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トピック

大義

平成29年10月31日

安倍総理の突然の衆議院解散により22日に投票が行われた。その結果、定数が10減少したのにもかかわらず、自民党が284議席を確保し、公明党とも合わせて全議席の3分の2を上回る313議席を確保し圧勝した。

今回の公示直前には小池東京都知事が「希望の党」を立ち上げ自ら代表に就任し、さらに野党第一党であった民進党の代議士が希望の党から出馬するなど目まぐるしく情勢が変化した。ここまでは、今回の選挙が「大義なき解散」とか「森友・加計隠し解散」とか非難されていたこともあり、政権選択選挙になるのではとも言われていた。

そこから、ご存知のように小池代表のあの「さらさらない」「排除」発言が飛び出し、希望の党は一気に失速してしまった。排除された党員の受け皿として枝野氏が「立憲民主党」を立ち上げ、多くの小選挙区で自民党、希望の党、立憲民主党の3極による争いの構図となり、野党勢力が分裂したことにより結果として与党が小選挙区全体の4分の3超の議席を獲得し圧勝した。

与党圧勝の一番の要因は希望の党の失速である。政治は「一寸先は闇」とよくいわれるが、まさにこの言葉が実証された選挙だった。政治評論家たちは排除発言さえなければ希望の党は失速しなかったと言っていますが、私はそうではなく多くの有権者はその言葉の裏にある小池氏の人間性を見抜いたのでないかと思う。選挙で有権者に選ばれ、実績のある政治家を、排除という言葉を使い、それを笑いながら言った小池氏の態度は、「日本をよくしたい」という大義はなく、不遜で権力欲だけの人に見えた。今回の選挙で受けた小池氏の損失は大きく根が深い。今後の政治生命にも大きなダメージを残したと言える。

それに対して枝野氏は排除された人たちを救うために、立憲民主党を立ち上げ安倍政権への対決姿勢を明確に打ち出した。「自由と民主主義に立脚した立憲主義を守る」を党綱領に掲げ、安全保障関連法案の廃止などの政策を軸に共産党や社民党とも連携して55議席を獲得し躍進した。立憲民主党に志や大義を感じて投票した有権者も多かったのではないだろうか。

安倍総理には、大義は感じられなかったが、大変な戦略家だし決断力を感じた。結果は大勝利であったが、諸々の問題は残されたままである。当選者は多くの有権者に支持され選ばれたのであるから志を高く持って未来の日本のために謙虚に政治に邁進していただきたい。

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ビットコイン

平成29年9月30日

安倍総理が28日に衆議院を解散し事実上選挙戦に突入した。民進党が希望の党に合流する予定ということで一気に安倍首相対小池氏の構図ができつつある。釈然としないことが多いが、日本の行く末を決める選挙である。個々の候補者をよく吟味し、本当に日本をよくしたいという志のある方を選ぶことが大事なのだろうと思う。

新聞紙上は選挙一色になりつつあるが、しばらく前までは、ビットコインの記事が紙面を賑わせていた。ビットコインに代表される仮想通貨が平成28年6月に公布された資金決済に関する法律により仮想通貨も支払手段(通貨)として認められたことを受け、国税庁も平成29年度税制改正で消費税法上、平成29年7月1日以後については、仮想通貨を売買した場合でも非課税とした。それまでは物の売買として消費税の課税対象であった。

また国税庁は、仮想通貨を使用することで生じた利益は、「雑所得」として所得に応じた累進税率を適用することを明らかにした。これはビットコイン等の仮想通貨の激しい値動きに着目した投機的取引が増加し、仮想通貨の時価総額が年初から一時10倍にも膨らみ、保有時価が一億円を突破する「にわか長者」が多数誕生している現状を看過できなくなったのだろう。このようにビットコイン等の仮想通貨はその存在を日々強めている。

ビットコインは @土日祝祭日関係なくいつでもスピーディな取引ができる A全員参加の監視体制の下で動いているので詐欺にあう危険性が低い Bビットコインの利用や送金時の手数料が格安である・・・等のメリットの反面、@不正取引を行う悪人が51%を突破してしまうと乗っ取られる Aビットコインの取引会社が破綻してしまえば何も残らない B現実の通貨同様レートが変動するそれも激しく・・・等のデメリットがあるが、ビットコインは金融とITが融合したフィンテックの代表的な存在であり、急速に市場が拡大している。金融庁も10月からは、仮想通貨取引所の監視に乗り出し、市場の監視と育成の両立を目指すようである。

現在は「アリペイ」「アップルペイ」「LINE Pay」等の外国企業の決済サービスが先行し、決済情報を握られる懸念が強まっている。邦銀も、みずほフィナンシャルグループやゆうちょ銀行、数十の地銀が連合で、円と等価交換できる仮想通貨「Jコイン」を扱う新会社を設立し、仲間同士、企業間の決済のお金を自由にやり取りできる決済サービスを始める予定だ。今後どの仮想通貨が発展し、どの仮想通貨が消えてゆくのか、決済ビジネス自体がどのようになるのか興味深いし、目が離せない。

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使える時間

平成29年8月31日

先月100歳を過ぎても現役の医師を続け高齢者が活躍できる社会の在り方などに提言を続けてきた日野原重明医師が105歳で亡くなられた。日野原氏は日本で最初に人間ドックを開設、早くから予防医学の重要性を説き終末医療の普及にも尽力され、長年にわたって日本の医学の発展に貢献された人である。

長生きをされたので、さぞ健康には留意をされ規則正しい生活をされていたのではと思っていたのだが、その晩年の生活には驚かされた。日野原氏の100歳を超えてのスケジュールは2,3年先まで一杯という多忙な日々を送られていたようである。乗り物でのわずかな移動時間も原稿執筆に使い、日々の睡眠時間は4時間半、週に一度は徹夜をするという生活だったとのことである。さすがに徹夜は96歳からやめ、睡眠時間を5時間に増やされたが、命の続く限り現場に立ち続けるという信念を貫かれた。本当に日野原氏は自分の人生を生ききった方だと改めて感銘を受けた。

日野原氏を語るときに、有名な事件がよど号ハイジャック事件である。日野原氏は学会に出席するため福岡に向かう途中で、ハイジャック事件に遭遇し、人質となった。その際、死も覚悟したが、無事解放された。ハイジャック事件は内科医としての名声を求めるよりも「これからの人生は与えられたものだ、誰かのために使うべきだ」とその後の人生観を変えるきっかけになったと述べられている。

晩年はその信念に基づき、医師として現場に立ち続ける傍ら、全国各地の小学校で「いのちの授業」を実施された。そこで子供たちに「命とはなんだと思う?」と語りかけられ、「いのちとは私たちがもっている時間である。命があるということは使える時間があるということだよ。あなたたちは今、時間をほとんど自分のためだけに使っているが、大人になったらあなたたちがもっている時間(=いのち)を人のためにも使うようにしましょう」と話されていた。また、「なんといっても人が人に与える最高なものは心である。他者のための思いと行動に費やした時間、人とともにどれだけの時間を分け合ったかによって真の人間としての証がなされる」などと話されて、多くの名言も残された。

日野原氏の生きざまは「人生においては地位や名声など何を得たかではなく、いかに生きたかが大切なのだ」と改めて教えていただいた気がする。心よりご冥福をお祈りいたします。

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世界の中間層の本音

平成29年7月31日

今年も(財)日本税務研究センター主催の夏期セミナーに参加してきた。このところ毎回講義をしていただく東京大学大学院教授で、政府税制調査会会長の中里実先生の講義内容が興味深かった。

それは、以前から中里氏が述べられていたことであるが、先進国のいわゆる中間層の剥落が起こっている。それがアメリカ大統領選でのトランプ氏の勝利や、Brexitの要因ではないかと言う話である。それは1989年に起こったベルリンの壁の崩壊以降、世界人口50億のうち、アメリカ、ヨーロッパ、日本にいる5億人だけが豊かであった世界が、世界人口70億のうち、中国、ロシア、ブラジル、インドをいれて70億人中35億人くらいが、豊かになろうとしている、そういう世界になった。そういうなかで、先進国の中間層の剥落が起こった。アメリカ、ヨーロッパ、日本における中間層が剥落して、その富はどこに行ったかと言うと中国やインドの豊かな人たちのところにいったという推測をされています。

そこでいわゆるトランプ現象がおきた。世界的な中間層の崩壊の中で、今まで経済的に安定していた中間層、サイレント・マジョリティーが生活に不安を感じるようになった。「自分たちも経済的に苦しいのに、なぜ、マイノリティーのために色々な事をしなければならないのか、なぜ移民を受け入れなければならないのか」という口には出せない(ここがポイントで口に出したらおしまいなので)反感を募らせたのであろう。また、それに拍車をかけたのが、「ワシントンのインサイダーの人たちは、きれいごとばかり言って、結局うまいことやっているのではないか」というエリートへの不信感である。

サイレント・マジョリティーの本音は、「ワシントンのエリートたちは、口先だけの正論を主張して、我々自身が経済的に没落しているにも拘わらず、恵まれないマイノリティーのために負担を強いることを主張する。これ以上の負担はごめんだ」という極めて正直な気持ちである。その本音を上手につかんだのがトランプ氏であり、これがトランプ現象の本質である。という講義であり説得力があった。

しかし、だからと言って、利己主義や排他主義に陥ってはならない。その行き着くところが豊かな世の中にはならないことは、容易に理解できるし、何よりも歴史が証明している。これをこうすればうまくいくというような簡単な話ではないが、やはり、皆が幸福である社会を目指すこと自体が大切な事なのだと思う。今こそ痛みがわかるリーダーが求められるし、日本においてはこのような現象に歯止めをかけるためにも所得税改革が喫緊の課題になると思う。

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家族信託

平成29年6月30日

真田広之、中井貴一、柳沢慎吾のTVCMで「きょう、信託はじめました」というフレーズを聞かれたことがあると思う。その信託について、「家族信託」というテーマで研修会が開催されたので、参加してきた。

一般的に信託とは、委託者「財産を預ける人」が信託行為(信託契約、遺言等)によって受託者「財産を預かる人」に対して、金銭や不動産などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者「預けられた財産から得られる利益を受ける人」のその財産の管理・処分をする制度です。
  そのなかでも特に、高齢者や障害者のための財産管理の手段として、遺言や成年後見制度を補完する機能を持った信託スキームが「家族信託」と呼ばれていて、従来の制度では実現できなかった自由な財産管理や、遺産相続を可能にする大変有効な仕組みです。

例えば、お父さんが元気なうちに、息子さんとお父さんが所有する不動産の信託契約を結びます。委託者はお父さん、受託者は息子さん、そして受益者もお父さんです。登記簿謄本上は、信託を登記原因として不動産の名義は息子さんになります。形式上の所有権は息子さんに移るが、受益者はお父さんだから、家賃収入や経費は今まで通りお父さんです。当然、確定申告もお父さんがしなければなりません。不動産取得税や贈与税もかかりません。固定資産税も実質負担者はお父さんです。しかし、しばらくしてお父さんが認知症になったとしても、受託者である息子さんの意思だけで、その信託財産の運用、管理、処分まで可能です。相続が発生すれば、受益権として評価され、みなし相続財産として取り扱われます。相続税自体の計算は全く変わりません。(相続税法9条の2)

さらに、例えば長男であるXは先祖代々の広大な不動産を所有している。妻Yとの間に子供はいない。Xは自分が死亡すれば妻Yに全て相続させたいが、妻Yが死亡すれば、不動産はすべて弟Zの子供であるAに残したいという場合、Xは遺言により信託を設定します。自分の死後、受託者を弟Zの子Aにして財産を託し、その受益者を妻Yにして、妻Yの生存中は、Aが妻Yの生活費等の給付を担い、妻Yの死亡により信託が終了するように定め、財産の帰属先をAに指定します。そうすれば、最終的にX家の不動産は、妻Yの親族に相続されることなく、Aが無事承継するようにできます。

本当に、色々な使い方ができ、事業承継対策、数次相続対策、遺留分対策、争族対策、相続税対策も可能です。家族信託とは、信託銀行が資産家を対象に行うものではなく我々一般市民が、財産管理の一手法として利用できる大変身近な仕組みと言えます。

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政府が後押しする会社

平成29年5月31日

安倍総理の友人が経営する加計学園が、国家戦略特区を活用した獣医学部の新設をするために、総理が後押しをしたのではないかと言う報道が連日のようになされている。 一般の中小企業はこのような後押しは受けるべくもないが、経済の好循環を生み出すため、政府は多くの税制を施行し、企業を後押ししている。その主なものをピックアップしてみた。

(1)中小企業経営強化税制の創設
中小企業等の「攻めの投資」を後押しするために、設備投資減税として、7%(10%)の税額控除または即時償却などの中小企業投資促進税制の上乗せ措置を制定していたが、今年の改正でこれを改組し、新たに中小企業経営強化税制を創設した。 対象設備を拡充し、一定の器具備品・建物付属設備を追加し、固定資産税が1/2に軽減される特例対象設備も、地域業種を限定した上で、同様に拡充することで、サービス業も含め、幅広く中小企業の生産性向上を強力に後押ししている。
(2)所得拡大税制の拡充
企業の賃上げインセンティブを強化するために、所得拡大促進税制を見直し、平均給与等支給額が前年度比2%以上増加すれば、最大で大企業で当該増加額の12%、中小企業で22%の税額控除が可能となった。
(3)雇用促進税制
雇用促進税制も所得拡大促進税制とは別枠で、税額控除ができる。適用年度中に雇用者数を5人(中小企業等は2人)以上かつ10%以上増加させる等の要件を満たせば、一人40万円の税額控除が受けられる。 なお地域再生法に基づき都道府県知事が認定する「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を実施する企業においては、一定の要件のもと新規雇用者一人当たり60万円の控除が可能。
(4)研究開発税制の見直し
研究開発税制が抜本的に見直され、恒久措置の「総額型」「オープンイノベーション型」があるが、今回の改正で総額型に投資増加インセンティブが組み込まれた。なお「高水準型」はそのまま2年延長された。

以上を総括すると地域経済の発展のために、積極的な設備投資を行い、高い賃上げを実現し、積極的に雇用者を増加させ、積極的に研究開発を行う企業は、税制において大きな後押しを受けることができます。 多額の利益を計上し多くの納税が発生する企業ほど恩恵が大きいと言えます。今回の3月決算法人では700万円を超える税額控除を受けることができた企業もありました。特例を受けるためには一定の条件がありますので詳細は当事務所にお尋ねください。

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教育

平成29年4月30日

北朝鮮がミサイル発射実験を行ったことをきっかけに、アメリカが空母を日本海に展開するなど、にわかに地政学的リスクが高まってきている。 平和は一瞬にして壊れてしまうことを改めて感じさせられるこの頃である。

少し前までは、国有地売却に端を発したいわゆる「森友学園問題」が安倍総理夫妻の関与有無を巡り、連日ニュースに取り上げられていた。 この問題は真相が解明されないまま立ち消えになってしまうのか、気になるところである。ここで話題になったのが教育についてである。 森友学園では園児が教育勅語をそらんじることができて、それに感心し籠池氏を支持した人も多いようである。しかし何故いまさら教育勅語なのだろうか?と思ってしまう。

何故なら、日本には立派な教育基本法が制定されているからである。 その前文には、『我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家をさらに発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。』と書かれている。 素晴らしい考え方だと思う。教育基本法の教育の目的、理念とも至極当然なことが掲げられている。文科省はじめ政府はその理念をもっとアナウンスすればいいのである。

人生を意義あるもの、素晴らしいものにするためには、正義、公正、公平、努力、謙虚、正直、博愛などの言葉で表現されるプリミティブな倫理観、世界のどこでも通用する普遍的な考え方をベースにすることが大切である。 これは稲盛和夫氏がいつも言われることである。 稲盛氏はさらに「どのような考え方を選択するかによって、人生は大きく変わり、運命さえも180°変わってしまう」とも言われている。 アメリカをはじめ排他的なポピュリズムが台頭しきて、世界が混迷を深める今こそ考え方、理念を学ぶ教育が必要な時だと思う。

戦後教育での弊害は道徳教育の軽視であったといわれ、最近は道徳教育も復活されたようである。しかし、道徳科の評価では、特定の考え方を押し付けたり、入試で使用したりはしないと謳われている。これも大切な事である。

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公示地価

平成29年3月31日

1月に稀勢の里の横綱として、一層の活躍を期待すると書いたのだが、早速、新横綱の春場所において、優勝決定戦で大関照ノ富士を下し2場所連続で優勝した。 それも13日目の日馬富士戦で左肩付近を負傷し救急車で病院に運ばれ、翌14日目にはなすすべもなく鶴竜に寄り切られた。 まともな相撲が取れる状態ではない中、翌15日目の千秋楽で大関照ノ富士に、本割、優勝決定戦と2度勝ったのだから、まぎれもなく奇跡と言ってよい。 表彰式で「君が代」合唱の際に、こらえきれずに男泣きをした稀勢の里、本当に愚直で、一途な力士である。 インタビューで「自分の力以上のものが出た。見えない力が働いた。」と語ったが、稀勢の里の一途さ純粋さがまさに「他力の風」を呼んだのだと思う。 一日も早い怪我の回復を切に願います。

さて話は変わりますが、3月21日に国土交通省が2017年1月1日時点の公示地価を公表しました。 公示地価とはいろいろ公表される地価のなかでも一番実勢価格に近いとされる価格です。 ご存知の方も多いと思いますが、相続税の計算の基準となる路線価は公示地価の8割を目安に決定され、固定資産税の計算の基準となる固定資産税評価額は公示地価の7割に設定されています。

全国の公示地価は2年連続で上昇したようです。 新聞紙上では訪日外国人の増加を受けてホテルや店舗の進出意欲が旺盛で、商業地は2年連続の上昇。 住宅地も住宅ローン減税などの施策が下支えし、9年ぶりに横ばいに転じたと書かれています。 愛媛県でも商業地の最高地点である松山市大街道2-4-13が昨年の752千円/m²→769千円/m²に上昇、 住宅地も最高地点である松山市持田町4-1-6が昨年194千円/m²→200千円/m²と上昇しています。

私は地価の上昇は上記理由のほかに、不動産投資自体が活発化している点があると思います。 一つには相続税の基礎控除額の引き下げに伴い、相続税対策として地主さんを中心に全国的にアパート建築が増加しています。 もう一つはマイナス金利で資金がだぶついているため、一部金融機関を中心にサラリーマン等にも、マンション取得に積極的に融資をしているようです。 確かに投資用不動産は相続税対策になります。評価額を1/3程度に圧縮できますが、賃貸需要が見込めない土地にアパートを建設すると、後々空室で大変な思いをすることになります。 借り上げ家賃も家賃保証は新築時のままではありません。気が付けば賃貸需要のない老朽化したアパートが残っただけということにもなりかねません。安易な節税目的で多額の投資は危険です。 くれぐれも慎重に行ってください。

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株式評価の見直し

平成29年2月28日

今年も確定申告の時期を迎え、毎日確定申告書の作成に追われる日々を過ごしています。 税制改正も平成29年度の税制改正関連法案が2月3日に閣議決定され、国会に提出され審議中です。 今回の改正案で私が注目したのは取引相場のない株式の評価の見直しです。

今回の改正案は29年1月1日の相続等により取得した財産から適用されます。 突然のように感じますが、実は平成28年度の与党税制大綱の検討事項に、「取引相場のない株式の評価については、企業の組織形態が業種や規模、上場・非上場の別により多様であることに留意しつつ、 相続税法の時価主義の下で、比較対象になる上場会社の株価並びに配当、利益及び純資産という比準要素の適切なあり方について早急に総合的な検討を行う」と明記されていたのでそれを受けた改正と言えます。

少し専門的になりますが、同族株主等に係る取引相場のない株式等(非上場株式)の相続税評価額は評価対象会社の会社区分(大・中・小)に応じ、 類似業種比準方式または純資産価額方式、もしくはそれらの併用方式で計算されます。

類似業種比準方式による株価は、類似業種の株価(上場会社の平均値)と、3つの比準要素(配当、利益、純資産)について、 評価会社と上場会社の比率を用いて算定します。現行評価では、配当・利益・純資産の比重が1・3・1となっていますが、改正案では1・1・1となっています。

今回の改正により、利益の比重が3/5から1/3と小さくなり、同時に配当や純資産の比重が1/5から1/3と大きくなります。 その結果配当が多い会社、内部留保が多い会社の株価が上昇し、利益が株価に与える影響が少なくなります。

昨年、中小企業庁の課長と話す機会があり、現行の評価方法は頑張って利益を出している企業に厳しいので、是非見直しをしてほしいと要望しました。 それは資本力の乏しい中小企業が生き残るためには、高収益企業でなければ難しいと思うからです。 内部留保は厚いが利益が少ない会社は、いずれは立ち行かなくなります。 現行法では、内部留保の乏しい会社を引き継いだ後継者が、必死に努力し利益を上げればあげるほど、相続税の負担が高くなるという笑えない話になります。 そういう意味では良い改正だったと思いますが、業績を上げ続ける良い会社は高い株式評価額に悩まされているのが現状です。 中小企業の事業承継がスムーズになされるためには、現在の事業承継税制をもっともっと使いやすくする必要があると思います。

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純粋であること

平成29年1月31日

トランプ氏がアメリカ大統領に正式に就任して、選挙中に主張していた政策を実行するため、次々と大統領令を発令している。 排外主義と敵意の拡散で大衆をひきつけ、外交も安全保障も取引の材料にする人がリーダーになってしまった。 アメリカ人はリーダーとして一番ふさわしくない人物を選んでしまった。 多くの人が「世界は一体どうなってしまうのだろう?」と思っているはずである。 これで一気に不安定要素が増大したことは間違いない。 日本もトヨタが名指しで批判されたり、貿易が不公平だとやり玉に挙げられている。 現状をどこまで理解しているのかわからないので、なお厄介である。

そんな中日本では、初場所で稀勢の里が初優勝を飾るとともに、日本人として19年ぶりに横綱昇進も成し遂げ、久々に明るい話題に包まれた。 優勝インタビューで、一言「うれしいです」と答え、苦しい時に支えてくれた人への言葉をもとめられた時に、「感謝しかありません・・・」と、一筋の涙がほおをつたった。 万感の思いが伝わってきて、その姿に稀勢の里のファンに限らず、多くの人が胸を打たれたと思う。

稀勢の里ほど多くの人に期待され、何度もその期待を裏切った力士は珍しい。 それでも腐らずにただ一途に努力する姿に、多くの相撲ファンが魅了され破格の声援を受け続けてきたのだろう。 稀勢の里は、先代の鳴戸親方に見いだされ、その教えをひたすら愚直に守ってきた。 その純粋さ、愚直さが多くの相撲ファンをひきつけるとともに、その純粋さが強さの原動力になっていると思う。

純粋さは軟弱な人間を強くし、ひ弱で、意思の弱い人間を強くする。 純粋であることが、迷いを消し、純粋であることが、人間を真剣にし、ひいては人間を美しくさせるのだと思う。 それを稀勢の里に感じるので、人々は魅了されるのだ。 稀勢の里は、純粋で一途であることの大切さ、愚直であることの素晴らしさを体現した力士なのだと思う。 横綱として今後の一層の活躍を期待してやまない。是非頑張ってほしい。

坂村真民の素晴らしい詩があるのでここに紹介します。

一途に生きているから星が飛び、花が燃え、天地が躍動するのだ。
雲が呼び、草が歌い、石がうなるのだ。
一心に生きているから、この手が合わされ、
憎しみを愛に変えることができるのだ。
一途であれ、一心であれ。

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