年、多くのお客様に関わらせていただく中で、赤字会社はお金の使い方に問題があるところが多く見受けられます。バブルの頃よくあったのですが@自分の欲望や見栄のためにお金を使う。これは経営者として最も悪いお金の使い方です。残念ながら経営者失格だと思います。次にA便利だからといってお金を使う方がいます。これもまずい例です。最後にB必要だからといってお金を使う方がいます。これも一見まともなように見えますが駄目な使い方です。


どうしてでしょう。それは『入るを量りて出づるを制する』という言葉に集約されます。要するに収入金額を計算してお金を使いなさいということです。収入の予測を立てて、支出はそれ以内に収めることです。


どんなにかっこ悪く見栄えがしなくても、どんなに便利でも、どんなに必要であっても、入ってくるお金以上に使わないことです。そうすれば必ず利益は確保できます。簡単なことです。計画性を持って入ってくるお金でやりくりする。これが利益確保の原点です。


ただ、経費をどんどん削減していくのみでは先細りになります。未来費用(未来のための戦略的費用)は必要ですので注意してください。

平成22年12月TOPIC


借入金をいかにして返済するか

尖閣諸島沖の中国漁船船長の逮捕をきっかけとした、日中関係の悪化は、ついに暴動まで引き起こし、最悪の結果となりました。日本の外交もつたなさを感じますが、それ以上に中国の外交に経済と武力の力を背景とした覇権主義の姿を感じたのは私だけではないと思います。色々な意味で中国からは目を離せませんね。


さて、前回借入れは安易にしてはならないと述べました。借入れには@簡単にお金が手に入るA一時的に現実逃避ができるB習慣になるC金額が増加する、そしてD最後は破綻するという特徴があります。そういう視点で見るとなかなか恐いものなのです。


それでも既に多額の借入れが出来てしまった場合に『どうすれば返済できるか』ということです。まずは原因分析が大切です。


原因分析にはお金の流れを表したキャッシュフロー計算書が有効です。キャッシュフロー計算書はT営業活動によるものU投資活動によるものV財務活動によるものから成り立っています。


財務活動によるマイナスや投資活動によるマイナスが原因で資金不足になっている場合は比較的手が打ちやすく深刻ではありません。しかし、営業活動によるマイナスが原因で資金不足になっている場合(実際はその原因による場合が多いのですが)は、なかなか厳しい状況です。


ただそのなかでも@売上回収期間が支払いサイトにあっていない。つまり、サイト負けをしている。とか、A多額の在庫が資金を圧迫しているとかの原因であれば、@の場合では支払いサイトを延ばしてもらうか、売掛金の回収の早期化を計る。Aの場合には適切な在庫量、在庫回転率をつかみ不良在庫を減らす。とかで資金繰りを改善させ、借入金返済が可能になります。


問題は赤字経営が資金不足の原因の場合です。キャッシュの源泉は利益です。一時的に資金繰りをよくすることは出来ても、利益がなければいずれは破綻をきたしてしまいます。


それでは、利益を確保するためにはどうしたらよいのでしょうか?難しいことなのですが、実は簡単なのです。何故簡単なのか?・・・理由は次の機会に!

平成22年11月TOPIC


借入金について

猛暑が続いていましたが、9月23日を境に秋がやってきて、一息ついた気持ちになられている方が多いと思います。


しかし、我々を取り巻く経済状況は、ここのところ、厳しさを増しているように思います。経済状況が厳しくなると、資金繰りに支障をきたし、どうしても借入金に頼らざるを得なくなることがあります。


私どもは、職業上、毎月数多くの月次試算表を拝見させていただいておりますが、皆様は我々中小企業の借入金の平均残高はいくらぐらいかご存知でしょうか?


TKCの黒字企業の主要分析表によると、借入金残高は、全産業平均で売上高の3.5か月分です。たとえば年商が1億2千万円であれば、3千5百万円が借入金の平均残高です。これを少ないと思うか、多いと思うか経営者の置かれている状況によって変わると思います。ただ大切なことは借入金は返済しなければならないということです。言葉を変えれば、『借入金は最大の固定費です』売上が減少しても、例えば売上0でも返済しなければならないという事です。そう考えればとても怖いですね。


過大な借入金で資金繰りが逼迫する事例をよく拝見します。何故そうなったのか?それは、当初の資金不足のときに『何故資金が足りなくなったのか』を追求せずに、安易に借りてしまった事にあります。


とにかく、借入れの効果は絶大で、汗を流すことなく簡単に現金が入ります。支払手形の決済も出来、従業員の給料も払えます。時には飲食費さえも支払えます。借入れに慣れてしまうと、残念ながら、『何故資金が足りなくなったか』を考えず、ただひたすら『いかにして借入れが出来るか』を考えるようになる経営者が少なくありません。


資金繰りに奔走するのは経営ではありません。借入れの怖いところはついつい慣れてしまい、いつの間にか額が増加してしまうことです。くれぐれもそうならないよう、借入れをする際には慎重にも慎重であるべきです。


それでも、既に多額の借入れが出来てしまった。そういう場合に『どうすれば借入れを返済できるのでしょうか?』
それは決して簡単ではありませんが、詳しくは次の機会に述べさせていただきます。

平成22年9月TOPIC


私はA君の言葉を忘れない

毎日異常な猛暑が続いています。やはり地球環境がどこかおかしくなっているようです。
また、ここに来て世界経済も異常をきたしだし、円高も加わりにわかに不透明感がただよい始めました。そんな中、猛暑を忘れさせてくれる心が洗われるような良い話に出会いました。


小学生のとき、少し足し算、引き算の計算や、会話のテンポが少し遅いA君がいた。でも、絵の上手な子だった。
彼は、よく空の絵を描いた。抜けるような色使いには、子供心に驚嘆した。
担任のN先生は算数の時間、解けないと分かっているのに答えをその子に聞く。冷や汗をかきながら、指を使って、ええと・ええと・と答えを出そうとする姿を周りの子供は笑う。N先生は答えが出るまで、しつこく何度も言わせた。私はN先生が大嫌いだった。
クラスもいつしか代わり、私たちが小学6年生になる前、N先生は違う学校へ転任することになったので、全校集会で先生のお別れ会をやることになった。生徒代表でお別れの言葉を言う人が必要になった。先生に一番世話をやかせたのだから、A君が言え、と言い出したお馬鹿さんがいた。お別れ会で一人立たされ、どもる姿を期待したのだ。


私はA君の言葉を忘れない。
『ぼくを、普通の子と一緒に勉強させてくれて、ありがとうございました』


A君の感謝の言葉は10分以上にも及ぶ。水彩絵の具の使い方を教えてくれたこと。放課後つきっきりでそろばんを勉強させてくれたこと。その間おしゃべりする子はいませんでした。N先生がぶるぶる震えながら、嗚咽をくいしばる声が、体育館に響いただけでした。


昨日、デパートのポストカードなどに美しい水彩画とA君のサインを発見しました。
N先生は今、僻地の小学校で校長先生をしております。先生は教員が少なく、子供達が家から2時間ほどかけて登校しなければならないような過疎地へ自ら望んで赴任されました。
N先生のお家には、毎年夏にA君から絵が届くそうです。
A君はその後公立中高を経て、美大に進学しました。お別れの会でのN先生の挨拶が思い浮かびます。
『A君の絵は、ユトリロの絵に似ているんですよ。みんなはもしかしたら、見たことないかもしれない。ユトリロっていうフランスの人でね、街や風景をたくさん描いた人なんだけど。空がきれいなんだよ。A君は、その才能の代わりに、他の持ち物がみんなと比べて少ない。だけど、決して取り戻せない物ではないのです。そして、A君はそれを一生懸命自分のものにしようとしています。これは、簡単なことじゃありません!』


A君は、空を描いた絵を送るそうです。
その空はN先生が作り方を教えた美しいエメラルドグリーンだそうです。


=『涙が出るほどいい話』より=

平成22年8月TOPIC


損益計算書は誰が作る?

少し前まで激しい雨が降り続く毎日でしたが、一挙に梅雨明けし日本列島が猛暑にみまわれています。最近思うのですが、どうも日本の気候が亜熱帯化しているように思われます。雨はスコールのように降り、夏は猛暑が続きます。やはり、地球の気象は世界景気と同様に異常をきたしているのかもしれません。


さて、前々回には、貸借対照表は社長が作っていると述べました。それでは損益計算書は誰が作っているのでしょう?


実は損益計算書も社長が作っているのです。ただ貸借対照表が社長の意思決定の塊だとすると、損益計算書は社長を先頭に従業員全員が作り上げていくものです。社長一人では出来ない数字です。従業員全員の努力の結果が損益計算書に反映されるのです。


損益計算書は一般には一年間の経営成績を表していると言われていますが、それと同時に利益を挙げるためのプロセスをも表しています。


いかに売上を確保し、いかにして原価低減を図り、いかに経費を節約し、税引前当期利益を確保したか、そこから税金を支払いやっと当期純利益にたどり着くのです。損益計算書はそのプロセスを語っているのです。


京セラの創業者である稲盛氏は売上に対して二桁の率の税前利益を目標にしなさいと言われています。しかし、実際は数パーセントの税前利益を出すのでも容易ではありません。そこに創意工夫と誰にも負けない努力を重ね二桁の利益を確保しなければならないと言われています。それは、将来の昇給の財源であり、設備投資の財源となります。数パーセントの利益ではそれらが確保できません。何よりもリーマンショックに端を発した今回のような不況を乗り越えることが出来ません。長い間には『まさか』と思われるようなことも度々起こります。それを乗り越えるためには数パーセントの利益ではもちません。普段から高収益の事業構造を作り上げていくことが大切です。


数字はどんな言葉よりも雄弁に現実を語ります。是非二桁の利益を目標に従業員一体になって立派な損益計算書を作り上げていきましょう。

平成22年7月TOPIC


サッカーと経営

6月25日の早朝、ワールドカップの日本の予選最終戦が行われました。日本が3−1でデンマークを破り、見事決勝トーナメントに駒を進めることができました。国際社会の中で日本の存在感がだんだん薄れ、閉塞感が漂う中、久しぶりに明るい話題で日本中が沸き立つような感じで、私も久しぶりに興奮しました。溜飲が下がる思いです。


しかし、戦前の成績を考えると、よく勝ったものです。この一番の功労者は、本田選手でもなく、遠藤選手でもなく、やはり、岡田監督だと思います。よくぞ、短期間にここまでチームを立て直したものだと感心します。勝利後のインタビューで彼は自分たちの目指したサッカーが主力選手の不調でうまく機能しなかった。そこで、踏ん切りをつけ今の選手達に切り替えたのだと話していました。


また、彼はサッカーがチームプレーだという事も証明したいとも言っていました。前回大会の準優勝チームで素晴らしいタレントを揃えていたフランスチームがチーム内や、監督とのごたごたで一勝も出来ずグループの最下位で一次リーグ敗退を喫したことからもそれは容易に証明されたのではないかと思います。


意思統一ができていない、つまりベクトルが揃っていない組織がどれほどもろいかはサッカーをみてもわかると思います。つまり、経営においても『企業理念の共有がまず何よりも大切である』と思います。


それと、経営にとって大切なのは変化、つまり変わることが出来るかどうかです。岡田監督がテストマッチで結果がでない事を受け止め選手たちを入れ替え、戦術も修正して結果を出しました。その為に、監督がどれだけ苦悩し、腹をくくって決断したかは想像に難くありません。


経営においても赤字が続くということは、『今のやり方ではもう退場です』というマーケットからのメッセージです。それを真摯に受け止め組織なり戦略なりを変えることが出来るかどうかに企業の盛衰がかかっています。決算書や、試算表は実はそういう役目も持っています。是非真摯に受け止め経営の指針にして下さい。環境の変化に対応して遺伝子を変化できた生物のみが生き残ったということは、歴史が証明しています。


日本チームがどこまで勝ちあがれるか楽しみです。皆で応援しましょう!!

平成22年6月TOPIC


貸借対照表は社長が作る?

会計事務所における5月は繁忙期といわれます。それは多くの企業が3月決算にしておりその申告時期に当たるからです。
今年もありがたいことに多くの会社の決算申告業務を受託させていただいておりますが、私どものお客様である中小企業はまだまだ厳しい業況です。


不景気になると、残念ながら銀行融資を受け資金を確保しなければならない場合がよくあります。その時には必ず決算書の提出が求められます。皆さんご存知のように決算書は貸借対照表と損益計算書と株主資本等変動計算書の総称です。


その決算書の一部である貸借対照表は、実は社長が作っているのです。どういうことかといいますと、貸借対照表は社長の意思決定の塊なのです。売掛金や買掛金、手形のサイトは何ヶ月にするか?在庫は何か月分持つか?車を買うのか?借入で購入するのかそれともリースにするのか?不動産を購入する決断をするのか?その際自己資金はいくらで借入を何年で返済するのか?等々、実は全て社長が意思決定した結果が貸借対照表なのです。


銀行融資を受けるさいには、銀行は損益計算書もですが、貸借対照表を重視します。それは言葉を変えれば貸借対照表は社長そのものだからです。だから貸借対照表をみれば社長の経営者としての技量がわかります。どうですか?少し怖いですね。


しかし、貸借対照表(特に純資産の部)は短期間では充実しません。何年もかかって立派な貸借対照表になります。その為には納税も避けて通れません。是非立派な貸借対照表になるよう頑張りましょう。


次に損益計算書についてですが、損益計算書は誰が作るのでしょうか?
それは・・・
損益計算書の役目も含めて次の機会に述べたいと思います。

平成22年5月TOPIC


不撓不屈の精神

私事ではありますが、先日、盛和塾の全国世話人会に出席してきました。盛和塾とは京セラの創業者である稲盛和夫氏が若手経営者育成のために作ったボランティアの経営塾です。全世界で60塾、塾生5,497人(2009年12月現在)の規模を誇っています。
私は盛和塾愛媛(65名)の代表として出席させていただいたのですが、毎回素晴らしい感動を頂いています。
毎回稲盛塾長が講話をされるのですが、今回は中村天風氏の
『新しき計画の成就はただ、不撓不屈の一心にあり、さればひたむきに思え、気高く、強く一筋に』
という言葉を引用され、どんな困難で茨の道でも、夢に恐れることがあってはならない。いささかなりとも曇りがあってはならない。どうしてもこれを実現するという強烈な思いが大切である。自分の可能性をただひたむきに信じていくのみである。計画の成就に一切の疑念を持たず強烈な成就への想いを持ち続けなければならない。と不況に喘ぐ私たちを鼓舞していただきました。
また、この想いは純粋で正しいものでなければならないともいわれ、ジェームスアレンの『清らか人間ほど、穢れた人間より容易に目的を達成することが出来る』という言葉も引用されました。
稲盛塾長もJALの再生の真っ只中で、奮闘されています。自分自身にも言い聞かされているのだと感じました。
倫理法人会の創設者である滝口長太郎氏も『打つ手は常に無限にある』といわれています。思いを持ってひたむきに事業に打込めば何らかの方法は必ず見つかると思います。
上場企業の業績は着実に回復しています。四国は田舎ですので波及効果が現れるには時間がかかりますが、四国でも必ず景気は回復します。厳しい状況がもう少し続くと思いますが『不撓不屈の精神』で頑張って乗り切っていきましょう。

平成22年4月TOPIC


平成22年の税制改革は大増税への布石?

平成22年税制改正は民主党政権になって初めての税制改正です。皆さんご存知のように民主党は消費税の増税を当分は実施しないことを、公約に掲げています。そのしわ寄せでしょうか?平成22年税制改正は明らかに増税色が色濃く出ています。


まず、身近なところでは、所得税です。所得控除の見直しが行われる予定です。年少扶養親族(扶養親族のうち年齢16歳未満の者)にかかる扶養控除は廃止の予定です。これは子供手当てが支給される予定ですので、控除から手当てという流れで廃止される予定です。
子供手当てが満額(31.2万円)支給されれば子供のいる全ての家庭が潤います。というのは、現在の最高税率は住民税も合わせて50%ですので、最高税率の方でも増税額は19万円(38万円×50%)です。差し引き12.2万円の得になります。


16歳以上19歳未満の特定扶養控除の上乗せ部分25万円も廃止されます。これは高校の授業料の無料化に伴う措置です。公立高校で授業料が12万円ですから、最高税率適用者で約12.5万円の増税ですのでほとんど損得ありません。最高税率適用者以外の多くの方は得になり恩恵を受けます。


また、『世紀の悪法』と私は思っているのですが、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度が平成22年4月1日以後終了事業年度から廃止されます。喜ばしいことですが、来年度には所得税で形を変えて復活すると囁かれております。糠喜びにならない事を願っています。


それに関連して、税金計算の折、給与から差し引かれる給与所得控除が見直されるかもしれません。そうなれば、多くの人が対象となりかなりの増税になります。『今回の改正はその布石ではないか?』と思うのは考えすぎでしょうか?


さらに、相続税でも大きな改正がありました。あまり騒がれていませんが、小規模宅地等の課税の特例が見直されました。相続人等が相続税の申告期限まで事業または居住を継続していない宅地等を適用対象から除外されました。これは、私たち専門家の間では結構大きな改正だと認識しています。この見直しにより増税になる事案が結構あると思われます。


また、相続税法24条(定期金に関する権利の評価)が改正され、生命保険を年金形式で入られている方は大きな影響があります。現行の評価方法よると評価額と実際の受取金額の現在価値の乖離がかなりあります。これを利用して節税を図るという謳い文句により生保各社が積極的に営業を掛け、特に銀行関係の窓販により爆発的に契約が増加しました。それが大きな理由で今回の改正にいたったと思われます。この種の生命保険を利用した節税策は当局とのいたちごっこの様相を呈しています。とにかく、この生命保険に加入されている方の平成22年4月1日以後の相続については大きく増税になります。


相続税に関しては遺産課税体系から遺産取得税体系への移行が検討されておりそれに伴い相続税の基礎控除も見直され増税の予定です。


というように、22年度税制改正は特に所得税、相続税について増税されます。それと共に更なる増税への布石が着々と打たれているように思われますが、いかがなりますでしょうか?

平成22年3月TOPIC


納税者番号制度と政治資金

昨年は世界的不況の中厳しい一年となりました。そんな中昨年末から日経平均株価も急上昇し始め明るい兆しが見え出したような気がします。ただ、私どものお客様の現状を見ると、愛媛の経済状況は回復には程遠く、まだまだ厳しい状況が続いています。また、日本経済も二番底の懸念もささやかれており、予断は許さないところかと思います。
そんな中、今年は小沢幹事長の政治資金収支報告書の虚偽記載をめぐり、現職の衆議院議員である石川代議士が逮捕され大変な年の始まりとなりました。
私は以前から政治資金収支報告書の透明性を高めるためには、複式簿記の義務化が必要ではないかと思っています。それと同時に納税者番号制度が実施されればお金の流れがかなり明確になるのではないかと思われます。
納税者番号制度は20年ほど前から税制改正の俎上に上っては消え、上っては消えの連続でした。そういう経過を見るにつけ納税者番号制を一番嫌がっているのは政治家の方々ではないかと思うほどでした。今回の税制改正案では、明確にその実施がうたわれています。これは金融一体課税の布石として必ず必要な制度です。2年後くらいには実施されるものと思われます。そうなれば番号で名寄せが出来るのでかなりの透明性が確保されるでしょう。
政治とお金の問題は昔からの問題です。国民が民主党政権に期待したのはそういう古い体質からの脱却であるはずです。その分、今回の政治資金の問題に国民は大きな失望感を抱いたはずです。小沢幹事長はもとより、政治家の方々には再度襟を正していただきたい。ましてや、今回検察庁が指摘しているように、土地購入資金がゼネコンからの裏献金だとすれば、許されない行為です。是非、一日も早い真相究明を願うものです。
それと同時に、政治資金収支報告書に複式簿記の早期導入、納税者番号制の早期実施が望まれるところです。
私どものお客様はみな生き残るために日々必死に頑張っています。政治家は日本のリーダーであります。『より良い日本を作るため高い志を持って一身を投げ打って頑張っていただきたい』という思いは国民の切なる願いです。

平成22年1月TOPIC