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イノベーションのジレンマ

令和2年1月31日

中国の武漢市を中心に新型コロナウイルス感染者が拡大し、日本でも人から人への感染が確認され連日大きく報道されている。中国では春節の休みを2日間延長することにより、工場再開を延期する企業が相次ぎ、経済にも影響が出始めている。一日でも早く収束に向かってほしいところである。

コロナウィルスが大きく報道される中で、世界的ベストセラーになった『イノベーションのジレンマ』著書で有名なクレイトン・クリステンセン米ハーバード大学院教授が1月23日に67歳の若さで亡くなったという記事が日経新聞の片隅に掲載されていた。

クリステンセン氏は、その著書の中でなぜ大成功した企業ほど新興勢力によるディスラプション(創造的破壊)に弱いのか。なぜ創造的破壊は大企業から生まれにくいのか。IT業界などで繰り返されてきた業界の歴史を分析解明している。具体的には、主な理由として以下の3点を挙げている。

  • @ 成功した企業は顧客のニーズにこたえ従来製品改良を進めるいわゆる「持続的イノベーション」で事業を成り立たせてしまうため「破壊的イノベーション」を軽視してしまう。
  • A 「持続的イノベーション」の成果はある段階で顧客のニーズを超えてしまいそれ以降は、顧客は「破壊的イノベーション」に関心を持ち、新たな技術を持った新規企業に市場を奪われてしまう隙を作ってしまう。
  • B 破壊的技術は往々にして低価格で利益率が低い、あるいは市場規模が小さいことが多い。その結果、既存の技術で成功している企業にとって魅力を感じず、参入のタイミングを見逃してしまう。

当時、その実例が日々表れていたこともあり、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏も極めて深い影響を受けたと述べている。

死因は白血病に起因する複合的症状だった。これまでも、糖尿病、心臓病、脳梗塞、リンパ腫など何度も重病に見舞われながらも研究や実業を重ねてきて、米国では重病からの生還を繰り返す奇跡の人としても知られていた。またクリステンセン氏は敬虔なモルモン教徒でもあった。「重病のたびにこの世での自分の使命はもう残ってないのか神に問うてきた。もしそうなら喜んで次の世での使命を果たしていくつもりだ」と話してたいたとのことである。本当に志のある素晴らしい人だった。また、惜しい人を失くしてしまった。ご冥福をお祈りいたします。


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