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トピック

税務行政

令和2年11月30日

先月まで落ち着いていた新型コロナウイルスの感染者が急増している。全国で連日2,000人を超える新規感染者が確認され、愛媛でもこの半月で190人もの新規感染者が出ている。「第3波」の到来と言わざるを得ない状況である。

そんな状況下ではあるが、国税庁は感染拡大防止策を徹底したうえで、10月以降税務調査を少しづつ再開している。税務調査の結果、税務署長が行った処分に対して、納得がいかなければ、再調査請求、又は国税不服審判所に審査請求をすることができる。
 国税不服審判所は、税務行政内部における公正な第三者機関として、税務行政の適正な運営の確保に資することを使命とし、審査請求人と税務署長等との間に立つ公正な立場で審査請求事件を調査・審理して裁決を行う機関である。そうはいっても以前は国税庁の機関としての色合いが強く、税務署よりの裁決が大半であった。しかし、最近は事件担当の国税審判官100名のうち50名は民間採用されており、納税者の主張を支持する裁決事例も多くなっている。裁決は、行政内部における最終判断となる。したがって、税務署長等は、裁決の内容を不服として訴訟を提起することはできない。税務署長の処分がどうしても納得できない場合は審査請求も選択肢の一つだと思う。その裁決にも納得いかなければ、裁判所に原処分取消訴訟等をするしかない。

ただ留意すべき点がある。国税庁課税部平成21年10月5日付全国国税局課税部長会議資料によると「調査事案への適切な対応」「異議事務」「訴訟事務」として次のような対応を指示している。
「調査事案への適切な対応」
納税者の主張に十分耳を傾けるとともに、常に、必要な証拠の収集・保全及び事実関係に即した的確な事実認定を行う。
「異議事務」→「再調査の請求」
異議申し立てについては、納税者の正当な権利利益の救済を図るとともに行政の適正な運営を確保するという不服申立制度の趣旨を踏まえ、公正な立場で充実した調査・審理を行う。
「訴訟事務」
税務訴訟は税務行政の適法性が公開の法廷で問われるものであり、個別事案としてマスコミの関心も高く、その結果は税務行政全体に大きく影響することから、的確な訴訟遂行により、勝訴判決を積み重ね税務行政に対する国民の信頼を確保していく必要がある。
 訴訟事務になると姿勢が全然違うことに気づかれたと思う。訴訟事件は行政のメンツをかけて戦う姿勢を鮮明にしている。これから見ても税務調査は現場でできるだけ解決を図ることが必要と思われる。

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人間の大きさ

令和2年10月31日

新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた愛媛県の宿泊施設への客足が回復傾向にあるようである。道後地区では9月以降対前年同月比約8割、県内の主要施設も同7割の水準までになったとのことである。四国などを巡る周遊観光や近隣県からの修学旅行が需要を押し上げているようである。朗報である。一日でも早く100%以上の回復をと思う。

今回のコロナ禍のような厳しい状況下おいては、不思議と悪いことが重なって起こるものである。不安感で変な汗をかき、眠れなかったり、更には苦しみでのたうち回るような思いをされた方も少なくないと思う。よく企業は経営者の器以上にはならないと言われる。人間の器は持って生まれたものが大きいが、今回のような逆境や試練は自分の器を大きくする好機だとも言える。このコロナ禍を耐え抜き今後の発展につなげていっていただければと思う。

今、日経新聞に元KDDI社長の小野寺正氏が『私の履歴書』を執筆されていて、10月29日のフィロソフィという記事で稲盛和夫氏について述べてられている。私が経営者として曲がりなりにもやってこられたのは、KDDIの生みの親である稲盛和夫氏の薫陶を受けたからだと書かれて感謝、経営においてフィロソフィの必要性、重要性を述べられている。

その中で、あるエピソードを通じて稲盛氏の人間的魅力についても紹介されている。80年代に携帯電話会社の関西セルラーを作った際に、稲盛氏の子飼いである京セラの古参幹部が専務として送り込まれ「料金計算用のシステムは関西セルラーが独自に作る」といって稲盛氏の了解を取り付けてしまった。親会社のDDIとしては、各地のセルラー会社がバラバラにシステムを作るのは金と時間の無駄遣いであり、絶対反対と、血気盛んだった40歳前後の小野寺氏は稲盛氏に「専務を翻意させてほしい」と談じ込んだ。稲盛氏は言い分に耳を傾け「あなたの主張は正しいが、今度だけは大目に見てやってほしい」という。稲盛氏は京セラ創業時から苦楽を共にした古い仲間には非常に寛大で、時に「甘すぎる」と見えることもあった。この専務もその一人で、「彼が無理を言い出すのも、自分の接し方に問題があったからだ」と反省の弁を口にされ、「今後は事業本部に相談させる」と約束されたので、小野寺氏も引き下がったという話である。

人の話をよく聞き、自分が間違ったと思えば、相手が部下や若い人でも素直に謝罪する。30年以上前のあの場面を思い出すたびに、稲盛氏の人間としての大きさが胸に迫ってくると書かれている。改めて、稲盛氏の人間の大きさ、人間愛を感じさせられたエピソードである。

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配偶者居住権

令和2年9月30日

歴代最長の安倍総理の辞任を受けて、9月16日に菅内閣が発足した。内閣支持率は日経新聞によると74%で政権発足時としては過去3番目の高さだった。支持する理由は「人柄が信頼できる」が最多だった。菅氏は自民党総裁選で「雪深い秋田の農家の長男として生まれた」と生い立ちを紹介し、地方議員などを経て国政入りした経緯を繰り返し説明したことが好感を持たれたようである。ただ、安倍内閣の積み残した課題が山積している。取り逃がした成長力を取り戻すため、菅氏は政策運営の中心に規制改革を据えた。コロナ対策と改革を融合し、もう一度世界に輝く日本にしていただきたいと思う。

改革と言えば、平成30年7月に大幅な民法改正が行われた。その改正で配偶者居住権が新設され、令和2年4月1日以降に開始する相続について設定可能である。配偶者居住権には、残存配偶者に対する居住権を保護する配偶者短期居住権(民法1037条)と残存配偶者の生活費の確保の観点から居住建物に係る使用収益権のみを認めて処分権を有しない配偶者居住権(1030条)とがある。配偶者短期居住権は利益評価が不必要な権利である。一方配偶者居住権は原則として終身の間、居住建物を使用継続できる利益を有するので、他の共同相続人との遺産分割上の均衡を図る観点から、利益評価が必要となる。ただしその評価方法は税法にゆだねられ一定の算式で計算される。その結果、居住用不動産は@建物の利用権A建物の所有権B土地等の利用権C土地等の所有権の4つの区分に分けてその評価方法を規定している。

以上が概略である。配偶者居住権とは@居住用不動産の権利を住む権利とその他の権利に分離して、配偶者と他の相続人が別々に相続する仕組みでA相続発生時に自宅に住んでいた配偶者にだけ認められる権利である。配偶者居住権は設定登記を行う必要がありB売却することも相続させることもできない配偶者のみに認められた特別な権利である。配偶者居住権を活用すると、これまでは遺言だけでは不可能であったことが可能になったり、遺産相続争いの防止にも役立つ制度である。

さらに、相続税申告時には、居住用不動産の価額は建物利用権額、土地等利用権額を控除後の価額で評価され、配偶者居住権の敷地となっている土地等の利用権、所有権とも他の適用要件も充足すれば、特定居住用宅地等の課税特例の適用対象にすることも可能である。うまく活用すれば相続税の節税も可能である。ただし将来、施設等に入居するなどにより、配偶者居住権の設定された居住用不動産を売却等する場合は思わぬ課税が発生するので、配偶者居住権の設定はくれぐれも慎重にする必要があります。


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事業の多角化

令和2年8月31日

収束の見えないコロナ禍の中8月28日に、安倍総理が突然辞意を表明した。8月上旬に持病の潰瘍性大腸炎が再発し「病気と治療を抱えて体力が万全でない中、政治判断を誤ることがあってはならない」という理由で、決断されたようである。日本のリーダーとして7年8か月にわたり政権を担ってきた心労の大変さはいかばかりだったかと容易に推察できる。安倍政権の功罪は多々あるけれども、敬意を払うとともに一日も早い病状の回復を願っています。

ただ、新型コロナウィルスの収束や、経済再生は道半ばであり、大統領選挙がある米国や台頭する中国との関係等々、残された課題は山積している。後継者争いも本格化しているが、誰が総理大臣になろうとも、切れ目ない政策遂行が求められる。早く後継者を選出し、スピード感のある実行力を発揮していただきたい。

さて、このところコロナがすっかり社会に定着し、いわゆるウィズコロナ時代となってしまった。このような「未曽有の不景気の中を生き抜くにはどうしたらよいか?いかにしたら生き残れるか?」が経営者の大きな課題となっている。残念ながらこのような不景気を乗り切る処方箋はなかなかないのである。実は今までの経営が問われるのである。世の中には今回のコロナ禍のようなまさかが必ず起こる。それに備えるには、高収益な会社、しっかり内部留保ができている会社、更には事業の多角化ができている会社になっていることが求められる。

コロナ禍を機に事業の多角化、事業そのものの転換について考えている方もあろうかと思うので、今回は多角化の取り組み方について述べてみる。もともと中小企業が成長発展していくためには、事業の多角化が必要である。同時に多角化ができていればリスクが分散される効果もある。ただ実際は事業の多角化に多くの方が失敗されている。ひどい場合はそれが致命傷になり倒産の憂き目にあった会社も多々見受けられる。多角化のポイントは、@まず本業がしっかりしているということ。A新規事業は自分が取り組んできたノウハウや強みが生かせる事業を選択すること。新規事業には当然ライバルが存在している。その中で打ち勝つためには何のノウハウのないところに打って出ても、うまくいかないのは当然である。そしてできればBニッチで成長性のある事業を見つけること。そして一番大切なことはC経営者本人が陣頭指揮をとること。人任せでは決してうまくいかない。最後はDどうしても成功させるという強い思いが必要である。このように取り組むならばなんとか多角化ができるのではないかと思う。コロナ禍の中ですが、必ず生き残るという強い思いをもって乗り切っていきましょう。


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日本電産

令和2年7月31日

7月29日に全国で確認された新型コロナウィルス新規感染者数は1,264人に上り初めて1,000人超となった。これまで感染者がゼロだった岩手県でも2名の感染者が確認され、大阪府、愛知県、福岡県などで過去最多を更新し、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。

そんな状況下で、7月21日にモーター大手の日本電産の第一四半期決算発表がされた。売上高は前期比6.6%減の3,368億円だったが、営業利益は何と前期比1.7%増の281億円を計上した。コロナ禍の中、赤字に落ち込む企業が多いと予想される中で、黒字を確保し、前年実績値を上回ったことは驚きである。日本電産は売上高が半減しても営業利益を確保できる構造改革を展開しているようである。日本電産の創業者であり日本のカリスマ経営者の一人である永守重信会長によると、「営業利益281億円のうち100億円は構造改革によって稼ぎ出したもの」ということである。サプライチェーンのグローバル共同購買の拡大、低収益ラインの撲滅、間接経費の削減等を行い収益性を高めたようである。まさに「打つ手は無限」の実践である。株価も右肩上がりで8,400円近い高い株価になっている。

永守氏と言えば数々の有名な語録がある。「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」「情熱、熱意、執念」「知的ハードワーキング」の三つを経営哲学とし、経営や仕事において何よりも大切なものは「パッション」であるとの考え方が根底にあるようである。また、@最大の社会貢献は雇用の創出であるA世の中になくてはならぬ製品を供給するB一番にこだわり、何事においても世界トップを目指すを経営基本理念に掲げている。これらは永守氏自身の経営に対する考え方であり、その実践が日本電産の急成長の原動力になっていると思う。同時に、永守氏は「企業が求める人材も知能だけの優秀さより、人間としての総合的な感性の豊かさを重視する方向へと転換させていく必要がある」とも言っている。なぜなら感性豊かな人材でなければ、リーダーシップを発揮することができないからである。大きな喜びや苦労した人でなければ他人の喜びの大きさや、相手の本当の苦労はわからない。リーダーにはそういう人間的側面がより強く求められる。従業員にも「たまには、小説を読んだり、美術館にも足を運べ」とよく言っているとのことである。今のようにコロナ禍の厳しい状況下では、不屈の闘争心とともに、そういう豊かな人間性が求められるのではないかと思う。そういう集団になれば、コロナ禍の中でも、利益を確保するのみではなく利益を伸ばすことも可能なのだろう。

※先月取り上げたIT導入補助金の申請が8月末日までできるようになりました。


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IT導入補助金

令和2年6月30日

コロナ禍に伴う緊急事態宣言が解除され県をまたぐ移動も可能になったが、東京都では連日40人〜50人台の新規感染者が確認されて、第2波の懸念がされているところである。とにかく3密(密閉、密集、密接)回避の制約が続く社会の中では、オンライン化を基軸にした脱三密の社会が構築されていくのだろうと思う。企業が生き残っていくためには、新たな社会の変化に対応できる企業、IT化、デジタル化ができる企業が生き残る条件になるのだろう。

経産省は中小企業を対象にした生産性を改善することを目的としてITツール導入を支援する補助金の特別枠(C類型)を導入しIT活用の拡大を図っている。補助率が1/2から3/4に最大450万円の補助額に拡充された。内容は主に次の通りである。

事業類型A類型B類型特別枠(C類型)
補助額30万〜150万円未満150万〜450万円30万〜450万円
補助率1/22/3又は3/4
補助対象経費ソフトウェア、クラウド経費、専門家経費等左記+PC・タブレットのレンタル費用

このIT導入補助金は実に様々な業種・組織形態に対応した補助金である。中企庁のパンフレットには様々な導入事例が紹介されている。例えば@介護業(勤怠管理と請求業務効率化システムを導入した)A卸・小売業(販売管理で経営に関する情報の一元管理)B医療(電子カルテシステム導入で診察効率向上)C宿泊業(複数の宿泊予約サイトを一元管理)D建設業(3次元CADの活用で提案力の向上)E製造業(PRAの活用で業務時間を大幅削減)等々実に多くの事例が対象になる。

ただ今回から申請額が一定額以上の場合には、3年間にわたる賃上げ目標と、さらに“gBizIDアカウント”の取得が要件になった。今年は特に当該補助金の募集期間が短く、今のところ第5次募集の7月10日が最終期限になっている。“gBizIDアカウント”の取得に1〜2週間かかるので現時点での今年の申し込みは厳しい状況である。ただ、コロナ後の働き方やライフスタイルにはIT化、デジタル化が必須要件だと思われる。更なる拡充策が望まれる。なお、導入対象となった案件で一定の要件に該当すれば、特別償却や税額控除などの 税制の特例が受けられます。詳しくは補助金の件も含め当事務所にお尋ねください。


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アフターコロナ

令和2年5月31日

日本では新型コロナウイルスの感染がようやく落ち着きを見せ始め、政府は緊急事態宣言を継続していた東京都など1都3県と北海道を31日を待たずに5月25日に解除した。これで全国すべての緊急事態宣言が解除となったが、松山市では牧病院で大規模クラスターが発生したり、北九州市では6日間で43人もの新たな感染者が増えた。このコロナウイルスは非常に感染力が強く、日本中どこでも第二波に襲われる可能性は十分考えられる。予断を許さないところである。

政府は5月27日に、このコロナ禍で影響を受けている企業支援を中心に第2次補正予算案を閣議決定した。雇用調整助成金の拡充、資金繰り対応の強化、学生支援緊急給付金の創設、医療提供体制の強化等とともに、家賃支援給付金の創設がされている。売上急減に直面する事業者(1か月で売上が対前年同月比で50%以上減少、または連続した3ヶ月の合計が前年同月比で30%以上減少)に対して家賃補助を行うものである。給付率は2/3、給付上限額は月額法人で50万円、個人で25万円の6ヵ月分が支給される。これとは別に松山市においては国の持続化給付金の給付決定を受けている個人事業主に対して20万円または10万円(給付金50万円以下の事業者)が支給される制度がすでに創設されています。詳しくは当事務所にお尋ねください。

このようにコロナ禍に対して、色々な支援策が創設されている。しかし、前述の通り第二波も懸念されるように、コロナ禍が長期化するのは避けられないように思う。歴史的に見ても第二波・第三波到来の可能性は高く、感染拡大と緩和を繰り返し、当面は収束しないだろう。ただ、新たな治療薬や画期的なワクチンの開発ができれば、コロナ禍も終息に向かい経済も大きく改善されると思うが時間がかかるだろう。

今回のコロナ禍は経済活動のみではなく、働き方、暮らし方、ひいては価値観まで大きく揺るがしている。アフターコロナの世界は少なくとも今までとは違う世界が加速される。空前の人手不足であったが採用市場も冷え込む可能性がある。企業の二極化がさらに進み企業数が減少するのは避けられないだろう。働き方もオンライン化を基軸にした脱三密の社会が構築されるだろう。観光等は当分はインバンウドは望めないが、コロナ疲れもあり国内需要は高まる可能性はあると思う。しかし、世の中が大きく変わるときはビジネスチャンスでもある。雇用状況の悪化は新しい人材確保の好機であり、オンライン化も積極的に進めば営業時間の見直しもできる。コロナ後の世界にあった新たな商品開発を行なったり、国内需要を取り込む工夫をすれば飛躍のチャンスになる。厳しい状況下ではあるが、今できることをしっかりと行いコロナ後の世界に備えましょう。


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コロナ対策

令和2年4月30日

新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。相次ぐ自粛要請により、経済が急速に悪化している。飲食業、旅館業、小売業等のお客様の中には、対前年売上比で△90%、△70%、△50%等々と信じられないような業績に陥っている。人件費や家賃等の固定費は支払わなくてはならないので、日々資金が減少していく。皆様のご苦労はいかばかりかとご推察申し上げます。

経産省が「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」という表題で様々な施策を講じている。先月も述べましたが、私どもも微力ながら、お手伝いできることを事務所全体で取り組んでいます。基本的には資金繰り支援になりますが、主に下記の項目になります。

  • (1) 新型コロナウイルス感染症特別貸付
    新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上が対前年、または前々年比5%以上下落した月がある場合3,000万円を限度に融資が受けられます。返済期間は設備資金:20年以内、運転資金:15年以内です。据え置き期間は最大5年間です。当初3年は金利0.46%(売上△15%以上なら実質無利子)3年経過後9年まで1.36%で返済期間が延びれば徐々に金利が高くなります。
  • (2) 持続化給付金
    売上が前年同月比で50%以上減少している事業者は、法人200万円、個人100万円を限度に給付金が支給されます。4月27日の速報版によると持続化給付金の申請用HPからの電子申請になります。添付書類は@確定申告書類A2020年の対象月の売上台帳等B通帳の写しC本人確認の写し(個人のみ)等です。4月30日に補正予算成立後HPが開設される予定です。
  • (3) 納税猶予
    売上が2割以上減少している場合で、猶予を受けようとする国税以外の滞納がなく、納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書等(納税の猶予申請書、収支の明細書、財産収支状況書)を提出すれば、原則として延滞税なしで1年間納税が猶予されます

その他に雇用調整助成金や固定資産税の軽減等多くの施策が講じられています。各項目に問い合わせ先はありますが、繋がらないことが多いので、詳しくは当事務所にお問い合わせください。また、清掃、研修、新商品の開発等、時間があるときにしかできないことがあります。コロナは必ず収束します。収束後のV字回復を目指して、今できることをしっかりと実行していきましょう。


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高収益経営

令和2年3月31日

連日世界中でコロナウイルスが猛威を振るっている。日本においても大都市を中心に感染拡大が続いている。その影響で東京オリンピックも一年延期となった。この状況下では当然の措置であろう。政府与党もコロナウイルス対策として色々な対策を検討している。その一つとして、2月以降に収入が大幅に減少した企業や個人事業主が1ヶ月ほどの期間内に収入が一定割合減少していれば、税金と社会保険料の支払いを一年間猶予する特例措置を創設するとのことである。売り上げが減少した企業を対象に、資金対策として実質無利子の融資も実行されている。当事務所でもすでに利用されたお客様もいらっしゃいます。税金等の猶予の詳しい内容は後日公表されるはずなので、わかり次第ご報告いたします。融資等も含め積極的に対応していますので、ご相談いただければと思います。

長い間には今回のような不測の事態は必ず起こるものであり、企業存続のためにはどうしても高収益経営が必要となります。高収益企業であれば以下のようなことが可能になり、将来にわたって企業の存続ができると思います。

  • @ 強い財務体質の構築
    事業には必ず資金が必要である。今回のような不測の事態には銀行等が積極的に融資を実行してくれますが、そればかりに頼っていれば脆弱な会社になってしまう。高収益経営を実現できれば、手元資金を増加させていき、いざというときの資金繰りに困らないような強い財務体質の会社を構築することができます。
  • A 将来にわる従業員の雇用の確保
    経済環境が激変しても、会社が高収益体質であれば簡単に赤字になることもないし、慌ててリストラや賃金カットをしなくて済みます。数パーセントの利益に満足せず、高収益経営を目指し、経営を安定させ、従業員の将来にわたっての雇用の確保を図らなければならない。これば経営者の一番の使命です。
  • B 新規設備投資や事業の多角化の財源
    中小会社を存続させ成長発展させていくためには、どうしても設備投資や事業の多角化が必要になる。事業を多角化するということは新規事業を手掛けるということである。新規事業には当然ライバルがいる。その中でお客様の支持を得なければならないので、平坦な道ではない。事業開始当初は赤字が続くことも考えられ、その負担に耐えるだけの財源を確保するためにも高収益経営を目指さなければなりません。

このように、高収益企業であれば安定も図れるし、事業展開の選択肢を広げることができます。では如何にして高収益経営を実現していくかですが、それには理念、戦略、戦術等が必要です。詳しくは次の機会に述べさせていただきます。


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給与と外注費

令和2年2月29日

先月から新型コロナウイルスが猛威をふるい、日本でも感染が続いておりまだ終息の気配が見えない。政府も25日に新型コロナ対策基本方針を公表し、感染拡大阻止に躍起になっている。あらゆる手段を講じて一日でも早く終息させてほしいところである。 コロナウイルス感染は収まらないが、それを理由に確定申告の期限が延期されるはずはなく、連日遅くまで確定申告書の作成をさせていただいている。

そんな中、先日お客様の税務調査があった。きちんとした処理をされているお客様なのだが、「外注費」として計上していた支払いが、「給与」ではないかと問題となった。「給与」になるか、「外注費」になるかは以前から税務調査などでよく問題になる点である。というのも「給与」と「外注費」では、税務上の取り扱いが大きく異なるからである。外注費が給与と認定されれば、給与に対する源泉徴収義務が生じ会社としては源泉所得税の徴収漏れとなる。また消費税においても仕入れ税額控除の対象外となりどちらも増差税額が生じてしまう。それで税務署もしつこくチェックするのである。実際、給与と外注費の区分は判断が難しいケースが多い。実務においては次のような判定基準をもとに総合勘案して判断されている。

  • @ 契約内容
    請負契約に基づく役務提供であれば外注費、雇用契約に基づくものであれば給与
  • A 代替性の有無
    代替して業務を行うことができるか?できれば外注費
  • B 指揮命令監督の有無
    指揮・命令・監督が発注先にある場合は給与
  • C 請求書の有無
    外注先が自ら請負金額を計算し、請求書を作成していれば外注費
  • D 未引き渡し商品等に対する報酬の有無
    未完成品や不可抗力のために滅失してしまった場合でも報酬が支払われれば給与
  • E 用具・材料・移動手段提供の有無
  • F 申告の有無
    外注先が個人事業主として確定申告をしていれば外注費

等々であるが、どうしても微妙な場合は外注先に法人成をしていただければ解決する。なお、今回の事案の結論は出ていないが、外注費で問題はないと主張するつもりである。

まさかと思ったが、確定申告の期限が4月16日に延長されるとの報道がなされた。


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イノベーションのジレンマ

令和2年1月31日

中国の武漢市を中心に新型コロナウイルス感染者が拡大し、日本でも人から人への感染が確認され連日大きく報道されている。中国では春節の休みを2日間延長することにより、工場再開を延期する企業が相次ぎ、経済にも影響が出始めている。一日でも早く収束に向かってほしいところである。

コロナウィルスが大きく報道される中で、世界的ベストセラーになった『イノベーションのジレンマ』著書で有名なクレイトン・クリステンセン米ハーバード大学院教授が1月23日に67歳の若さで亡くなったという記事が日経新聞の片隅に掲載されていた。

クリステンセン氏は、その著書の中でなぜ大成功した企業ほど新興勢力によるディスラプション(創造的破壊)に弱いのか。なぜ創造的破壊は大企業から生まれにくいのか。IT業界などで繰り返されてきた業界の歴史を分析解明している。具体的には、主な理由として以下の3点を挙げている。

  • @ 成功した企業は顧客のニーズにこたえ従来製品改良を進めるいわゆる「持続的イノベーション」で事業を成り立たせてしまうため「破壊的イノベーション」を軽視してしまう。
  • A 「持続的イノベーション」の成果はある段階で顧客のニーズを超えてしまいそれ以降は、顧客は「破壊的イノベーション」に関心を持ち、新たな技術を持った新規企業に市場を奪われてしまう隙を作ってしまう。
  • B 破壊的技術は往々にして低価格で利益率が低い、あるいは市場規模が小さいことが多い。その結果、既存の技術で成功している企業にとって魅力を感じず、参入のタイミングを見逃してしまう。

当時、その実例が日々表れていたこともあり、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏も極めて深い影響を受けたと述べている。

死因は白血病に起因する複合的症状だった。これまでも、糖尿病、心臓病、脳梗塞、リンパ腫など何度も重病に見舞われながらも研究や実業を重ねてきて、米国では重病からの生還を繰り返す奇跡の人としても知られていた。またクリステンセン氏は敬虔なモルモン教徒でもあった。「重病のたびにこの世での自分の使命はもう残ってないのか神に問うてきた。もしそうなら喜んで次の世での使命を果たしていくつもりだ」と話してたいたとのことである。本当に志のある素晴らしい人だった。また、惜しい人を失くしてしまった。ご冥福をお祈りいたします。


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